Q:夢は? A:平和で楽な生活
残虐な描写の欄にチェック入れるの忘れた
タグ付けて来なきゃ
4262文字
熱い熱い熱い熱い熱い!
目の裏と脳が焼ける。涙が止まらない。それだというのに身体は寒くて、震えが止まらない
両目を抑え、痛みに耐える為踞り毛布で身体を包み暖をとる
そして、得体の知れない恐怖がこの身を襲う。恐怖以外にも俺の危機感知がこれまでに無い程反応していた。メーターがあるとすれば数値は振り切っている事だろう
家の前で倒れた時、ビオが俺を見ていたので良かった。ビオが俺の近くまで駆け寄り、泣きながら騒いだ。そのおかげで父も母も異常に気がついた
直ぐに父が俺を家の中に運び入れ、その後母が回復魔法をかける。しかし、母の魔法は俺に効果が無かったのだ
ここで俺に疑問が。病気は魔法で治るのか? 実験なんて物はできるはずも無く。聞きたいけれど声を出す事もできない程俺は弱っている
ヤバいよツラすぎる。意味も解らなく転生して三年で死ぬのか。ああ、死ぬ前にもっと研究したかった
電子レンジに冷蔵庫、ライター、扇風機、加湿器、ストーブ。この世界で作りたい物はまだまだあった。今世を楽に過ごす為に努力したのに……くそお!
電気の事を研究して、火力発電とかやってみたかったのに! 電気系統の構成物質なんて物があるのかは疑問だけど
「キリル大丈夫?」
寒さと怒りで震える俺にユリアーナが心配して声をかけてくる。ユリアーナの隣では母が必死に回復魔法をかけているが効果はやはりない。母の後ろでは父が何もできない事に苛立ちを見せていた
あ、母とは逆サイドにビオがいる……おかしくないか?
俺は今寝室で両目を覆い、毛布にくるまって寝ている。なのになんでこんな事が解るんだ?
疑問が解けるよりも先に家の玄関が勢いよく開かれた
「ドライファオ! 魔物がでたぞ!」
ドライファオ? ああ、父がそんな名前だったな。久しぶりに聞いた。玄関口で大声を上げたのは、後頭部が肩甲骨まで湾曲しながら伸びるタイプの魔族。彼も父に負けず劣らず筋骨隆々だ
だから待って欲しい。なんでそんな事が解るんだ? ここは寝室で彼がいるのは玄関だぞ
父が寝室から出て彼の元へ行った
「ウィカオ。すまない。息子が原因不明で倒れたんだ。皆で持ちこたえられないか?」
「っぐ! それは一大事だが、こっちも一大事なんだ。村の存亡が掛かっている」
「なに?」
なんだなんだ? 随分と急な展開だな
「ここらじゃ見ない様な強力な魔物が一斉に村を襲ってる。重傷者が多数でた。ルマリも急いで出てきて欲しい」
「……わかった。今いく。ルマリにも話すからもう少しだけ堪えててくれ」
「ああ! だが、そんなに長い時間はもたないぞ」
「わかってる!」
怒りを無理矢理押さえ込んでる父は、寝室に帰ってくるなり母の耳元で先ほどの事を話す
母はハイエルフでも一番の回復魔法のスペシャリスト。この村でも母を越える回復用員はいないだろう。自分の重要性が解っている母は、俺を見ながら下唇を噛む。目には涙も見えた
今にも死にそうな俺か、村を助けるかを頭の中で選んでいるのだろう
歯と歯が音をたてて何かを噛み砕く音が小さく聞こえた後、母の口から血が流れ出した
「ユリアーナ。母さん直ぐ帰ってくるからそれまでキリルをお願いね。ビオ君もここにいなさい」
血を流しながらの母の言葉にユリアーナもビオも、頷く事しかできなかった。父も母も目が据わっている
「キリル。少し待ってろ。速攻で終わらせてくるから」
今までちょっと不甲斐ない父親だと思っていたが、今の発言を実行できるのだと直感した。父からあり得ない圧力を感じる。正直言ってこのまま厳しい訓練に堪えれば、大人になった頃父に勝てる様になると思っていた。しかし、ハッキリと解る絶対に無理だ
母から感じる魔力も肌に刺さる様に鋭い物となっている。改めて認識させられた。こんな化け物から俺は産まれたのか?
一度俺を見た二人はゆっくりと寝室を出ると、信じられない速さで家から出て行った
父と母が出て行って直ぐ、目の裏と脳に感じる熱が一気に強くなった
「うああああああああああ!」
俺の叫びにビオは泣き出し、ユリアーナはどうしたらいいか解らず床を殴った。穴があくのは仕方が無い事だと思う。次の瞬間だ
視界がぶれ、一つの光景が浮かび上がる。視界といっても目を目を開いてる訳でもないのにおかしな話だ
ユリアーナの首が何者かに切断される。そんな物騒な光景が見えてきたのだ
俺は何も考えずに毛布から手を出すと、ただただユリアーナの手を引いた。前屈みになるユリアーナ。勢いがあったのか長い三つ編みが宙に浮く
そして、窓が割れる音がすると同時に、長い三つ編みは真ん中辺りから切り離された
俺、ユリアーナ、ビオの視線が同じ場所に行き着く
前足から前方は獅子、胴体と後ろ足まで山羊、尾は大蛇。まさにキメラと呼ぶにふさわしい見た目をしている。前進は漆黒で染め上げられている
なにより、俺の危機感知に反応しないでユリアーナの首を切り落とそうとした事に俺の警鐘は、鳴りまくっていた
ユリアーナも同様な見解だったのだろう。手汗をかいている
「ふ、二人とも逃げて!」
俺もなんだが、始めて魔物を見たビオが口を開く。逃げる判断は正しいが、ビオをおいていくわけにはいかない。ユリアーナですら危機を感じているのに、俺やビオでどうにかできる相手ではない
「ガアアアアア!」
龍の咆哮に聞こえなくもない声をだしユリアーナが飛びつこうとする。俺は掴んだ手を必死に引っぱり、その動きを抑制する
ゆっくりと振り向く漆黒のキメラは笑っている様にも見えた
ビオが立ち上がりウォーターカッターで攻撃する。山羊が小さく鳴くとビオの魔法は、キメラに当たる前に消え去った。何が起きた?
ビオの魔法は俺が見た限り、今までで一番の威力だった。木だったら、軽く三本は跳ねる事ができるレベルはあるだろう
「なっ……ユリアーナおねーちゃん! 速くキリルを連れて逃げて!」
ビオは何度も何度も魔法で攻撃する。無駄だと解っていてもやめない。俺らを逃がす為に
十五回は驚異的な威力のウォーターカッターを出した辺りでビオの魔力が切れた
ビオがここまでやってるのに俺はなんでユリアーナを静止させる事しかできない。なんで足に力が入らない。なんで魔法が使えないんだ。ビオと同じウォーターカッターも使えない。なんて無力なんだ
大蛇がビオに巻き付き、ゆっくりと持ち上げる
「ユリアーナおねーちゃん。速く、速くキリルを」
その言葉を最期に、ビオの身体は粘土の玩具の様に容易く折れ曲がった。硬い物が折れる甲高い音と、床に落ちる液体の音、鼻につく生臭い匂い。ビオが死んだ。こんなにも平和な村で、悪夢のようだ
ひしゃげた身体になったビオ。肩甲骨から上が百八十度伸展している。虚ろな目のビオと目が合った
吐いた。夕食は何も食べていないので、胃液だけがでる
キメラの獅子頭が口を開いてビオを放り込んだ。直後、俺の視界が高くなる。ユリアーナが俺を肩に担いだのだ。割れた窓から飛び出し一気に家が遠くなる
ユリアーナは森の奥へ奥へと逃げる。俺はビオの最期を思い出して何度も吐いた。怒りだか悔しさだか、心の中はもうグチャグチャだ
「はあ、はあ、はあ」
ユリアーナが全力で走ると流石に速い。ゴミ捨て場として使われている崖まですぐに付いた。崖をそってあるけば村の防衛戦、要は村を取り囲む柵に付く。そこには戦う大人がいるはずだ
走るのに合わせて揺れていた視界が異常にぶれ始めた。またアレだ。見えた光景は言葉にしたくもない
ユリアーナの背中に手を当て力の限り押す。ユリアーナは前に倒れ、突き出した俺の両腕は肘から先が飛んだ。森の中から魔法で攻撃されたのだ。それもビオに教えたウォーターカッターで。似た魔法があってもおかしくないが、なぜだか一目見ただけで解った
腕は痛いが、目と脳に比べたらまだ可愛い
森から先ほどのキメラが飛び出てきた。顔を見てこんなにも恐怖に包まれる事になるとは思わなかった。でもそれ以上に笑える。父と母の気配を感じたからだ。これでユリアーナは助かる。こんな獣、父に掛かれば瞬殺である
俺は助かるだろうか? 母がいれば大丈夫だな
そんな事を考えていた俺の視界は茶色一色に染まった。なんだ? 意識は今しっかりとしている
「キリル! 嫌ああああああ!」
ユリアーナの声がどんどん遠ざかっていく。遠ざかっていく? 空中にいる時間が異様に長いと思ったら、崖に落ちた 非常にけたたましい音と共に崖の上から何かが振ってくる
漆黒のキメラの首だ。大蛇だけだが。遠ざかる崖の上を見る。巨大な影が崖を越えて行くのが見える。キメラだ。父はキメラを討ち取れなかった
ユリアーナの悲鳴が聞こえるという事は彼女は生きている。それが解っただけで満足だ。キメラを殺したい気持ちで一杯だが俺は臆病で力の無い子供。更にはこの谷底に落ちて、死が確定している
悔しいが二度目も長生きできなかった
目を開ける。知らない天井だ。……この件もう一回やったよ?
前進に痛みが走る。特に両腕の激痛を激しさに痛い身体を動かして視界を下に向ける。血に濡れた包帯が入れの両腕に巻かれていた
手の激痛を感じる? ああ、目と脳の痛みが引いたのか。なんでだ?
〈申し訳ありません主。まさか私の再起動にこれほどの痛みを伴うとは存じておりませんでした〉
頭の中から声が聞こえる。俺は生きていたが、頭を打っておかしくなってしまったようだ
〈いえ、主の身体は両前腕の欠損と全身打撲だけです〉
ああ、打撲。魔法は使えるかな?
〈問題ありません。再起動時は全魔力を私に集める為に魔法が使えませんでしたが、今はもう使用可能です〉
謎の声の通り、魔力を感じる。まずは前進の打撲をどうにかしよう。軟部組織損傷を治すのはどうやるんだ? やり方は解らないが構造自体が解っていれば、使用魔力は半分になるしごり押そう
次に四肢だ。筋、骨、神経。なくなった部分も部分だ。血も作らないと、爪ってなんだっけ?
ええい面倒だ。大まかな筋と神経だけ知識で補ってこっちもごり押そう
肘からないから
橈骨、尺骨、舟状骨、月状骨、三角骨、豆状骨、大菱形骨、少菱形骨、有頭骨、有鉤骨、第一から第五中手骨、第一から第五基節骨、第二から第五中節骨、第一から第五末節骨
上腕二頭筋の停止、上腕筋の停止、腕橈骨筋は殆ど起始、上腕三頭筋の停止、円回内筋に方形回内筋、回外筋に、長、短橈側手根伸筋、橈側手根屈筋、長掌筋、尺側手根伸、屈筋、総指伸筋……だああ! 面倒くせえ
関節包とか、中央索に側索とか、尺骨神経とか橈骨神経、正中神経
etcは魔力で、血管はマジ勘弁
誰がこんなメンドクサイ事二度と考えるかああああ!
最期は基礎の基礎だけ書きました
その手の学校に行ったら一年で習いますね
2017年5月4日 誤字脱字修正。まだまだ受付中です。描写はほとんど変わっていませんが、一文足しました




