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Q:本当に、俺様は期待して良いのか? A:フェンリル様のご期待に応えられるよう全力で当たらせて頂きやす


 3604文字


 キリル達一行が村を出て一ヶ月ほど経った頃。月が真上に昇る丑三つ時に、とある深い森の中で多くの魔獣達が集っていた

 その中には


 金色の体毛に身を包んだ魂食獣・ライラ

 キツネのお面に毛むくじゃらの長い手足とリスの尻尾を持つ魔道化物・ツトジス

 白い鱗に包まれ、長い鬣を弄るドラゴン

 五十人が綺麗に整列して並ぶ前に立つケンタウロス

 三十メートルを超える巨体を持つサイクロプス

 他にも数種類の魔獣が、とある魔獣の周りに座る


 中央に座る魔獣はあぐらをかいて頬杖をついていた。道中幾つも跳ねた地面に着くほど長い青髪を持ち、身体には湯気のようにうねる青い入れ墨。上裸で袴のようにひらひらとしたズボンを履いている

 ほとんど人間と変わらぬ容姿の魔獣は牙だけが人間離れしているのが見て解った


「あのさ。今の報告で、俺様が納得できると思うか」

「おもわん」

「思わないと思う」

「できれば納得して欲しいのう」

「こっちにだって理由があったんです。許してください」


 中央の魔獣の言葉に、ライラ、ツトジス、ドラゴン、ケンタウロスの順番で答える。中央の魔獣は、両手で頭を抱え月明かりだけの空を仰いで叫ぶ


「お前らがしっかりすれば首都以外なら大体攻め落とせるだろう!? なんで、ライラの小腹を満たしただけで事を終えてんだ! はい先ずライラ! 納得できる言い訳を!」

「第一魔王が強過ぎた。相性悪過ぎ」


 かなり正当な理由に聞こえるその言葉に魔獣はやはり吠えた


「それはお前がたらたら仕事してるからあ! 次!」


 指を指されたツトジスは口元を人差し指で突きながら答える


「アタシの配下まものにもお洋服が貰えるなって思ったから仕方なく見逃した」

「完全に私利私欲! ドラゴン!」


 名前を呼ばれたドラゴンは一呼吸置いてから急に目を見開いて答えた


「ツトジスが可愛かった!」

「聞いてねえええ! 最後!」

「位置バレは無理でしょう」

「強いんだからもっと頑張って!」


 叫びっぱなしの魔獣にツトジスの魔物が水を持ってきた。青髪の魔獣は一言お礼を言って水を受け取り飲み干す


「何でお前ら強いのにそんな馬鹿なの?」

「はっ! 毎回性懲りも無く大魔帝王にプチッとやられるフェンリル様に言われたくないわ」

「黙れライラ。文字通りプチッと殺すぞ! コラあ!」


 長い髪の毛が地面から少し浮いたフェンリルと呼ばれた魔獣。その魔獣はこの場に集うどの魔獣よりも身長が低かった


「ははは! 笑わせてくれる! 主要スキルの内、二つも使用不可の貴様に負ける訳がない!」

「やれるもんならやってみろ! お前のちゃちな魂製器位、俺様の炎で溶かして纏めて人様の世界で換金してやる!」


 髪の毛が青く燃え上がったフェンリルと、魂製剣器を作り出したライラが立ち上がり視線だけで火花を散らす。魔物達はトップの魔獣の命令で一目散にその場から離れていく


 血の気の多いサイクロプスは騒ぎだし

 良く言えば穏やかな性格、悪く言えば面倒くさがりな性格のケンタウロスは溜め息をつきながら成り行きを見守る

 白いドラゴンは他のドラゴンの魔獣がいつまで経ってもこない事を気にしつつ横目でいがみ合いを観ていた


「フェンリルさんもライラさんも落ち着いて。ホントに喧嘩始めたらなんの為に集まったのか解らないから」


 数ある魔獣の中で唯一。ツトジスが止めに入った


「今回の作戦は本当に申し訳ありませんでした。確かに少しばかりアタシ達もふざけ過ぎです

 でも、タイミングが悪いんですよ。ライラさんもアタシも、対象に近づいたのがフィールド内に居る時でしたし。フェンリルさんだってその時に行けって命令したでしょう?」


 ツトジスの言葉に思い当たる節しか無いフェンリルは押し黙る。二ヤつくライラに対してもツトジスは注意を促し二匹の魔獣を正座させた

 いざという時しっかりとした性格となるツトジスを見つつドラゴンは微笑む。その顔は人によっては若干気持ち悪い物となっている事に本人は気がついていない


「二回目の襲撃、というかアタシとドラゴンさんが失敗して既に一ヶ月経っています。フェンリルさんの思いついた奇跡的に理にかなった作戦までもう期限がありません

 ここで作戦の確認をしますよ」

「あれ? なんで俺様凄くナチュラルにディスられてんの?」


 フェンリルの言葉を無視してツトジスは続ける


「ここまで多く集まったアタシ達魔獣との戦闘には、向こうも大魔王と魔王を全員集めざる得ません

 しかし、魔王や大魔王を直接叩いて数を減らすのはフィールド内に居る限り手間と時間がかかります


 そこで今回の戦争。人間と魔族が争っている間は第三魔王は確実に足止めできます。収集してくれた情報によれば第六魔王も戦争に参加すると聞きました。魔王が二人も、更には二人とも魔王の中では余り敵に回したくないタイプ


 久遠人を確保し、フェンリルさんに捕食させる事が出来たら。大魔帝王は戦争とアタシ達魔獣の両方を鎮圧しなければならない。片方に集中できないというのは、こちらとしても都合が良い」


 第六魔王を差し引いたのがフェンリルさんの思いついた作戦です。そうツトジスは一旦話を止める

 考案者であるフェンリル以外の魔獣達は、奇跡だ。とか。ツトジスが考えたんだろ? とか。あの脳筋のフェンリルが? とかを口々にしていた


 「死にたいのならそこに並べ」そうフェンリルが頭に血管を浮かび上がらせながら吠える。それを押さえ込むように三回手を鳴らしたのは、ツトジスの指示を受けたドラゴンだった

 再度静かになる集会の場でライラが手を挙げる


「一つ良いか?」

「勿論ですよライラさん。何ですか?」

「この森からツトジスの魔法で位置の解っているヤツの元までドラゴンを使って、どれだけ頑張っても一ヶ月はかかる。最後のチャンスと思っていいのか?」


 ライラの質問に、フェンリルとドラゴンの顔を一度見てから答える


「まあ、フェンリルさんがこの森から出よう物なら私の張った結界も消えちゃいますからね。その認識でも構いません」


 何度も自分に言い聞かせるように頷くツトジスに痺れる足を抑えるフェンリルが噛みつく


「だったら俺様も行けばいいじゃないか。そしたら何度も強襲できるだろ?」

「はあ?」「はあ?」


 呆れ気味のライラの声と、少しばかりの怒気が加わるツトジスの声。ツトジスはこめかみを抑えながら、ピクリとも動かないフェンリルの足を軽く蹴った

 足のジビレが限界を超え、情けない声で地面に倒れるフェンリル。蹴った張本人はのたうち回る魔獣を見下しつつ、何度も痺れた足を小突く


「ちょ、ちょっと待て悪かった俺様が悪かった!」

「フェンリルさんの為に作ったこの結界がどれだけの苦労で出来ているか解って言ってるんですか!? 丸二百年かかってフィールド内に建てたこの結界は!

 魔獣の感知から外れる事のできる唯一の方法なんですよ! 元々復活したら直にでも首都を襲いたいって言うから建てたんですからもっと大事にしてください!」


「わかった! 大いに解ったからもう止めてくれ。死ぬ!死ぬ死ぬ!」

「フェンリルさんは死なないでしょう!」


 結局はツトジスが一番場を乱している事には誰も突っ込まない。それを突っ込んでツトジスの気を消沈させてしまえば、今度はドラゴンが暴れるからだ

 ツトジスのお仕置きを見つつ、足の感覚が無くなりつつあるライラは踏まれて悶絶するフェンリルに声を掛けた


「大体、あと二百年もしたらスキルだって回復するだろ? なんで今なんだ。二百年後でも良いだろう。戦争なんて何度も起こる」

「二百年も待ってたら、五十年後にはヘラが。百五十年後にはヨルムンガンドが先に復活するからな。ヨルムンガンドの方は良いとして、ヘラは駄目だ。あいつガチだから」

「ああ、お前さんの妹か。私もコースタインに言ったから解るが、あいつにはもう会いたくない」


 完全に足の感覚が消え去ったライラは遠い目をして夜空を見上げる。フェンリル、ヨルムンガンド、ヘラの三兄妹の内。最も性格の悪い一番下の妹。黒い笑みを浮べて毒を吐き、高笑いをする姿を思い浮かべた

 地に伏せるフェンリルを見て機嫌の収まったツトジスは冷静に自分のした事を思い返し咳払いをする


「で、次は誰が行くかって話ですよ。アタシは第一魔王さんと約束があるので服を貰うまでは手を出しませんからね」

「私も第一魔王とは戦いたくないな。もう少し時間をくれ、あの魔王よりも強くなる時間を」


 有力株の二匹は早々に行かない事をフェンリルに伝えた。移動手段としてドラゴンが行く事は決まっている。しかし、そう考えても戦力的には厳しい物があり、自然とケンタウロスやサイクロプスに視線が集まった


「隠れている位置に、近づいてくる方向がバレるのはちょっと困ります。パスで」

「ツトジスが行かないのであれば、ドラゴンには乗れないだろう。無理だ」


 結局は拒否。知恵を絞る魔獣達にとある魔獣が名乗りを上げる


「ならば、あっしが行きましょう!」


 その声を主を見て森は一気に静まり返った


 あまりのミスマッチ加減に驚きを隠せなかったから





 ヨルムンガンドもヘラも名前は出ましたが最後のお話以降の登場だから、この作品には出て来ないです


 最後のお話を書き終えたら、書き直しをしてから『続きのお話』を書くので、数年後に期待をしておいてください

 リアルの忙しさに後書きも満足に書けないこの苦しみを誰かと共有したい


 エ? 後書きをこんなに無駄に使ってるのは私の他に居ないって?

 そげな馬鹿な

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