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問題児雪だるまレイ  作者: 雪だるま


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2/16

ママの寝室にうんち撒いて何が悪いのだぁ!?



雪の女王の宮殿に、夜が来た。


夜といっても、そこに差す月明かりも星明かりもすべて白銀。

氷の壁が静かに光を弾き返し、室内は眠りすら凍りつくような静寂に包まれていた。


女王は、静かに寝室に入った。


氷でできたベッド、銀糸のように織られたシーツ。

そのどれもが、完璧な秩序と静寂に守られている――はず、だった。


「………………」


女王は眉一つ動かさぬまま、足元を見下ろした。


そこには、

十数個に分割された雪の小山が

ランダムに点在していた。


「…………また」


その声に、冷気がわずかに震えた。



一方その頃。

氷の回廊の隅で、問題児雪だるま・レイは超ご機嫌だった。


「のだぁ♡♡♡

完璧に配置したのだぁ!吾輩の芸術的うんち(雪)なのだぁ!」


雪だるまであるレイにとって、「うんち」=「雪の塊」である。

問題は、その発想をママ(雪の女王)の寝室に応用したことであった。


「ふふふ……♡

ちょこん、ぽとっ、ころころころ……♡

あぁ〜〜最高傑作なのだぁ♡」


――その数、18個。

大中小を織り交ぜた多彩なラインナップ。

一部は**「踏んだときにすごくイラッとする位置」**に丁寧に配置されていた。


「えっへん!えっへん!

これぞ芸術なのだぁ!」


だがその瞬間。


「――レイ」


背筋に氷の風が吹いた。


「のだぁっ!?」


振り返れば、そこには静かに怒りのオーラをまとった母・雪の女王。


「……あれは、何?」


「な、なにって何なのだぁ!?

吾輩は悪くないのだぁ!!

芸術的表現なのだぁ!現代雪芸術なのだぁ!!」


「……私の寝室に、“それ”を撒いたのは、あなたですね」


「それとはなんなのだぁ!?

“それ”という言い方は芸術への侮辱なのだぁ!!

うぇえええええん!!」


「レイ。――お尻、出しなさい」


「のだぁあああああ!?!?!?

待つのだぁ!対話の余地があるのだぁああああ!!」



その夜。

氷の宮殿に、鈍いぺちぺち音が響き渡った。


「うわああああああああん!!!

やめるのだぁあああああ!!!

痛いのだぁ!吾輩の尊厳がぁあああ!!!」


レイは全力で足をばたつかせた。


だが、手足が短いため、ほとんど意味がなかった。


「吾輩は雪だるまなのだぞぉ!?

お尻をぺんぺんされるなど屈辱なのだぁ!

うぇえええん!!うぇえええええん!!」


雪の女王は淡々と叩き続けた。


「……あなたは、うんちを撒いたんです」


「でも雪なのだぁ!結局ただの雪なのだぁ!!

雪の城に雪を撒いて何が悪いのだぁ!?

ママだって雪なのだぁ!?!?」


「場所が問題です」


「うわああああああん!!

理屈攻めなのだぁあああ!!

女王のくせに教育熱心すぎるのだぁああ!!」


「反省しなさい、レイ」


「うぇえええええん!!!

雪だるまなのにお尻真っ赤になったら、

精霊たちに笑われるのだぁあああ!!

……あっ、いや、赤くはならないのだぁ!?

でも!心が赤くなったのだぁああ!!」


「それは良かったですね」


「うわあああああああん!!!

やっぱり酷いのだぁ!酷いのだぁあああ!!」



罰が終わった後、

レイは氷の廊下に寝転びながら、両目を潤ませた。


「吾輩は芸術家なのだぁ……

それなのに、全然理解されないのだぁ……

ママの寝室、ちょっと味気ないと思っただけなのだぁ……

あれは、愛だったのだぁ……!!」


雪の女王は寝室の掃除を終え、静かに言った。


「……次にやったら、氷風呂です」


「うわあああああああああん!!!」


問題児雪だるまの夜は、今日も泣き声で終わった。


だが、

それでもレイは――


「……でも、芸術点は高かったのだぁ……♡」


反省したとは、到底言えなかった。



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