幕間2 ナゴヤ抗争
『ナゴヤ区』は、異能者たちの覇権争いによって血で血を洗う修羅場と化していた。
そこに暮らす至って平凡な男だったオ・ネットは、ある日、とある人物から宇宙〈スペース〉の力を授かることになる。
「この力があれば、ナゴヤの争いを止められる」
故郷の惨状を憂いた彼は、その大いなる力を使い、自らがナゴヤを統治することを決意した。
だが、現実は残酷だった。
いくら圧倒的な力でねじ伏せようと、人間の争いが絶えることはなかった。
ある敵の巨頭を平和のために倒せば、今度はその倒した男の身内から「憎き仇」として復讐の牙を剥かれる。
彼らを退ければ、さらに次の復讐者が現れる。
どれだけ尽くしても終わらない復讐の連鎖に嫌気がさしたオ・ネットは、ついに自ら力を捨て、激しい戦火の中で死を選択した。
彼が力尽き、血溜まりの中で死に瀕していたその時、たまたまその戦場を通りかかったのがDr.Jだった。
Dr.Jは深夜のドン・キホーテに向かって歩いている途中だった。
日用品か、あるいは実験の消耗品でも買いに行くところだったのだろう。
彼はナゴヤの戦場に転がる悲壮なドラマなど一顧だにせず、ドンキへ行くついでとして、足元に転がっていた男の体を適当に拾い上げた。
「……ほう。この死にかけの男から、奇妙な空間の歪みを感じるな。非常に興味深いサンプルだ」
Dr.Jは買い物のついでに瀕死の男を小脇に抱えてラボへ持ち帰り、至高の技術を注ぎ込んで人造人間の弟『オ・ネット』を創り出したのである。




