Q:ソフィー。やっぱりこの作戦めちゃくちゃシンドイんだけど? A:私は主を応援してますよ〜
5222文字
「かなり厄介だね〜。転移がいるだけで対処の仕方は大きく変わるよ〜」
いつも通りの声色で、ソフィーは本当に困っているのか解りづらい。でもまあ、長年付き合ってきた感じからして。言った通りなのだろう
残党の数を次々と減らしていく自軍を見ながら、相手方の転移スキル持ちについて考える
少なくとも転移スキルの持ち主は一人だ。理由としては十人もの転移持ちを集める事が不可能に近いからだ
我が国にもボク以外に解っているだけで三人の転移スキル持ちがいる。勿論持っていても言わない者もいるだろうけど
ヴァーニア様が把握している。『人一人を転移させる事ができる』のは三人だけだ。魔法やスキルに特化している魔族という種ですら三人なのだから。突出した能力を持たない人間が十人もの転移持ちを集める事なんてできない
というより一人もほんとは無理だと思ってた。転移できたとしても、物に写した情報だと思ってたし、あちらさんにいる転移持ちは一人だと願いたい
正直十人もいたら困るというのが本音なんだけどね
この事はソフィーと同じ意見だろう
答えが正確に出る訳でもない問題をいつまでも考えて入られない。切り替えていこう
元よりあの千人は全滅させるつもりだったのだが、情報を取られたからにはこちらも動かなければ
「さて、次はどう来るかね」
「ん〜。多分〜、当分は来ないと思うよ〜
次は夜かな〜」
第二波がないとは言い切れない。そう思ってボクの頭脳に質問したのだけれど、どうやらボクの想像よりも先のようだ。ちょっと時間が開くと思ったら、お次ぎは夜襲と来たか
その思考に着いていけなかったボクに彼女は続ける
「あっちは海の上から直接攻撃をしない限り安全って事をよく解ってるよ〜
前回攻めてきたときよりも頭のいい奴が指揮官なんだろうね〜
十分に考える時間はあるから〜」
そこでソフィーの口が止まった。またも彼女の考えるポーズだ
「陣形ミスったな〜。今までの馬鹿な指揮官みたいに無駄な人員を割いて突撃じゃないってことは〜
全勢力で正面をガードしてるだけじゃ駄目だね〜」
何かを確信したかのように配達人を呼んだ。ソフィーに手を拱かれて、控えていた配達人の内八人が素早くボク達の前に座る
七人の中にはキリルの友達の姿もある。獣人の彼女は顔を見られたくないのかフードを深く被っている。ただ、ちょっとばかり頭の形とフィットしていないので。時々だがフードが外れそうになる
ノアちゃんはボクの方をチラッと見ると慌てて顔をそらした。拍子にフードが外れそうになり頭を抑える姿は可愛らしい。彼女を見ているとソフィーは手早く三枚の紙に走り書きをして、判を押すと配達人に向かってこの後の行動に着いて指示を出す
「一番左の配達人さんは〜、バジャーの隊とフィブリの隊〜。それとフードの子は〜、前線にいるデオの隊に『条件結界の外から敵が来る可能性が高いから、五万の内の一万で背後の防衛。街の外に集めること』って伝えてきて〜。これを渡してね〜
他の人達は〜、後方支援部隊に『街の奥に集めた住民と後方支援の皆をもう少し街の内側に移動させて、できる事なら一旦他の村へ行っても良い』と伝えて〜、その後は部隊と一緒に着いて行ってね〜。こっちもちゃんと渡してね」
左端にいる配達人と、ノアちゃん、後ろに五人を従えた配達人に一つずつ走り書きの紙を渡す。最後に「細かい指示は後で出す」そう話を終えると、八人は迅速に動き出した。ノアちゃんは真っ先に部屋を飛び出して行き、続いて他の配達人もこの場から走り去った
「猪突猛進な人間が裏取りしにくるか?」
「人間の突出した能力はその進化の速さだよ〜。戦う力や魔法とかスキルではなく〜、貪欲さと狡猾さ〜。この二つは魔族や獣人とはかけ離れた物があるからさ〜
前回の戦争から今回の戦争でどれだけの進化をしたのかは、私たちでは想像するのは無理だね〜
私ならそう言った攻め方をするね〜。因みに私が攻める方でも先手は今された様な事をするよ〜
主様がいるし〜」
ソフィーの良い分もよく解る。それだけ転移スキルは便利なのだ。所持者のボクが言うんだから間違いない
戦略の幅が広いって考えると今回の戦争は正面衝突だけでは終わりそうにないなあ。ちまちまやるのは面倒だ。ささっと突撃してきてくれないものか
海の上から攻撃してきたら反撃可ってルールがまどろっこしい
……やっちゃうか? 十回殴れば終わる
止めておこう。ヴァーニア様が怒るとは思えないが、失望させたくはない
「つくづく魔王ってのはボクに似合わない肩書きだね。断れば良かった」
「そんな事は無いよ〜
魔王をやりたくない私みたいな拒絶者も〜
魔王の下にならいたいと思えるしね〜。私は主様限定だけど〜」
「ヴァーニア様の下には着きたくないけど、ボクの下には着きたい拒絶者なんてソフィーくらいなものでしょ」
他にもいたかな? 居ないか。そろそろ、カタリナさんが誘われてもおかしくないかもしれない。第一魔王の爺さんと役割が被るし、彼女自身もあの魔王の従者を辞めるとは思えないので拒絶者になるだろうけど
ああ、拒絶者とは魔王となり得るほどの力を持つ者が、ヴァーニア様の誘いを断った時に与えられる称号だ
今の所生きている拒絶者は三十四人。その内の三十二名が不老種で、不死種と長寿種に一人ずつ。ボクが産まれるずっと昔から生きているお方もいる
というよりそっちの方が多い
冗談抜きで魔王より強いのが殆どで、魔王着名百年の新参者である私からしてみれば。敵わない
流石に第一魔王並みはボクの知る所では二人しかいない
その方達全員が拒絶者と呼ばれるとこんがらがるので、ボクたちは二つ名を勝手に付ける
例えば、ソフィーは『結界』と言った感じに、元より持つ主要スキルに関する名前がほとんどだ。例外に『キョウ心者』ってのもいるけど
「時間も無いし、被害状況を確認して。陣形を変えよう。早めにやって、夜まで休ませないとね」
「りょうか〜い。ならどの陣形にするか幾つか考えてあるんだ〜。後方に向かわせなきゃいけないから百通りは無いけど〜
後八十通りあるから好きなのを選んで〜」
紙のくせに胸の辺りまで持ち上げて地面に落としたら、鈍い音が鳴りそうな束を渡された
「どんだけ考えてあるんだい!? 向こうの人数的にも何年も戦う訳じゃないよ!?」
「考えて損はありませんよ〜
え〜、三十二番と五十三番〜、五十四番辺りがオススメです〜」
言われた番号の降ってある陣形を確認してみる
ん? は? 何ぞこれ
「ソフィー。お前これ本気? どうするんだい。こんな陣形で」
「暇そうな主様に汗をかいて頂こうと思って〜」
全勢力を街の三分の二まで下がらせるとかアホかー! 走れってか? 上陸してくる兵士を一人残らずボクに狩り尽くせってか!? それなら汗だくになるでしょうね!
「なんだかアホな事考えてそうだから断っておくけど〜
別に一人で戦わせようなんて思ってないよ〜?」
「じゃあ、何するの? こっから『地裂斬』とか『天破掌』とかぶっ放すのかい?」
ボクの必殺技なんですけど、他にもあるけど使い勝手的にはこの二つだろう
「そんな事したら街が壊れちゃうでしょ〜? これだから脳筋は恐いね〜」
「ソフィーに向かって天破掌をお見舞いしてあげようか?」
「私がやろうと思っているのはね〜」
戯れは無視かい! まあ、説明を始めてしまっているので口には出さない。ボクは黙ってソフィーの口にした恐ろしい作戦に耳を傾ける
〜 〜 〜
作戦本部と言うべき建物から出る。すっかり日も落ち、肌寒い夜となった街を、建物の真横にある庭から見下ろす。月明かりに照らされた綺麗なボクの街
これから行われる恐ろしい作戦に、街の美しさに酔いしれる事も無く溜め息がでてくるよ
考えた等の本人はボクの後ろで地面に直接お絵描き。まあ、遊んでる訳でじゃない。現在進行形でお仕事の真っ最中だ
「ふふ〜ん。ふふ〜ふふふ〜ん」
「なんだか不思議なリズムだね。聞いた事も無い」
「これはね〜。マールちゃんが歌ってたんだ〜。私も気に入っちゃってさ〜」
マールが? ふむ、そう言えば彼女は歌上手いもんな。しかし、四六時中一緒にいるはずなんだけど。どこで聞いたんだろう。マールが聞いた事あるならボクにも見に覚えがあってもいいはずなんだけどな
「出来ました〜!」
「うん、丁度こっちも来たよ」
月明かりに照れされた街の中に静かに数百人の兵士が入って行くのが見えた
「言わなくても私も解ってるよ〜」
「そうでした。ボクよりも正確に解ってるか。で? 予想通りかい?」
「うん。私の思い描いた通りだよ〜」
ソフィーは暫く不敵な笑みを浮べた後に、目を瞑った。数分経つと静かにしゃがみ、足下にある魔法陣に手を触れる。先ほどまで彼女が書いていたものだ
「エナレ地区三番通りのスイ邸の庭、カモミールとラベンダーの植木鉢の間で立ち止まった。動きからして間違いなく周辺地図を描いてる。あそこならば月明かりもあるし物を書くに絶好の場所だね」
「了解。『終点座標』」
語尾を伸ばさない珍しいソフィーの言葉を聞いて、ボクは片手を魔法陣の方に向けて座標を決める
スペシャルスキル『点と点』
この街の中でボク自身が飛ぶのには必要ないが、他の者を飛ばすのには一手間書けないといけない。それがこの座標だ
この街はソフィーの条件結界で海側から現れた者を自動的に感知する結界が張られており、更にボクの対象無制限の『始点座標』と僕専用の『終点座標』で覆われている
始発座標を打ち込むのに魔力は使わないので奮発させてもらった。魔力をごっそり持って行かれるのは、対象をゴールに運ぶまで間。距離と重さで消費量は更に増える
凄い大食らい
因みに、キリルがどうしてソフィーの結界から感知されなかった理由は。彼が湾内から出てきたから、しかも大陸側から来てる。水中にも結界を張っておけばまた結果は違うものになっただろう
ソフィーの結界は湾曲した大地を大きく囲うように設置されてたからね。イメージで言うと、桶に薄く張った石けんの泡だろうか
キリルは桶の中から泡の中へと入ってきたという事だ
「大丈夫。飛ばして」
「転移!」
スバンバルガッテオイ。長いので略してスイの家の方を指差し、ほぼ人間大の質量だけを魔法陣の上へと転移させる。鎧とか服とか重いし、疲れるだけ。ああ、何かしらを書いていたものは回収させてもらったけどね
想像通り、人間の転移に成功した。魔法陣の上へと突然転移させられた人間の女は、あまりの非常事態に目を見開いた後。直ぐさま左手に触れた
特に何か描かれている訳でもなさそうだが、なにをしたいのか何となく解った。でも、この女の思うようにならずに数秒が経過した
「な、なんで!?」
「人も魔族も獣人も同じ言語を使うのに、どうして争わなければいけないのだろうか」なんて甘っちょろい言葉は第一魔王の爺さんが言っていれば良いのだ
「転移はできないぞ人間」
「ベガオウ様並みの転移魔法だと!? あり得ない!」
それはボクの台詞です
「黙って質問に答えるんだ。そうしたらお前は死ぬ事も無く、一生を牢獄の中で過ごせるぞ」
「誰が貴様の質問などに答えるか! 私は北コースタインの兵士だぞ! 今直ぐーー」
話は最後まで聞かない。自身の現状にも命という物種が助かるという僕の心遣いにも気がつかない馬鹿とは話す価値は無い
「ソフィー。次はどこにいるんだ」
「ヅフィア地区一番通り、ヴボウタ邸の屋根に一人ここからなら見えるかもしれない。何も書いてはいないけど、街をじっくり見てる。形や戦いやすい場所を覚えているんだと思うよ」
「さっさとやってしまおうか。準備してくれ」
「は〜い」
ソフィーの指示した場所を指差しソフィーの書いた魔法陣のに終点座標を打ち込む。彼女が用意した魔法陣は全部で九個
ボクが街の端から端までを人間大の質量を飛ばせる最大数だ
人間をまた一人転移をして、ソフィーの条件結界で閉じ込める
情報を盗むが狩りである人間をソフィーが集中して捜し出し、ボクがどえらい魔力を消費して転移、ソフィーが結界で拘束
街の戦力を引かせたのは混戦となると、ソフィーがしっかりと判断できなくという理由だ。彼女のスキルも魔力を消費するが、一度張ってしまえば魔力は消費せず半永久的に機能し続ける。なんと使い勝手の良いスキルだろうか
因みになにが恐ろしいかは言わなくても解るだろう。ボクの魔力をべらぼうに消費する事だ。一気に魔力が無くなるとフラ着くんだよ?
「ソフィー。後何人いるの?」
「多分後三人〜。大目に後二人ほど捕まえたいかな〜。急がないと戦闘が始まっちゃうからね〜」
後五回も転移したら汗だくにもなろう。勘弁してください
二人目にここに来た男と、最初の女と同じ様な会話をした後。頑張って転移をしようとしたら後ろから悲鳴が聞こえた。あの女の声だ。どうやらやっと自分が裸だと気がついたらしい
やはり馬鹿か
拝啓、ご機嫌麗しゅうレディース&ジェントルメ〜ン!
今日も後書きいっちゃうよ!
しかし書く事は特にない。強いていうならば新しいファンタジー物の構想が出来てしまったくらいでしょうか?
でも、書くの悩んでます。QAもありますし、異能学園物もあります(こっちはマジで書きたくなった時だけど)
でもでも! もう一つ思い浮かんだファンタジーも面白いお話なんですよ!
QA書き切った後にってのも考えたんですけど、今のペースだと何年後だよって話になってしまう訳です
あ、今決めた。書くわ
てな訳で、QA六割、新作三割、学園物一割の感じで頑張って行きます
よろしくニャン!(二十二歳百七十六センチ、七十五キロの『男』の萌えポーズをお楽しみください)
〈まじキメえWWW〉




