森の魔女
少年ザクスはいつものように村を飛び出し森に入り魔物を警戒しつつ散策を楽しんでいた時、森の中に一つの小屋を見つける。
その小屋は見た目が古い小屋だが魔物の爪の痕や動物などの血の跡があるのに穴が開いているような事はなかった。しかも、その扉は最近開いたような跡はなく扉には蔦が這っており小屋は何物をも寄せ付けない雰囲気を放っていた。
その小屋を見たザクスは目を輝かせ、ここを僕の秘密の遊び場にしようと心を躍らせる。
小屋を秘密の遊び場に決めたザクスは周りを見回し魔物が近くにいないことを確認し小屋に近づく。小屋の周りを歩き子供が入れる入り口を探すが、封じられた扉以外の入り口がないことを確認する。
ザクスは扉に手をかけ押してみる。全く動かないし開かない。
扉の取手をつかみ扉を引いてみる。少し動くが、開くことはなかった。何かが邪魔しており、子供の手ではそのまま引いても開かないことが分かる。ただし、扉は引いて開くものであることが分かった。
ザクスは何とかして扉を開いてやろうと何が邪魔しているのかを考える。扉の開閉を邪魔するものとして、まず、初めに気が付くものは太い蔦である。蔦は子供の目には太く、ザクスは今の力では取り除けないと感じる。ここに来ていたザクスは丸腰だった。刃物や道具も持っていない。ザクスは蔦を取り除くのに道具が必要だとわかる。
「また明日にしよう」
この日は諦めて家路についた。
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次に小屋に来た時にはザクスはナイフを持っていた。
周りを見回し魔物がいないことを確認し小屋に再び近づく。
そして、持ってきたナイフを使い長い時間をかけて扉の周りの蔦を取り除く。
扉の邪魔をしている蔦を取り除いたザクスは一息ついてから扉を引いてみる。
「んっ!」
少ししか動かない。
ザクスは考えた。
(なぜ動かない?)
そこで小屋の扉の周りを注意深く調べる。
先ほどまで邪魔していた扉の周りの蔦は取り除いたが、残った蔦が引っかかっているので扉が開かないのかなと思い、蔦に注意して原因を調べる。
しかし、残った蔦が邪魔をしているようには見えない。
蔦じゃないと分かった時、ガサっと音がしたため、ザクスは慌てて、小屋から離れた。
少し離れたところから小屋を覗き込む。
魔物が何匹か小屋の周りを徘徊し、小屋に侵入しようと爪を立てたり、噛みついたりといろいろしている。時々、周りを見て何かを探しているような雰囲気も感じ取ることができる。周りを警戒している魔物がいることに気が付いたザクスは唾を呑み込みつつ、息をひそめた。
あの魔物達もあの小屋に入ろうとしている。中に何かあるのではないかとザクスは思い。面白いことが待っているように見え、ザクスはより興奮する気持ちに翻弄されるが必死に抑える。下手に興奮するとザクスは気配を消せない。はやる気持ちを懸命に抑えた。
ザクスは気配を消し、潜む、そしてひたすら我慢をする。動かないように、気付かれないように。それすらもある種の遊びであるかのように楽しんでいた。
魔物が小屋を離れるまでかなりの時間が過ぎた。
魔物が去ってから小屋の扉に近づき、扉があかない理由を探すためにザクスは扉の近くに寄って、上から下までよく見る。そして気付く、扉の下に土の隙間があることに。次は邪魔している土を取り除く必要があると理解した。
「次は土掘りか」
と小声でつぶやいてから、家に帰った。
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次に扉の前に立ったザクスはスコップをもっていた。
危険な草原を超え、さらに危険な森を通り、この小屋に到着した。すぐに扉の周りの土を取り除きたかったが、今回は小屋の周りには魔物がおり、息をひそめて、魔物がいなくなるのをじっと待つしかなかった。
じっと待ち、待ち、待った。すると魔物が小屋の周りからいなくなった。
魔物がいないことを確認し、扉に近づく。今回は扉を開けるために土の取り除きを行う。
土をのける。のける。のける。
思っていたより多くの量の土が扉の周りにあり、扉を開くのに邪魔をしているようだった。
時間をかけ、土を取り除いたザクスは緊張し、扉の取手に手をかける。
ザクスはこれでやっと扉が開くと思い、扉を引いたら、ガッと扉が何かに引っ掛かった。
何が引っ掛かったのか確認したら、前回切り取った蔦が、少し、伸びており、扉を開ける邪魔をしていた。
「うわぁ、前切った蔦が伸びてるよ」
せっかく前回に蔦を切り、今回、足元の土をのけたのに前回と今回の間に伸びた蔦を再び取り除かないといけない。
一つ溜息を吐いてから、また今度ということにしてザクスは今回も扉を開けられずに家路についた。
ザクスが次に来た時にはナイフを持って伸びた蔦を切りに来た。
前回よりもさらに育って邪魔していた蔦を取り除いたが、前回から今回までの間に降った雨と、徘徊していた魔物により、扉の周りの土がならされていたため、また土が邪魔をして入ることができなかった。
土も蔦も同じ日に取り除かないと小屋に入れないことに気が付いたザクスは次の時にナイフもスコップも持ってやってきた。そして小屋の入り口の扉を手前に引いて開けることができたが、すぐ先に壁があった。
「なんで扉の先に壁が!?入り口じゃなかったのかな?」
と思ってその壁を触って少し体重をかけると、扉が奥に開く。扉が二重構造だった。外開きの扉と内開きの扉がセットになっていた。
5度目の試行の結果、ついに気になっていた小屋に入ることができる。
しかし、小屋の中は真っ暗だった。
「誰かいませんか?」
すると外開きの扉が閉じる。真っ暗になる。
そしてすぐに、近くの燭台に火がともった。
順番に燭台に火がともる。
ザクスは扉が閉じたことに驚いたが、燭台の火によって真っ暗ではなくなったことで小屋を探検したい気持ちでいっぱいになり、興奮する。小屋の中が見えるようになったので少し小屋の奥に入ると今度は内開きの扉が閉まった。
一度扉のほうを見たザクスだったが、意を決して向き直り、小屋の中をじっくりと確認する。
「誰かいませんか?」
すると、奥で揺れる影が見える。
少しずつ中を進み、揺れる影に近づく。
揺り椅子に誰かが腰かけ座っているようなシルエットが見えた。
「あのぉ、僕ザクスといいます。少し、いいですか?」
と話しかけたところ、ごろんと人であれば頭がある位置から丸いものが床に転がり落ちた。
ザクスはビクッとしてから、その転がり落ちた丸いものをよく見ると頭蓋骨だった。
揺り椅子の人影のようなシルエットは椅子に座っているようにおいてある骨と骨を覆い隠すようにかぶせてあったマントだった。
ザクスは少しびっくりしたため、息をのみ、目を丸くしたが、一呼吸をして、気を取り直し、また、周りを見回す。
すると、下り階段を小屋の隅に見つけた。
森の中に小屋があり、苦労して入った小屋の中に階段がある。
森以上の冒険に胸を膨らませ、その下り階段に近づいた。
すると、下り階段を照らすように階段の壁の燭台に火が順番に灯る。
「案内されているのかな?」
期待にあふれ、興奮を隠しきれない瞳を輝かせながら、ザクスは下り階段を下りた。
下り階段の一番下には扉が一つ存在した。
その扉をノックし、取手に手をかけ、「誰かいませんか?」と声をかけたら、グンっと扉が内開きに開かれた。体勢を崩し、床に転びかけたが、何とか、踏ん張ったところ、目の前に老齢の女性が扉の奥に立っていた。
「なんだい、誰が来たのかな?」
「僕ザクスです。あなたはここで何をしているのですか?」
これが、森の魔女と呼ばれる女性との初めての出会いであった。




