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Q:逃がしたからお前があの魔獣をどうにかするんだぞ? A:うい


 5518文字


 実の妹が参加する戦争よりも気になったらしいので、先ずはアンの事をお義兄さんに話す。出会いから話すのでやっぱり時間がかかる

 アンにとって俺の話す内容がどうでもよかったらしく、御車するソアさんの隣に座ってお話をしていた

 ナイスだ! 悪魔ソアさんのヘイトは現在俺に向いていない


 話はそれるが、俺に『説明』のスキルくれない? あるか知らないけど、『完璧メイドちゃん』があるなら存在はするはずだ

 得意不得意があると言ってもアンの事を説明するのに一時間ってかかり過ぎだと思うの。前世ではこんなに説明が下手だった記憶は無い。というより無い記憶は、俺を含めたありとあらゆる人達の名前だけだ


 流石にこの記憶障害も気にならなくなってきた。そう、十一年くらい前からどうでもよくなってきた


〈殆ど最初からじゃないですか〉


 当たり前だ。だって前世の記憶でないのは名前だけ。仲の良かった人達の名前を思いだせないのは少しだけ残念だけど、やっぱり思いでの方が大事だからね

 結局は名前なんてものは記号でしかなかったんだ。だったら覚えてなくても良いかなと


 さて、アンの事を説明し尽くした頃お義兄さんは唸っていた

 今回俺らがどうして魔王に同行して移動をしているか。という事を理解したらしい

 察しが良くて俺は大助かりです。まあ、ソアさんを危険な目に遭わせてしまうというリスクを孕むからお義兄さんは嫌だろうけどさ


 今も苦虫を噛み潰して更に、舌で上顎に擦り付けた様な顔をしている

 ウィルも言っていたが、魔獣にも強さにムラがあり

 ウィルと第二魔王のトレミーはほとんどの魔獣を、それ以外の魔王はワンランク落とした魔獣の討伐が可能となっているらしい


 第一と第二魔王の強さは魔王でも少し抜きでているという事だろうか?

 因みに第二魔王の主な仕事はその魔獣の討伐となっている。最多で搗ち合うのはかなり自由に行動をしているツトジスらしい

 しかも、両者共に魔法を得意とする。戦えばガチなのです。それはもうガチ、どっちの魔法が優れているかを競う形で戦いになるとか


「なるほどね。ま、ヴァーニア様の命令ならば仕方がない、か

 だが義弟よ。私が真っ先に助けるのはソアだからな? 極力自身の力で解決するように」

「御意」

〈武士か!〉


「さて、この話は終わりでいいだろう。戦争の援軍としてそれなりに気持ちを作っておくといいよ」

「あ、そうだ。お義兄さんに伝えなければならない事があります」


 首を傾げるお義兄さん。伝える事と言ったら勿論、例の大砲の事である

 弾丸の大きさ、最大飛距離と不確定要素は余りにも多い。しかし、一体どんな物で、どんな能力があるのか、だけは伝えなければならない


「その大砲の話が本当だとすると、ラサンの防御装置は全てが無駄と考えていいだろうな」


 話を終えると同時にお義兄さんは冷静にそんな事を言い出した

 止めて欲しい。そんなおっかなびっくりな脅しは聞きたくない


「因みに防御装置というのは?」

「先ずは、魔法によって作り出した三十メートルを超える巨大な壁だ。それがC字型の入り江を囲うように三枚

 その壁の海側には更に倍の高さと堅さの結界が街全体を筒状に覆う

 結界の特性として外からの攻撃は防御するが、中からの攻撃はすり抜けるというものだ


 他にも街全体には高度な感知結界が張られて、街に入りさえすればどこに誰がいるかを一瞬にして気がつく事ができる」


 確かに防御は高そうだ。防御というのだから担当はコレットさんかな? 旅をしてた三日目か四日目に「私は主様の盾ですから」とか言ってた気がする

 あれ? でも、彼女は魔力がそこまで多くないから三十メートルの壁を三枚も作れるとは思えないな


 感知結界に至っては、確かソフィーさんの管轄だった。結界繋がりでやったのは六十メートルの防御結界はソフィーさんの物かも

 まあ、考察した所であの大砲の前では全てが無駄


「俺たちがラサンについたら真っ先にその大砲の破壊を目的としたいのですが」

「その意見には賛成だな。ヴァーニア様の送ってきた絵にはそれが三門ある。一つでも脅威だからな」


 お義兄さんの言葉に頷いていると、ただ一つ障害がある。そう言って人差し指を立てる


「障害?」

「ああ、勇者サンゴだ。アレは人であれば最強。久遠人までとは言えないが、私も一対一では絶対に勝てない。アビーでも無理だろう。多分」


 え? それなんて生き物?


〈人間です〉


 いやいや、魔王がタイマンじゃ勝てませんなんて言うか、普通

 なにが勇者だ。ただの化け物ではないか。あ、大魔帝王が言っていた今回の強敵ってのはその勇者様の事か

 因みにお義兄さんは最後に、ウィルと大魔王二人、大魔帝王の名前を挙げる


「あの方々ならば簡単な話だろうけどな」

「まあ、居ない方々の事を話していても仕方がありません」

「全くだな。正直気乗りはしないが、いざとなれば勇者は私がやるか」


「え? 勝てないのでは?」

「一対一、ならな。これでも私は魔王だ。更には援軍としてラサンに向かっているのだから、総力戦で負ける気はないぞ」


 ん? 言っている意味が解らない。お義兄さんがソアさんから離れて戦うというビジョンは一切浮かんで来ない

 ということで、彼は絶対戦場でもソアさんを守りながら戦うに決まっている。ソアさんはどう見ても非戦闘員だ


 あの天然な性格でカタリナさんみたいに戦ったらドン引きである。お荷物を抱えたまま勇者サンゴとやらを倒すろ言う事か?

 相手がどれだけ強いか解らないけど、無理ゲーだろ


 あ、これ考えても解らないヤツだ。スキルとかのお話だろうけど全魔眼でも見えないのだから、もう考えなくていいや


「ま、取り敢えずは勇者は私がなんとかする。大砲の方を任せても良いか?」

「いや、流石にどうでしょう。向こうも壊されるわけにはいかない訳ですし、俺一人加わったくらいじゃ破壊はできないと思いますよ」

「じゃあ、お前が勇者とやるか?」


「大砲の方を頑張ります」


 二択を迫られたら、そらもちろん大砲でしょう。わざわざ人間最強と戦う気はない

 お義兄さんが勇者と戦う事が決定。更には俺が大砲を壊すのも決定


 一応大砲の写真はアビーにも送られているので、それ専門の部隊もあるだろう。そこと合流するのが一番だと思われる

 そこからはラサンの街の細かい構造とかを聞いたりして、時間は瞬く間に過ぎていく


 ウィルと別れて半日以上が経過し世界は暗くなってきた。森の中という事もあり、暗くなるのは平原にいる時よりも早い。ソアさんが馬車を止め野宿の準備を始める

 どれ、俺も手伝うとするか


 家とか建ててみたりして

 因みにそれをやったらお義兄さんから変な目で見られた


「義弟よ。お前、魔力の抽出をこんな事に使うなよ」


 勘違いされたが、そう言う事にしておこう。わざわざ言う事でもない


「わあ! キリル君ってただのホモじゃなかったんですね」

「はっはっは! そうなんですよ。ホモでもありませんがね」


 最早ヤケクソ


「ほも?」

〈アン! いけませんよ。そんな事を気にしては! 主のように駄目な大人になってしまいます〉

「え? パパは駄目な大人なの?」


 余計な知識を与えないようにする事は褒められるが、俺をディスるの止めてくれない!? アンも真に受けちゃうからさ!


 お義兄さんとソアさんが俺の建てた家を見上げている最中で助かった。アンの一人で話している様な姿は見えていないようだ

 そこでふと馬車の上に乗っかっている置物に目がいった


「お義兄さん」

「なんだ?」


 呼んだら直に来てくれた。ソアさんは夕食の準備を始めるっぽいね

 お義兄さんとアンの三人で並び、馬車をみる。どうにも二人は馬車よりも俺をみているようだけど。その不思議そうな顔はなんだい?


「お義兄さんは、タコとトカゲとカメレオンがお好きなんですか?」

「はあ? 何言ってんだ? 別に好きじゃないけど?」

「あれ、そうなんですか。屋根の上にそれらを合わせた様な置物があるのでてっきり。面白い置物ですね」


「パパ」


 アンに呼ばれたのでそっちを向く。めちゃくちゃ怪訝な顔をしている。何その顔


「そんな物どこにも無いよ?」


 ……はい? あっ!

 気がついた時には遅かった。屋根の上に乗っていた置物だと思っていた物が突如動き出し、俺の顔面を尻尾で弾き。お義兄さんを他の尻尾で弾き飛ばす

 俺は見えていたので寸での所で踏みとどまる事が出来た。視線を戻すとアンの姿が無い


〈主! 来た道です!〉


 全魔眼に言われて視線を動かす。黒い生き物がアンを連れ去っていた

 俺も急いで後を追う。知覚強化スキルは八十倍だ。あのヘンテコな生き物はどうやら足は速くないようだし、直ぐに距離を詰める事が出来そうだ


 しかし、ああクソ! 俺だけしか見えてなかったのか!

 全魔眼の持つ視覚に関するありとあらゆる能力を無効化する力が、まさかこんな所でデメリットを産むとは! ノアで学んだと思ってたけど、学習能力が足りなかった!


「やいやい! あっしが見えるとかお前どうなってるんでい!?」

「黙れ! さっさとアンを置いて行きやがれ!」


 あいつが何を言っているのか解らなかったが唇を読んで会話をする。どうやらアレは魔獣っぽいな。しかも、ノアのスキルの上位互換とみていい。声が聞こえない、という事はそう言う事でしょう

 アンは今もあの魔獣が見えていないようで別けも解らずにもがいている


 尻尾四本分の一撃で木を倒していくのでどうにも追いつく事が難しい。面倒な事をしてくれる


「全魔眼。共有眼でアレは見えてないのか?」


 小声で全魔眼に話かける。今はお義兄さんも居ないし、大丈夫なはずだ


〈見えてはいますが、どうやら視覚を共有している本人には見えていないようです〉

「アンに指示出せるか?」

〈了解致しました〉


 まだ何をするか言ってはいないが、なにをさせたいか察した全魔眼はアンに指示を出す


〈アン。黙ってわたくしの言う通りにしなさい〉


 こくりと小さく頷くアン。彼女は今、尻尾の内の一本で、ぐるぐる巻きにされて身動きが取れない。そんな中無理クリ、モゾモゾと動いて準備を整える


「魔獣さん!」

「なんでぃ。お前さんもあっしが見えてるんですかい」


 アンを捕まえる尻尾が魔獣の顔の近くに伸びる。伸縮性があるんですか


「いえ、全く見えてもないし声も聞こえていないの!」


 アンの返答に魔獣の頭の上にクエッションマークが見えるようだ。実際アンも何かを探すように首を細かく左右に振る


〈もうちょい右、行き過ぎです。ああ! そこ、そこです! 主〉


 スポン。そんな音がするのではないかというほど簡単にアンの左手が尻尾から抜け出た

 魔獣の顔はギョッとしている事間違いない。確かにぐるぐる巻きにはされていたが、完全に動けないという事ではない


 なので、アンには先ず右腕の義手を一部外してもらい。固定具を尻尾の隙間から出してもらった

 あとは簡単だ。アンが魔獣に声を掛けて顔の近くまで移動。全魔眼に指示を出してもらいアンはどこを殴れば良いのかを確認させる


 合図で俺が魔法で作り出した義肢を消し去り、空いたスペースで身体をズラす

 そしてアンの身体能力で、持てる力一杯の拳で、殴る


 面白いように魔獣の顔にクリーンヒットしたアンの拳。実はちょっぴり効かないのではないかと思っていたが、この魔獣には十分過ぎる威力だったらしく

 大きく仰け反り、仰向けに倒れ込んだ


 ハッハーー! ナイスパンチだ! 直ぐさま駆け寄り尻尾からアンを引きはがす


「大丈夫か? 良くやったぞ」

「パパ。なんだかめちゃくちゃ変な感触だったの」


 それは爬虫類に近いからだと思う。俺は好きだよ爬虫類。可愛い。この魔獣は可愛くないけど

 この尻尾をタコ刺しにできるのではないかと触って確認していると、お義兄さんが後を追ってきた。ソアさんが居ない所をみて、ちょいと時間がかかった所をみると、何かしらの対策をとってから来たようだ


 なにを触っているのかを不思議そうな顔をしている辺り、この魔獣のスキルは気を失っても発動し続けるタイプだったか。やべえ、どう説明しようか

 ノアのようにハイエルフに知り合いが居ない訳ではないからな


「そこに何か居るのか?」

「ええ、まあ」

「別にスキルの事は聞かないよ。私もあまり人に見せられるスキルじゃないからね

 そこに居る者の容姿を聞いても?」


 おお、ラッキー。八本のたこ足尻尾に、蛇の様な体表、カメレオンの様な容姿を教える


「ああ、ハイドハンターの魔獣か。潜入と情報収集がメインの魔物だ。戦闘能力はほとんどないが、隠れれば見つける事は先ず不可能だ」


 あ、ちょっとやらかしたかも


「隠れたこの魔獣を見つける事ができるお前のスキルは聞かない。だからその魔獣の魔核をくれ」


 おっと、その理屈は解らない。聞かないでくれるのはありがたいが魔獣ともなれば魔核から得られる魔力の量も相当なはずだ


「え、この生物のサイズは契約の内に入らないと思うのですが。きっと大きさもたいしたこと無いはずです」

「戦争までにもう少し抽出しておきたい」

「それは奇遇です。俺もそうですから」


 俺は黙って立ち上がる


「ここはジャンケンで決めましょう」

「良いだろう」

〈あ、主。逃げました〉


 え?

 振り向くともうそこには誰もいなかった。アンは俺の隣に居るので、どうにも急いでこの場から逃げ出したらしい

 魔核を取り除いておけば良かった


「どうした?」

「逃げました」


 もの凄く残念そうな顔をされた。残念な物を見る目だ

 まあ、そうだよね。ごめんなさい


 しかし、逃げたとなれば警戒していかないといけない。面倒だ


「居ないのなら仕方が無い。取り敢えず戻ろう。ソアが心配だ」


 アナタはそればっかり。まあ、頷いて従うけどさ。帰る最中も辺りを警戒しながらアンを抱き寄せる。ついでに義手ももう一度作り直して渡しておこう


 因みにこの時の俺らは知らない。この後あの魔獣がとんでもなく頻繁にアンを連れ去ろうと襲ってくる事を





 遅れて申し訳ない。テストが近くて遅れちゃいました


 テストもあるので二週間くらい投稿しなくなります。ですが次回はラサン編。早く書きたいですが暫くは誤字脱字修正だけとなります(最近やってねえな)


 バイ!

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