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問題児雪だるまレイ  作者: 雪だるま


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8/16

黙れたら人参

「雪の女王、あまりの騒がしさに疲弊しきり、レイに“1日静かにしていたらお小遣い増額”を提案する話」です。

お小遣い=月に人参1本という悲惨な現実に生きるレイが、ついに“交渉のテーブル”に立った伝説の一日です。




朝、宮殿にて。

雪の女王は、机にひじをつき、静かに額を押さえていた。


「……頭が……痛い……」


原因は、もちろん――


「のだぁああああああ!!!!!

ママああああああ!!!かき氷のシロップがピンクじゃなかったのだぁあああ!!!

吾輩のテンションが下がるのだぁああああ!!!世界が終わるのだぁああ!!!」


という早朝4時から絶叫する雪だるまである。



スノレイナは、女王の横でそっと震えていた。


「……ママ……お兄ちゃん、今日も……すごい……」


「……ええ、ええ、そうね……」

(※遠い目)


「……昨日は“廊下に芸術的うんち(雪)”を設置してたし……」


「ええ、ええ……把握してるわ……」



女王は決意した。


交渉の時である。



提案:静かにすれば人参2本


「レイ」


「のだっ!?なんなのだぁ!?また妹が泣いたのは吾輩のせいではないのだぁ!?あれは床が滑っただけなのだぁあああああ!!」


「違います。提案があります」


「のだっ!?」


「今日1日――静かにしていたら、来月のお小遣いを倍にします」


「…………」


「……人参が、2本になります」


「のだっっっっ!?!?!?!?!?!?」



レイ、震える。


「……ま、ま、マジなのだぁ!?

本当に!?この吾輩が!?

月に人参2本になるのだぁあああ!?」


「本当です。ただし――1日、本当に静かにできたら、です」


「吾輩……人参1本で雪うさぎにバカにされ続けてたのだぁ……

“また1本なの?”って顔で見られてたのだぁ……

ついに、ついにっ……うさぎ界でマウントが取れるのだぁ!!」



チャレンジ:サイレントレイ


レイはその日、己の声帯と全知性を封印する覚悟を決めた。


――が、


挑戦1時間目:

かき氷を持って来られた瞬間、うっかり「のだぁ♡」と漏れかける → 口を押さえて地面を転げまわる


挑戦3時間目:

スノレイナのリボンが曲がっていた → 全力で「直したいのだぁぁぁぁ!!!」と叫びかけ寸前で雪玉を口に詰める


挑戦6時間目:

雪うさぎと目が合う → 無言で“2本の指”を立ててドヤ顔マウント(大成功)



スノレイナ「……お兄ちゃん、がんばってる……」


女王「……奇跡ね……」



夕食:限界ギリギリ


夕食時。


レイの席の前に、静かに置かれた人参2本。


レイ、無言で震える。


「…………っ……」


スノレイナがそっと訊く。


「……お兄ちゃん、大丈夫……?」


レイ、こくり。


……が、涙目である。


「…………っっっ」


スノレイナは、手紙を渡す。


「お兄ちゃん、すごいよ。1日、がんばったね」


レイ、感極まって泣く。


「っ……っ……のだああああああああ!!!!!!」


――終了。



結果報告


女王「……最後の最後でアウトです」


レイ「うわあああああん!!!でも泣いたのは音じゃないのだぁああ!!感動の無音涙だったのだぁああ!!」


女王「“のだぁあああ”と言ってました」


レイ「それは反射なのだぁああああ!!!」


スノレイナ「……お兄ちゃん、でも……ちょっと、かっこよかった、の」


レイ、鼻をぴくぴくさせる。


「の……のだっ♡♡♡」



エピローグ


翌月。


レイのお小遣いは――

人参1.5本に微増された。


(※静かチャレンジ「惜しかった賞」)


「えっへん!えっへん!

ついに!吾輩は雪うさぎ界の中堅ランクに昇格したのだぁああ♡」


……レイは、今日も元気にうるさかった。



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