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問題児雪だるまレイ  作者: 雪だるま


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3/16

極寒地下牢のかき氷マウント



雪の女王の氷の宮殿――その地下深くには、

王国の歴史上、数々の罪を犯した者たちが幽閉されている。


冷気と沈黙が支配する氷の地下牢。

その空間は、罪人たちを裁くためではなく、忘れるために存在していた。


囚人たちはほとんど声を発さず、

何年、何十年と時間の感覚を失っていた。


そんな空間に、今日も――

ズリッ、ズリッ、ズリッという不可解な足音が響く。


「………………」


白い小さな影が、牢の奥へと現れた。


「のだっ♡」


それは雪だるま・レイだった。

身長90cm。手足短し。脳の温度は高し。

しかし身体は氷そのもので、寒さには滅法強い。


そして――

手には、山盛りのかき氷が載った金の盆。


「えっへん♡えっへん♡

本日も特製いちごミルクかき氷なのだぁ♡

美味なのだぁ♡ハイパーうまうまパフェモードなのだぁ♡」


牢内は氷点下。

吐く息は霧となり、天井に霜が降りている。


囚人たちは毛布もない環境で身体を丸め、

わずかな体温を保とうとしている。


そこに現れたのが、かき氷を食べながら歩く雪だるまだった。


「ふぅぅぅ……♡

冷たくて幸せなのだぁ♡

このシャリシャリ感……のだぁ♡」


レイは、

牢一つひとつの前で立ち止まり、

無言でドヤ顔を向けた。


「………………」


囚人A:凍えながらうずくまる。

囚人B:歯がガチガチ鳴っている。

囚人C:目を合わせようとすらしない。


「……えっへん♡」


レイは満足げに鼻をぴくぴくさせた。

そして、冷気の中でさらに追い打ちをかけるようにスプーンをカチリと鳴らし、口元へ。


「ぱくっ……♡

のだぁ~~~~~♡

やはりこのいちごシロップは神なのだぁ♡

吾輩の口の中が祝祭なのだぁ♡」


囚人たちは微動だにしない。


一人だけ、青年の囚人が力なく言った。


「……頭……キーン……ならないのか?」


「吾輩は雪だるまなのだぁ!

頭がキーンになる構造ではないのだぁ!えっへん♡」


囚人たちは静かに顔を背けた。


(……馬鹿だ、この雪だるま)


(というか、なぜ毎日来る)


(というか、なぜこの環境で“かき氷”を……)


レイは無反応の空間を「称賛」と受け取っていた。


「ふふふ……無言の羨望が突き刺さるのだぁ……♡

あぁ~~~~人気があるのは辛いのだぁ~~~~♡♡♡」


カリッ。シャリッ。


レイは音を立てて氷を噛みながら、

次の牢の前へと進む。


「ふむ、この者たちには教育が必要なのだぁ……

吾輩の贅沢ライフを正しく享受するには、美的感性というものが欠けているのだぁ……」


囚人たちは、その言葉すら聞いていない。


寒すぎて意識が薄れかけていた。


レイは最後の一口を頬張った。


「ぺろっ♡

ごちそうさまなのだぁ♡」


そして金の盆を振りかざし、

「特別に許可されたかのような顔」で退場した。


ズリッ、ズリッ、ズリッ……


レイの足音が遠ざかるとともに、

地下牢には再び氷の沈黙が戻った。



数分後。

雪の女王の執務室。


「……レイ」


「のだぁっ!?な、なんなのだぁ!?」


「また地下牢に行って、囚人たちにかき氷を食べながらマウントをとっていたようですね」


「のだのだのだぁ!

違うのだぁ!あれは!社会貢献なのだぁ!

文化交流なのだぁ!冷たいものに慣れてもらうためのリハビリなのだぁ!!」


「……彼らは全員、風邪をひきました。」


「うわあああああああん!!!

誤解なのだぁあああ!!吾輩の善意がぁあああ!!」


「レイ。明日から地下牢への出入りは一時禁止です」


「のだぁ!?吾輩のドヤ顔ルーティンがぁあああ!!」



こうして、

世界で最も寒い地下牢において唯一かき氷を食べた者が、

一人も羨ましがられなかった記録がまた一つ刻まれた。


だが、

レイは翌日も言った。


「吾輩は悪くないのだぁ……

かき氷を羨ましがらない方が変なのだぁ……

ママの教育が悪いのだぁ……」


――それは違う。


レイがお馬鹿なのである。



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