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第8話 破壊の化身と這い出る禁忌

静まり返った廃工場に、ただ一人、冷徹な現実を見つめる男がいた。

「終わり・・・ましたね」

Mr.MSは、眼鏡の位置を直しながら低く呟く。

Dr.Jに胸を貫かれたショベル・ザ・スコップは地面に横たわっている。絶対的な正義を掲げ、黄金のスコップを覚醒させた戦士の、それはあまりにも無残な敗北の姿だった。


脅威は去った、しかしMr.MSには次の仕事が待っていた。


「オ゛ォ゛ッッッ!オ゛~~~~!!」


「フシューッ!フシューッ!」


標的を倒したDr.Jだがその怒りは止まらずあたりのあらゆるものを破壊している。

薬の影響による暴走だ。彼はもう何も区別できない破壊の化身となった。


「やれやれ、これからJさんを止めなければ・・・」

Mr.MSはカードパックを取り出し封を開ける。

「これでいいでしょう、しばらく大人しくしていてくださいね、Jさん」

冷ややかな声で呟きながら、MSは中のカードから一枚選びDr.Jに向かって回転をかけて投げた。

「オ゛ッ゛?!」

カードが刺さったDr.Jは急に動きを止める。

「さて、あとは弟たちに任せるとしましょうか・・・」



<オ・ネットが吹き飛ばされた後の話ー>


「ぐっ・・・俺、生きてるのか・・・?」

胸には穴が開いているが一命を取り留めていたオ・ネット。

(絶対にトドメをさせたはず、まさかショベル・ザ・スコップは俺を生かしたというのか・・・?)

疑問が脳裏を巡るが、重症を受けたことに代わりない。考える余裕もなく、身体を動かせずにいた。

衝撃によって聞こえづらかった耳が聞こえるようになってくると騒がしい声が聞こえる。


「あ゛ぁ゛!!い゛で゛ぇ゛ぇ゛!!」

「もしかして、このまま俺、死んじゃう・・・!?」

「えっえっえっえっ?」

オ・ネットが視線をその声のする方に向けると、たいした怪我もない盛助が大袈裟に泣いていた。


「おい盛助・・・」

オ・ネットがなんとか振り絞って声を出すも盛助に届かない。


「うぇヤバ!うぇ゛ぇ゛!うぇ゛ぇ゛!」


「盛助・・・」


「う~う~・・・う~う~・・・」


「お゛い盛助ェ!!」


「うお!?なんだ!?ビックリした!!てかオ・ネットさんまだ生きてたんだwあまりビックリさせんでね?」


オ・ネットは大声を出した反動で傷口がさらに開き、盛助のあまりのノンデリさに血管が破裂し流血が止まなくなった。

「うぇ血ヤバw全く怪我してるんだから無茶しちゃ駄目だよ~」

オ・ネットは薄れる意識の中、盛助のことを1万回殴りたいと思ったが、元からこんなやつだったなと逆に安堵した。


盛助はオ・ネットに近寄るとよわオスのオーラを放つ。

すると、傷口からの流血が徐々に弱まっていく。痛みも弱まっていくのをオ・ネットは感じた。


二人は元いた戦場に目を向けるとDr.Jによってショベル・ザ・スコップが倒されているところだった。

「ショベルを倒したのか、流石Jさんだな」

そしてMr.MSがDr.Jの動きを止めようとしていた。

「お、MSさんだ。まだいたんだw」

盛助は相変わらずへらへらとしている。

「MSがJさんの動きを止めた。行くぞ」

重傷のオ・ネットだがよわオスのオーラが麻酔のように作用してなんとか身体を動かせるようになっていた。


Dr.Jが暴走したときは、まずMr.MSが動きを止め、オ・ネットが近づき宇宙の力でさらに動きを制限する。そしてその間に盛助のよわオスの力で元のJさんに戻す。いつもこの方法で対処してきた。


Dr.Jに近づく二人。

「相変わらずクッセェな」

オ・ネットは愚痴る。

Dr.Jに造られた二人には臭気による麻痺耐性は備わっているものの、臭いそのものの耐性は考慮されていなかった。

「この臭いだけで世界征服できますよJさんw」

盛助がヘラヘラと笑う。

Dr.Jのすぐそばまで来た二人。


「「さて、元に戻しますか」」


「守ってくれるのはいいけどこうなると大変なんだよな」

「この間はMSさんの拘束効果が短くてまた暴れだしちゃったしw」

二人で談笑しているうちに、徐々に元の姿に戻っていくDr.J。


「ふぅ、こんなもんかな」

盛助が額を拭う。

「あぁ、そろそろ帰るか。俺の身体治してもらわないとな」

オ・ネットは疲労感溢れる様子だ。


「てかお腹からむこう側見えてますやんwww」

盛助はオ・ネットの腹に空いた傷を覗き込み笑う。

オ・ネットが盛助のことを10億回殴ってやろうかと思った、そのとき!


地響きの音が鳴り渡り、地面が揺れ動く。

唐突な揺れに二人はバランスを崩す。

メキャメキャメキャ!!

何かが近づいてくる音、そして地面が凹んだかと思うと、

グッポグッポッ!!

地面から這い出てきた何かがDr.Jを飲み込んだ。


「なん・・・ですか、あれは」

踵を返していたMr.MSは音のした方を向くと、今までみたこともないようなワームのような巨大生物が地面から這い出ていた・・・

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