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正体バレたら人生終了!? 陰キャのゲームオタクが「バ美肉VTuber」になってダンジョン配信を始めたら世界中のアイドルになった件  作者: はむかつ


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9/15

第9話 ダンジョン配信、大成功!

  □:うわあああ!ルミナちゃん!!

  □:うそでしょ!?

  □:あああ、あかりんがまた倒れたー!


 もわもわと立ち上がる噴煙が晴れると、そこには切り離されたゴーレムの腕が地面に落ちていた。

 その横でライトセーバーを構えるルミナの姿。


「あっぶね! うっかりロマンを感じてる暇もないなこりゃ」


  □:ルミナ無事だったあああ!

  □:避けてなおかつ腕も切り付けてるとか凄くね?

  □:急なおっさんみヤメレwww


「あ、あはは! 私は大丈夫! 心配かけてごめんねっ!」


 ルミナは姿勢を正すと地面を蹴り、ゴーレムの股の間を滑り込む。


 ――ズザザザザァァ


 背中側に回ったルミナは間髪入れずに『emeth』のeの部分めがけてライトセーバーを振り上げた。


 ――ブゥン


「あ、あれ?」


 eの文字を削ったと思ったルミナだったが、あまりの手応えのなさに思わず声を上げた。

 ゴーレムはeの文字ごと胴体が真っ二つに斬られ、そのまま倒れていく。


 ――ズズゥゥゥゥン


 そのままバラバラの岩に戻り、二度と起き上がってくることはなかった。


  □:なんだその威力www

  □:岩を斬る剣とか半端ねぇw


「あ、あはは……一応倒せたみたい、あー、よかった」


 リスナーにはただの剣で岩を斬ったように見えたのだろう、しばらくはその話題で持ちきりだった。

 ルミナは転がった岩を横目に、奥の壁にある二つの扉に近づく。


「ラスボスを倒しても転送ゲートが開かないってことは、たぶん、この先にあるってことだよね」


 ルミナが壁に近づくと、リスナーのコメントがにわかに活気だった。


  □:ルミナちゃん!また壁に何か書いてあるよ!

  □:さっきみたいな暗号か?

  □:もうちょっと右に寄って!


「え、あ、こっち?」


 ルミナが移動すると壁際に文字が現れた。


 『左なる扉は、陽光が差す“見晴らしの間”へ至る 右なる扉は、我が友ガランの墓所へ通ず。ガランは多くの罠を避けし知者なれど、最後は遥か地の底へ消えたり』


「え、どういう意味だろう……」


 ルミナにとってもこの謎かけは初めてだった。

 兄からは何も聞いていない。


  □:うーん、また二択かぁ

  □:ガランって誰だ?


「また、みんなに頼っていいですか?」


 ルミナは困ったような表情でカメラを見た。

 実際、少し困っていた。


  □:よし!さっきの汚名返上だぞお前ら

  □:ネット考察班いるか?出番だぞ!

  □:みんな頑張れ、ちょっとトイレ行ってくる


 モニターの上部に選択肢のテキストが表示される。

 『ルミナが進むべき道は? A:左の扉(見晴らしの間) B:右の扉(ガランの墓所)』


  □:“陽光が差す”=出口の可能性?

  □:“墓所”ってことは死んだ=罠?

  □:でも罠を避けし知者って書いてあるぞ

  □:最後が地の底に消えた=生き埋め? 墓所だし危険では?

  □:ガランは怪しいし、普通は陽光が指すほうが出口だよね


 様々な意見がコメント欄に飛び交う。

 おおむねAの『見晴らしの間』の意見にまとまりそうな流れだった。

 しかし、そんな流れを切ったのは、意外にも《あかりん》のコメントだった。


  □:《あかりん》『陽光が差す』って良さそうに聞こえるけど、天井が崩落して大穴が開くって意味にも取れるわよね

  □:!!!!!!

  □:そ、それだああああ!

  □:なるほど!天井崩壊からの生き埋めで”地の底”なのか!

  □:え、あかりん鋭すぎん?

  □:あかりん部屋の実況コメ有能だな


 この一言でガラリとBを選択する者が増えていった。

 結果、Aが16%、Bが84%という結果になった。


「みんなありがと~っ! それじゃルミナはBの扉に入るね」


 ゆっくりとBの扉を開けると、その奥は静まり返った薄暗い回廊が続いていた。

 見た目は荒れておらず、崩落の兆候もない。

 ルミナは慎重に歩みを進めると、回廊の先に土が盛り上がった広い空間に出た。

 うっすらと草が生え、盛り上がった土の一番上には木の棒が縦に刺さっている。


「これが……お墓、なのかな」


 その木の棒には、煤けた銀のペンダントが掛けられていた。

 ペンダントの中央には崩れかけた家紋のような紋様……恐らく、かつての探索者「ガラン」の形見だろう。


「……ここが、ガランの墓所――最深部、なんだね」


 静かに呟くルミナの視線の先には、淡く輝く転送ゲートがぽっかりと口を開けている。

 やがてルミナはドローンのほうへ向き直り、少し潤んだ目で笑顔を作った


「こっちの道で正解でしたね! ここが《古代鉱都リュミエール》のゴール地点みたいっ!」


  □:よっしゃあああ!

  □:ルミナたんの役に立てたぁぁ!

  □:お疲れ様ルミナァァァァ!


 ルミナは改めて墓標に目を落とし、静かに言った。


「たぶん、このお墓……《ガラン》って人のなんだと思う。すごく古くて、誰も足を踏み入れてなかったみたい。でも、だからこそ……ちゃんと見つけて、ここにたどり着けてよかったなって思う」


 そして振り返ると、画面に向かって深々と一礼をした。


「初めてのダンジョン配信……本当に緊張してて、でもみんなが見ててくれたから、ここまで来れたんだよ。ありがとう……!」


  □:よく頑張った!生きてるのすご

  □:泣いた。ガランの墓とかエモすぎる

  □:《あかりん》ゴールおめでとう!!最高だったよぉぉぉ!


「あかりさんも最後まで観てくれてありがとう! どうだったかな、そっちの実況も盛り上がってくれてたかなぁ?」


  □:あかりん全然しゃべってなかったぞwww

  □:ほとんどあかりんのリアクションを見るだけの部屋だったなw

  □:《あかりん》だってだって、仕方ないじゃん!ずっとハラハラしっぱなしだったんだもん!


「あはは、ありがとね。あかりさんとは……迷惑じゃなかったら、今度コラボしてほしいなぁ」


  □:あああ、あかりんがまたぶっ倒れたww

  □:ルミナの一撃が見事に決まったなw


 ルミナは流れるコメントを愛おしそうに眺めると、ふと後ろにある転送ゲートを見つめ、小さく息を吐いた。


「みんな、見守っててくれてありがとう……こうやって観に来てくれたみんなが助けてくれたから、この階層もクリアできました! じゃあ……名残惜しいけど、ここで一旦、ダンジョン配信は終了です! ちゃんと入り口まで戻れるみたいだから、今日はここでセーブってことで!」


  □:うわぁぁ、名残惜しいよぉぉ!

  □:めっちゃ楽しかった!!また一緒に連れてってくれー!

  □:冒険っていいなって思った、ガチで


「みんなと一緒に冒険できて、ほんとうに、ほんとうに楽しかったよ……! また一緒に、次の階層も行こうね――絶対! それじゃばいば~い!☆」


 画面は手を振るルミナの姿を残し、フェードアウトしていった。

 コメント欄は余韻を感じているリスナーでしばらくは賑わったままだった。



▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽



「ふぅ、緊張した……大丈夫かな、リスナーは盛り上がってくれてたみたいだけど」


 俺は撮影ドローンの録画ランプが消えたことを確認すると、そう独り言ちた。

 撮影開始からもうすぐ2時間が経つ……ってことは今は23時近いってことだ。

 

「やべ、急がないと電車がなくなる。さっさと帰って風呂入って寝よう」


 俺は転送ゲートからリンクブリッジに戻ると、備え付けられた更衣室で帰り支度をした。

 丁寧にマーカーを取り外し、契約していた所定のロッカーに武器を格納、脱いでいたジャケットを羽織る。

 そして『(ダンジョン)ターミナルセンター』を出て最寄り駅に向かっていると、かおる子から連絡が入った。


「もしもし、悠真くん? 悪いけど今から会社に来れる? 緊急事態よ」

「……は?」


 俺は思わずその場で立ち尽くした。

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