Q:お久しぶりです主。お変わりありませんか? A:ごめんなさい。誰ですか
長い後書きすいません
3583文字
全魔力の四分の三程を消費した。思ったよりも魔力を使った。やっぱり細胞の事とかも考えないといけなさそうだ。まあ、打っ付け本番で成功したんだ。文句は無い
身体の痛みが引き、腕も生えてくる。根元から徐々にではなく。骨が出来てその周りを筋肉や血管、神経が肉付けされていった。目覚めて早々、気色悪い物を見た
〈お久しぶりです主。お変わりありませんか?〉
「うん。ごめん誰だっけ?」
〈覚えていないのは、仕方がありませんね〉
鼻で笑った様な溜め息が聞こえる。主とかなんとか呼んどいて溜め息をつくか
しかし、現状解らない事が多すぎるので邪険に扱う訳にもいかない。身体を起こして辺りを見回す
小さなテントだ。木造の骨組みに大きな布を被せてある簡素な造り、地面に一枚だけ敷かれた布。俺は床に寝かされていたのか。一応怪我人だったんだけど。まあ、お腹に薄いタオルをかけててくれただけでありがたい
あぐらをかいて一呼吸
「お前は誰でここはどこだ?」
〈私は、いちオーバースキル。ここは谷底。処刑の谷の底です〉
ふむ、やっぱり俺はあの崖から落ちた。信じたくもない。だって明るいもの。本当にあの真っ暗闇だった谷底? せめて助かった理由を知りたい。熟れたザクロにならなかった理由を
さてさて? オーバースキル。聞いたこと無いな。スキルという言葉に感動を覚えるがノーマル、レア、スペシャルの三種類じゃなかったっけ?
〈オーバースキルは四種類目。人知では説明の付かない。神の域に達したスキルの事です〉
「神の域〜?」
〈はい。創造主より伝言があります「転生する事になってしまってすまなかった」と〉
「いやいや! 神様といんの!? 会えんの?」
〈流石に会うのは。転生時、主に私を授けてくださいました〉
「転生なんかやっぱ」
〈そうですね。伝言以外にはあまり話さなかったので知りませんが〉
俺にこの喋るスキルを授けて何がしたいんだ? つーかなんで謝罪文? ……神様の事とか考えるの構成物質考えるより面倒だからいいや
ある種の事柄は、知らないものは知らないままでいい
「あまりって事は全部じゃないのか?」
〈はい。他には、主を含め他数名がこの世界に転生していると聞きます。これ以上の事は特に〉
ふむ、俺以外の転生者ね
興味ないな!
どうでもいいし、俺は楽に生活がしたいだけだ。あとは、ビオを殺したキメラを殺せれば何でもいい
沸々とわき上がる怒りを感じていると、テントの前に気配を感じる。悪い気配ではない。よくよく探れば結構な数の気配を感じるな
〈外見ますか?〉
「その質問の意味が分からない上、チョイチョイ俺の心を読むのやめて?」
〈え〜〉
本当にスキルかコイツ?
テントの中に誰かが入ってくる。父や母の気配は感じない。あぐらをかいたまま入ってきた人を見る
「あ、起きてた。って、手が生えてるうううう! スゲエ回復魔法だな!」
やかしいぃ。なんだこの五月蝿いのは。……ん? あれ、この人。肌黒くない
三十歳くらい、白い肌に金髪、青い目をしている。まさか人間? 聞いた話では谷に落とされたのは人間側の捕虜では? てことは魔族になるはずだ
はて? 首を傾げつつ入ってきた人を見る
「お、不思議そうだね少年。なんで人間って顔だ。ここがどこだか解るかい?」
「あ〜はい。谷底ですよね」
「認知してるだけマシだね」
いや、聞いたんです。俺のスキルに名前とかあるのかな?
〈スキル名は『全魔眼』です〉
誰か〜! コイツに心を読まれないスキルを、俺にくださーい!
「君の考えてる正しいと思うよ。人間側の捕虜をこの谷に落としたって話だろ?」
俺の心を読むのがはやっているらしい
「ええ、まあ。そうですね」
「その戦争で魔族側に味方した人間がいるんだ。俺らはその子孫さ」
なんだろう。ドロドロした話になってきそうだ。俺はそんなの望んじゃいない。ぶっちゃけこの話聞きたくなくなってきた
「難しそうな話なんでやっぱり話さなくていいです」
「そうかい? 君は随分と賢そうなのになあ」
だからなんでそんな事が解るのか。適当に喜んでおくか?
〈主。その人は読心術系統のスキルを所有しています〉
ほ? なんで解る?
〈スキルですから〉
全魔眼。今思えば相当にぶっ飛んだ名前だ。魔眼系スキルが幾つかあると聞いてたが、一応聞いておこう。お前はどの部類になるんだ
〈千里眼、予知眼、鑑定眼、魔力眼、天鏡眼、停止眼、催眠眼、麻痺眼、共有眼。まあ、世界に存在する魔眼なら全て使えます〉
チートやん?
〈オーバースキルですから。鑑定眼で彼を見させてもらいました。スペシャルスキルの読心術を持っていますね。スペシャル級の読心は滅多に見れる物ではありませんよ〉
「読心術ねえ」
おっと、いけない。口に出た
金髪のお兄さんが驚いた顔をしているよ。スキルを隠してたのかな
「これは驚いた。急に心が読めなくなったと思ったら俺のスキルが解るのかい。子供だからといってガッツリ読み過ぎたかな?」
「いや、こっちもそういうスキルですから」
心が読めなくなったらしいけど? 全魔眼。お前何かしたか? 全魔眼って呼びづらいな
〈ああ、はい。勝手ながら、催眠眼で私たちの会話を聞き取れない様に誘導しておきました〉
マジでか!? なんでもできるんだな
〈いえ、あくまでも補助形のスキルですよ。直接的な攻撃手段はありません。主の前世の知識に入ってる。見ただけで相手を殺す事ができる魔眼は流石に〉
最後の部分は、小馬鹿にした様な笑いだった
人間味が凄いなこのスキルは
〈魔眼系のスキルは何かと弱点が多いですから〉
え? そうなの?
〈まず、相手に効果がある魔眼は、視界に入っていなければ発動が出来ません。速すぎる相手や、透明になれる相手には効果がありません
所持者に効果のある魔眼は視力に大きな損傷をもたらします〉
う〜ん。確かに使いにくいスキルではあるな
〈まあ、私にはそんなの無いんですけどね! 千里眼か天鏡眼を使えば視界には嫌でも入りますし、速すぎる相手には予知眼を使えば目で追えます。更には私を使えば視力の低下は起きません! でも、主の目を使うと落ちるかもしれません〉
なんなのコイツ。人間のお兄さんも俺のスキルの事を考えて黙りこくっちゃってるし
ふむ、この世界ってもしかして魔法よりスキルを重視した世界なのか? よくよく考えればスキルの方が便利だしな。でも、魔法の世界で魔法を使わないという選択肢は俺には無い!
清く正しい堕落した生活の為に俺は魔法を極めるのだ
しかし、全魔眼は素晴らしいスキルだ。勝手に話して心を読むが、その分性能は折り紙付きという事だろう。仮にも神の域のスキルだ。この力さえあればキメラを狩る事も容易いだろう
〈あ! 主。一つご報告が〉
なんだね?
〈私は数あるスキルで魔力を消費するタイプでして、主の魔力総量を確認した所。私を十分に使うだけの魔力がありません〉
なん……だと?
〈笑っちゃう事に、低コストの魔眼を使っても十回使ったら魔力切れます。予知眼だったら三回〉
笑えねえよ!? 何一つ笑えない! なんで笑うの? 俺は泣きたいよ
「少年。一ついいかな?」
「ええ、なんでしょう?」
自分でも解るくらい落胆してる。返事に力がこもってない
お兄さんはかなり真剣な顔だがなんでしょうか
〈なんでしょうね?〉
黙ってて欲しい
「まあ、なんだ。信用できないかもしれないんだけどさ。このスキルは、誰かと話している時、自動で発動しちゃうんだ。知られると皆気味悪がるだろ? 黙ってって欲しいんだ」
「ああ、それくらいだったら別にいいですよ。助けてもらったお礼にもなりませんが、誰にもいわない事を誓います」
「本当? 君の心は読めないからちょっと不安いなるよ」
ん? 全魔眼。自動発動なのに誘導とかできるもんなのか?
〈単にこの人が他人を信用できないだけだと思いますよ。常にスキルが発動してるのは信頼できてないから。大体の読心系は、不信感が発動条件です〉
悲しい人だなあ。誰かと仲良くなりたいけど、その人がどう思ってるのか、嫌われてるのかもしれないという不安感から出来たスキルってことか
〈ご明察〉
まあ、人の出来た人が持ってて良いのかもな。腹黒い人がこんなスキル持ってたら嫌だし
お前、封印眼とかないの?
〈そんな便利な能力欲しいですね〉
要はねえって事ね
〈否定はしません〉
なんでお前ちょっと偉そうなの!? 俺を主って呼んでるのに
〈失礼〉
俺はお前が解らん
〈主好みの性格に設定したつもりですが? 前世を鑑みて。これでも主の事を思ってるんですよ?〉
「いらぬ心遣いです」
全魔眼とお兄さん。二人への返答だ
「ありがとう。まさかあの重傷を回復できる程の魔法使いだったのは驚きだ。外に出れる? 皆に紹介するよ」
「それはありがとうございます。俺の名前はキリルです」
「ああ、俺はアダフ。君もあまりスキルは使わない方がいいよ。ここはそんなの使わなくてもいい平和な土地だからね」
差し出された手を取り立ち上がる。そのまま握手をした
タイトル通り話せないのはなんでだろう……
あ、あと神様とか出すと話が壮大になり過ぎるので(私の作業が増すので)これっきりです。名前しか出てきてないけどね
前回、ビオを谷に落とすか、魔物に負けるかを最期まで考えてました
最期に、最速眼というのは我らが大総統の様な目です。今後使う予定があるので、いい名前が欲しいので募集します(編集済み)
鋼の漫画さんに影響を受け過ぎなのは解りますが、見逃してください
2017年5月6日 誤字脱字修正。まだまだ募集中




