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ザコの僕には無理だと思うのですが  作者: 柚穐
1章 少年期
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ザコの少年

ローレムという村があった。村は土の壁に囲まれている。この壁は外から襲撃を受けないように自衛するために設けられている壁である。この地域の村々は大体同じような壁で守られている。


村の片隅から子供達の声が聞こえてくる。声の主達は年は7~10歳くらいの子供達だ。数人の子供が一人の子を蹴ったり、その一人の子に向けて何かを投げつけたりしている。蹴られている子はザクス。ザクスはいじめられているにもかかわらず少し笑っていた。


いじめの実行犯の後ろで偉そうに威張っている感じで立っている子は腕を組んでその光景を見ている。

この子はローレム村の村長の息子ナット・ラムロード。子供の集団の大将をしている。

ただ、ナットはあまり面白くなさそうな顔をして、ザクスに声をかけた。


「おい、ザコ!ザコのお前は、蹴られているのになんで笑ってる!面白くない!」


蹴ったり、石を投げつけたりしている子達はそれぞれ言いたいように言いながらその行為を続けている。


「ザーコ、ザーコ、早くやられろよ!」

「ザコの癖に生意気な。笑ってんなよ!」

「お前がザコだから悪いんだ」


蹴られている少年は、苦笑いをしながら、頭とおなかを守るようにしてうずくまり、されるがままになっている。


「えへへ…」


そんな男の子のことを遠巻きにみながら、女の子達は話をしている。


「また、ザッ君、蹴られたり、もの投げつけられたりしてる」

「いつものことでしょ。飽きないよね。男の子達」

「あんなの気にしないで。何かして遊びましょう。私達は何して遊ぶ?」


いつもの村の光景だった。


親達は昼は自分達の仕事をしているため、子供達は自分達のグループを作って遊んでいた。ただ、この子達はあまり意識していないようだが、遊びとして、弱い者いじめが行われている。大人が見ていないところで起きていることである。


ザクスは年は7歳。茶髪、親が過保護に育てたせいか体はまだ少し丸みを帯びている。少し気が弱くて、身体能力も良くなく、話し方も少し稚拙で、力も弱々しいため、力を見せつけたい年頃の子供達にとっては勇者ごっこ等と銘打って勇者パーティや冒険者グループを組みザクスに弱い魔物や、弱い悪魔、魔王役をさせて今のような状況を繰り返していた。


「今日もおれ達勇者の仲間の勝ち~」

「負けた奴は罰な~」

「罰として、森の中に咲く花をとってこい!」

「平原から見えるところに咲いている花はだめだぞ!」


ザクスは理不尽な採取命令を受ける。


一通り勇者ごっこが終わった男の子達は最近流行りの負けの罰と称して、村の外の草や花や変わった石を採ってくるように命令し、壁の外に追い出す。という遊びをするようになっていた。


ザクスも昔は抵抗していた。声を張り上げ、やめてくれるように願った。なんで村の外に行かないといけないのか理由を聞こうと会話を試みたり、親や大人に相談したりと手を尽くしているが、一向にこの遊びは改善されることはない。


ザクスは繰り返される罰ゲームに対し、次第に村の外に出ることは楽しみとして受け入れるようになってくる。いじめられ、叩き殴られ、ひどい目に合わせられるより、一人で外にいるほうが幾分か気が休まると判断するようになっている。


村の壁の外は強い魔物達が草原を駆けまわっている。そして、その草原の奥には村からは小さく森が見える。森まではかなり距離がある。そしてその森は非常に大きく、森の中も強力な魔物が生息していた。森の中のほうが草原より多く凶暴な魔物が多く生息している。


ザクスは罰ゲームの命令を受ける度に子供の秘密の通路を通って村の外に追い出され危険と隣り合わせになる。7~10歳の子供にとっては普通では簡単に死に直面するといっても言い過ぎにはならないところである。


数年前、いじめる側の子供達も死を目の前で経験した。


負けた罰がエスカレートし、初めて村の外にでる内容の命令が決められた時、勝ったと言っていた方も一緒に村の外に出た。しかし、その初めて出た時に魔物に見つかり、幾人の子供が、魔物に食べられ、殺されてしまった。魔物が村に近づいてきたことに気が付いた大人が警戒し、外に子供がいることに気が付き急いで駆け寄ったが、襲い掛かる前に追い払うことはできなかった。一足遅く、被害を回避できなかった。助けられた子供達すべてが、目の前の死の光景によって、恐怖を植え付けられ、トラウマになり、壁の近くまで来ることはできるが、外には出ようとはしなくなった。


それでも勇者ごっこと罰の組み合わせの遊びはやむことなく、命令は再びエスカレートし、最近再び村の外の何かの採取になってしまっていた。この種の命令は何度も繰り返されたため、ザクスはトラウマを克服し、村の外に出る事に慣れてしまう。


「今日の命令は、森の中に入らないと取れない草かぁ。今日はできなかったってことにして、ゆっくり帰って明日にでも一人で取りに行こうかな」


(魔物には見つからないようにっと、)


ザクスは声を出さず気配を消して草原や森の中を歩く。そして、綺麗な花や役立つ草、変わった形の石、初めて見た草や花を採ってきてはいろいろ調べたりする。調べるといっても、年を取った年配にそれを見せて、話を聞く。それがザクスの楽しみの一つとなっている。


ザクスは刃物を持たずに村の外を歩く。


村のだれかに気付かれることなく村を出て、魔物を回避し、遊びを繰り返す。だんだんと自分から村を出ることのほうが多くなってきているくらいであった。


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人物紹介

ザクス:

主人公。現在7歳。茶髪、親が過保護に育てたせいか体はまだ少し丸みを帯びている。少し気が弱くて、身体能力も良くなく、話し方も少し稚拙で、力も弱々しい。村の外に出ることができるようになった。


ナット・ラムロード:

ローレム村の村長の息子。子供の集団の大将。偉そう。


子供達:

男の子はザクスをいじめる事を遊びの一つにしている。魔物の事件によってトラウマを持つ。

女の子はいじめを見て見ぬふりしてグループを作り遊んでいる。

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ザコの僕には無理だと思うのですが1章~サイドストーリ~
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