第3話 黄金のスコップ
Dr.Jと弟と称する2人の人造人間。
ショベル・ザ・スコップは静かに、しかし燃えるような眼光で敵陣を見据えていた。
彼の強靭な肉体には、幾多の死線を潜り抜けてきた無数の傷跡が刻まれている。
何よりも特徴的なのは、その手に握られた、眩い光芒を放つ一本の「黄金のスコップ」だ。
周囲の瓦礫や廃工場の薄暗闇をすべて撥ね退けるように、その武器だけが神聖な輝きを放っていた。
対峙するDr.Jたちから放たれる異様な気配の中、ショベルの脳裏に、己の血脈に刻まれた過酷な宿命の全貌が過る。
スコップ家には、太古より代々受け継がれる一対の伝説の神器が存在していた。
しかし、そのうちの決定的な1本である『正義のショベル』は、遙か遠い昔の戦乱の中で失われてしまっていたのである。
残されたのは、不完全な片割れである一族の神器「黄金のスコップ」のみ。
一族は、その欠けた神器の圧倒的な力を少しでも補填するため、代々長男に「ショベル」の名を付けるという掟を定めた。
名そのものに魂を宿し、失われた神器の器とするために。
スコップ家の人々は、何世代にもわたり、一族の悲願である『正義のショベル』を見つけ出すべく、世界中を奔走し、過酷な捜索活動を続けてきた。
同時に、正体不明の「何者か」が歴史の影に潜んでいた。
その見えない敵の手によって、歴代の「ショベル」の名を受け継いだ者たちは、志半ばでことごとく暗殺され続けてきたのだ。
名を継いだ瞬間に、死の標的となる。絶望の連鎖。
だが、殺される運命にあった歴代の「ショベル」たちもまた、決して絶望に屈することはなかった。
彼らはその過酷な生に抗おうと、最後の瞬間まで勇敢に、気高く戦い抜いたのである。
そして、運命に抗い続けた彼らの熱き誇りと勇敢な血は、いまも途絶えることなく現代へと引き継がれていた。
ショベル・ザ・スコップという男は、そのすべての先祖たちの遺志をその身に宿した、一族の集大成。
彼は迫り来る暗殺の影に敢然と立ち向かい、そして「ショベル」の名に宿った不屈の正義の心を限界まで燃え上がらせ、あらゆる悪をこの世から抹殺することを誓ったのである。
そして現在・・・
「君たちが僕に勝てると思うなよ」
ショベル・ザ・スコップの眼前にいるのは、人道という神の禁忌を侵し、人造人間を平然と創り出したDr.J。
知性を失い、獣のような咆哮を漏らすその悍ましき化物とその被造物たちだ。
それらはまさに、世界の調和を乱す「悪」そのものであった。
「目の前の悪を、いまここで滅ぼす」
ショベルの魂の底から、歴代のショベルたちの熱き血が爆発する。
その凄まじい、みなぎる正義の力が、彼の右腕を通して一族の神器「黄金のスコップ」へと濁流のように伝わっていく。
失われたもう1本の神器の穴を埋めるかのように、「黄金のスコップ」はかつてないほど激しく神聖な光を放、真の覚醒を果たしていく。
まばゆい黄金の光芒が薄暗い廃工場を真っ白に染め上げ、風が狂ったように吹き荒れる。
一族の誇りと、受け継がれし勇敢な血、そして絶対なる正義の力をその身に宿し、ショベル・ザ・スコップの命を懸けた真の反撃が、いま幕を開ける――。




