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猫イモウト  作者: 須羽ヴィオラ
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第十章 願い #2

「ネコモリサマ。僕達が、この中に飛び込んだらどうなります?」

 三笠君が新しい質問を切り出した。

「この中には、既にお前さんたちが居るからのう。それぞれ合体して一人の人間に

なる」

「記憶はどうなります。ここでの記憶は」

「そりゃ、忘れてしまうかも知れんのう」

 うーむ。と三笠君が腕組みする。


「じゃ、こうして下さい。恩返しのお願いは猫に関する事って条件が必要だから、

僕達のネコモリサマに関する記憶は消えないようにしてください」

「まったく、注文が多いのう、おぬしら。ほれ、順番に頭を出してみい」

 三笠君が、ネコモリサマの前に頭を差し出す。

 ネコモリサマ、二本足で立ちあがるけど、三笠君の頭に前足が届かない。懸命に

前足をバタバタさせている。なんか、可愛い。

 私がネコモリサマを抱きかかえる事で、漸く三笠君の頭に手は届く。

 今度、三笠君がネコモリサマを抱きかかえて、私の頭を触らせる。

 ネコモリサマが触った辺りが暖かくなる。その温もりが頭の中に染込んで行く。

 これで、ネコモリサマの記憶が定着したというのだろうか。


「ところで、お主。この中に入って、いったい何をしようとしておるんじゃ」

 そういえば、私もこれから何をするのかを聞いていない。

「あのぉ、三笠君。私、この中に入ったら、何をすればいいの?」

 恐る恐る聞いてみる。

「それは…」と言いかけて、三笠君が口ごもる。


 ちょっと間が開いて、

「濱野さんは、何もしないでいて欲しい」

「何もしない? それって、どういう意味ですか」

「うん。僕の考えが正しければ、濱野さんは何もしない方が良いし、何も知らない

方が良い。そうでないと、僕の考えた方法は成立しないんだ」

 何もしないのが正しい方法って事なの? 一体どういう事?

「不思議に思うかも知れないけど、僕を信じて言う通りにしてほしい」

「分かった。私、三笠君を信じる」


「ありがとう。さあ、そろそろ時間だ、飛び込む用意をして」

 そう言いながら、三笠君が私の手を握る。

「あっ! 翠は? 翠も連れて行かないと」

「翠ちゃんは、あの場に居なかったから、連れていけない。大丈夫。もし、これが

首尾良くいったら、翠ちゃんは君の家で人間に戻ってる」

「本とに?」

「ああ、間違いない。さあ、もう時間だ、僕の合図で飛ぶよ」

 三笠君が水鏡の中に目をこらし、間合いを量る。

「いまだ、イチ、二の、サン」

 三笠の合図とともに、私達は手をつないだまま水の流れの中にダイブした。


 私たちは、再び空に投げ出された。

 私と三笠君は、真っ白な空の中を落ちてる。

 強い風を真正面から受ける。

 目の前に広がる真っ白な風景の中に、ぼんやりと地上の輪郭が見えてくる。

 私達、あの世界に向かって飛んでいるんだ。


 世界が段々と色づいてくる。地上がズンズンと近づいてくる。

 行きかう車や、人の姿がハッキリわかる。

 もうすぐ地面だ。

 ぶつかる!!

 思わず、目をつぶった。

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