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第6話 異形の偉業

黄金のスコップを穿つショベル・ザ・スコップに立ち向かうオ・ネット。

しかし、黄金のスコップが放った一突きは、あまりにも残酷にオ・ネットの胸を深く抉り抜いていた。


オ・ネットの展開する宇宙空間は霧散し、その身体は吹き飛ばされた。

そして、その激しい激突の衝撃についでに巻き込まれる形で、盛助のよわよわしい肉体も同じく吹き飛ばされていた。


倒れ伏す二人の弟。その光景を前に、巨漢の血流が逆流する。

「マモ・・レナカッタ・・・」

絞り出すような、掠れた声。

「マモレナカッタッッッ!!!!!」

Dr.Jは激昂する。


その叫びは廃工場全体を震わせる咆哮へと変わり、彼の巨大な肉体はこれまで以上に隆起し、全身の血管は今にもブチ切れんばかりに破裂しそうにのたうち回る。

だが、彼は依然として、BONOxⅡもといアス・アスカが仕掛けた罠に捕らわれたまま、身動きを封じられていた。


しかしこのとき、怒りが有頂天に達したDr.Jの脳内に、一瞬だけかつての理性が戻った。

彼は辛うじて動く手で自らの懐を探り、一本の怪しげな注射器を取り出した。

そして、迷うことなくそれを己の頸椎へと力任せに突き刺した。


「フーッ・・・フーッ・・・!」


首筋から濁った液体が注入された瞬間、Dr.Jの肉体がこれまで以上に隆起し始める。

野生の猛獣が如き気迫、さらなる悪魔的な力を得たDr.J。

彼はかつて自分を縛っていた強靭な罠を、まるでただの糸屑であるかのように安々と引きちぎって抜け出した。

その凶暴な赤黒い眼光が、まっすぐにショベル・ザ・スコップをその目に捉える。



「勝ち確・・・ですね」

その暴走する絶対強者の背中を、後方からMr.MSが静かに見つめていた。眼鏡の奥の瞳を冷たく光らせ、Mr.MSは呟く。

「こうなったJさんはもう誰にも止められませんよ。俺、以外はね」

Mr.MSはまるで最初からこの結果を知っていたかのように、完全に傍観者のように戦況を眺めている。

「後始末する者のことを考える理性だけは残しておいてほしいものですが」

理性をほとんどなくし暴走寸前のDr.Jを見て、Mr.MSはダルそうに呟いた。



(マジでヤバい)

その光景を前に、ショベル・ザ・スコップの本能が、これまでにない最大の警鐘を乱打していた。

(一旦退避しなければ・・・)

しかし、その戦士としての優れた直感と判断は、あと一歩遅かった。

(えぇ!?なんか身体が動かないんですけどォーッ!)

ショベルは、己の肉体が指一本すらピクリとも動かなくなっている事実に驚愕する。


原因は、廃工場に充満するあの濃厚な臭気。

Dr.Jの口、脇、肛門、あらゆる穴という穴から、限界突破の代償たる毒々しい臭気が漏れ出していた。

この臭気をたっぷり吸ってしまったショベルの身体は、完全に神経を麻痺させられていたのだ。


「オトウトタチ ノ カタキ」


無機質な、しかし絶対の殺意を孕んだ機械のような声でDr.Jがそう呟く。

――や否や、ショベルの視界からJの巨体が消えた。次の瞬間、質量を置き去りにしたDr.Jの異形が、一瞬でショベルの目の前に現れる。


「オナジヨウニ シネ」


ドズッ!!!

無防備に硬直したショベル・ザ・スコップの腹部を、Dr.Jの丸太のような剛腕が、容赦なく肉を裂いて貫いたのだった。


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