幕間1 最弱の男とよわオスの騎士団
センダイ区・バトル公民館
そこは血気盛んな異能者たちが夜な夜な拳を交える、狂気の闘技場であった。
その混沌としたリングにおいて、ひときわ異彩を放つ集団が猛威を振るっていた。
その名も『よわオス騎士団』。
彼らの信条は「騎士精神を捨ててこそ真の騎士精神たる」。
男としてのプライドや強さへの執着など最初からドブに捨て、徹底的に情けないよわよわな振る舞いや言動を繰り返す。圧倒的に情けない騎士団であった。
しかし、それこそが彼らの最も恐ろしい罠であった。
彼らの放つ『よわオスのオーラ』は、その情けない姿を見聞きした者の戦意と肉体を、知らず知らずのうちに伝染病のように弱体化させていくのだ。
そして、相手が自分たちより弱くなったことを確信した瞬間、彼らは冷酷に豹変する。
それまでの弱気な態度を一変させ、弱り切った標的をサディスティックに、容赦なく蹂躙する。これが騎士団の絶対的な戦術であった。
のちに「盛助」と呼ばれる少年もまた、その末端の団員として戦いの中に身を置いていた。
彼もよわオス騎士団で名をあげようと情けなく奮闘していた。
だがある日、そのうち少年はいつの間にか死んでいた。
誰にも気づかれることなく、リングの裏の薄暗闇で、ただ情けなく息絶えていた。
しかし、弱肉強食、自然の摂理に従い敗北したその姿こそ、真の「よわオス」そのものの証明であった。
死して名誉あるよわオスになったのであった。
そんな誰の目にも留まらない死体が転がる路地裏を、たまたま通りかかった一人の男がいた。
若き日のDr.Jである。
「ふむ、これはいい実験体になりそうだ」
Dr.Jは哀れみも感傷もなく、何かのついでにその少年の死体を拾い上げた。固定観念に囚われない至高の技術を注ぎ込み、新たな命の器――人造人間の弟『盛助』を創り出したのである。




