☆1
大里古物店。街中にある、店舗兼住宅のその店は、知る人ぞ知る有名な古物店である。それこそ、来る人は10駅先からも足しげく通ってくるほどだ。
実はこの店、品ぞろえが死ぬほ多い。
カメラ、古着、パソコン、オーディオ、古本、カード、玩具、食器、骨董品。数えだしたらきりがないほどだ。
なぜこんなに品ぞろえが良いかというと、実はこの店、地下もあるのだ。2、3階が住居で、1、B1が店になっている。その中に所せましと商品が並んでいるので、相当豪華な品ぞろえになっているのだ。
かくいう俺も、そんな古物店に心惹かれて通っている一人だ。俺は基本的に海外出張が多いため、カメラ系のジャンクに手を出している。
やはり、あの雑多な雰囲気が好きなのだ。
◇
「おっちゃん、来たよ。」
そう言って店の中に入っていく。
もう何年も前から通っている店は、いつも変わらずここにある。といっても出張帰りにたまによるだけだが。それでも店のおっちゃんには認知されている。認知されているというか、おっちゃんは記憶力がお化けなので今までに店に来た人の顔を全員覚えている。まぁ平たく言えば超人だ。
「あぁ、田所さん、いらっしゃい。良いカメラが入っているよ。」
「おぉっ、どんなのだい?」
「PICTAMERAの5周年のときの記念モデルでね。限定品だよ。」
おっちゃんが、近くの棚から一つのカメラを出す。PICTAMERAと言えば最近急に伸びてきている比較的新しいメーカーだ。PICTAMERAが有名でなかった初期の頃のカメラが入るとは、珍しい。
「にしても案外安いな。どんなとこが壊れてるんだい?」
「いや、比較的ちゃんと動くよ。結局デマだったんだけど、最近再販騒ぎがあったらしくて価格が荒れたんだよ。おかげでこっちもちょっと損しちゃった。」
「へぇ。なるほどな。まぁ、買ってみるとするよ。」
「まいどあり。そういえば、全然関係ない話なんだけどね...」
そう言っておっちゃんは、えげつないことをさらっと言い始めた。
「養子ができた。」
「は?」
「なんかね、捨て子を拾ったら、なんやかんやでね。」
「は?」
「まぁこれから忙しくなるとは思うけど、なるべく営業時間は変えないようにするよ。」
「............情報処理が追いついてないんだが」
「まぁそうだよね。僕もこんな経験初めてだからね。まぁ、ある程度の年齢になったら働いてもらおうかなとも思ってる。するかどうかは本人に任せるけどね。」
「まぁ、バイトを雇うって話も立ち消えになってたしな...まぁ、頑張れ?」
「頑張るよ」
そんなやり取りをして俺は店を出た。
かなり驚いたが、これからまたすぐ出張だ。気を引き締めなくちゃな。




