Q:友達何人? A:一人ですが何か
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「キリル〜! あ〜そ〜ぼ!」
「アッタレええええええ!」と叫ぶユリアーナ。くり出されたのは命を刈り取る拳。死の一撃だ。そんなものを当てる気ですか!?
必死に避ける俺の耳には、甲高い声が聞こえる。華麗にとは言えないが、これでもそこそこ動ける様になってきた。一回避けるのにいちいち転んだりしなくなったからね
ああ、俺を呼ぶ声は黄色い声だが、女の子ではない。声変わりしてないだけの男だ
ビオといって、肉屋の息子さん。俺と同じ、六歳だ。種族的には一般的な魔族で、黒い肌に黒目黒髪
魔族にもバリエーションがあり、後頭部が肩甲骨辺りまで伸びるタイプや二頭身とか
因みに龍族は獣人だ。エルフはエルフというくくり
しつこく父に村の外の話を聞いて解ったのは、世界には人間、獣人、魔族、エルフの大きく別けると四つの種族がいるという事
獣人がいると聞いたのは六歳になって直ぐだったかな? 父から、「父さん実は魔族じゃなくて獣人なんだ」なんて言われた。でもわかってた。全然魔族と違うのだもの
ユリアーナの猛攻が父の「止め!」という一言で終わりを迎え。父さんが遊んできてもいいぞ。そんな顔をしているのを確認して俺はビオの元にいく。汗臭いとか思われても問題ないがタオルくらい持っていくか
「ビオ。お待たせ」
「キリルは今日も訓練か飽きないの?」
「飽きはしない。これを続ければ筋肉が付くからね」
不純な動機とは言わせない。確かに俺のやりたい事を考えると筋肉は必要ないかもしれない。しかし、筋肉。カッコいいだろ?
「ははは」
随分と乾いた笑い方をする少年、ビオと仲良くなったのは六歳からだ。その年に六歳になる子供の成長を祈って行われるお祭りみたいなもんで始めて出会った。家族ぐるみの付き合いだが彼はちゃんとした男。俺に幼なじみはいない。ふ、ギャルゲーなんか信用しない
お祭りには他に三人程子供が居たが彼らは彼らで既にグループとなっていた。別に仲が悪い訳ではないんだよ? 家が近くないから遊ばないだけ
この村は自給自足の生活ができる。だから子供でも、できれば働く。ビオだって働いているんだ。肉を加工する手伝いをしている。他の三人も農家の息子で朝早くから畑に出ているらしい
俺もあと、三年くらいしたら一度くらい父さんと一緒に働くんじゃないか? 実際ユリアーナは四日に一回ペースで一緒に行っている
この付近の魔物はオオカミタイプが多い。父の持っている本に魔物百科なんて物があり、オオカミタイプは青くなければ、ほぼ全てが下の上に位置する
簡単にいえば、龍族の子じゃなきゃ食われて死ぬ。この位の強さだ。今の俺じゃ絶対ムリ
俺の魔法の研究はもっぱら生活に役立つ物が多い。回復魔法とか、藁半紙の生成とか
戦闘に使える魔法なんて水と土しかない。ゲームでよくある火も、風も、雷も使えないに等しい。何で出来てるなんて言えます? 俺には無理だったよ
まあ、魔力でごり押せば多少は使える。これさ、思ったんだけど、この世界の人って魔法を使う時、構成物質の事なんて考えてないんじゃないの?
母が魔法を使う所を見せてもらったけど、火とか普通に出してた
六歳になった丁度その頃、この考えに至り、もう一つの仮説が思い浮かんだ
俺の魔力ってもしかしたら少ないかも、と
その仮説は見事に当たっていたね
最期に魔力を大量の消費して魔法を使ったのは四歳が終わる頃、素振りと筋トレを同時によろうと鉄剣を作り出したときが最期だ
それ以来大きく消費した事がない。必要最低限を見極め続けた
魔法の授業もユリアーナよりも先に疲れるのは基礎体力が少ないからだと思ってた。でも違った
魔力の基礎トレをしないで、節約をしていたから普通の人より魔力の量が少ないのだ。気がついた日から寝る前に全魔力をかけ、作れもしない四次元ポケットの生成を始めた
点が一次元。線が二次元。俺らが生きているのが三次元。だったようなじゃなかったような。その程度の知識で四次元ポケットを作ろうというのだ。一瞬で魔力が溶けた時は笑いながら気絶した
その日から俺の魔力はうなぎ上りだ。仮説に気付いた頃の三倍はある。まあ、授業で疲れ始めるのがユリアーナと同じ頃だから、ユリアーナレベルなんだけどね。前衛タイプと同じですよ
ああ、話が逸れに逸れた
俺がビオとよく遊ぶのには理由がある。ビオはスキルを持っているのだ。スキル名『解体』
これは肉屋とか、話に聞いただけだが冒険者がよくもっているスキルらしい
俺は六歳になったが未だにスキルのスの字も持っていない
だから俺は是非ともスキルが欲しい。この際どんなスキルだって構わない
え? どうやってスキルが身に付いたか知るって? 方法は幾つかある。この村で知る術は一つだ
『魔法道具生成』というレアスキルがある。その持ち主がこの村で、スキル鑑定書というアイテムをくれる
くれる、のだ。村は自給自足できる様にするため、お互いが協力関係にある。アイテムをくれる人は、「この魔法道具だけ作って、他は自分の研究に専念できる!」といって住み着いたとか
まあ、スキルが解るというのはありがたい事だから村も彼女を受け入れた
スキルが解れば戦闘系ならそれを用いて生存率が上がる。生産系なら作業効率が上がる。万々歳だ
ビオからスキルを教わるため俺らの遊び場は森の中だ
断っておくが、俺は一方的にスキルを教わろうなんて思ってない。彼は俺にスキルに必要な知識をくれ、俺は彼に魔法に必要な知識をあげている
WinWinな関係なのだ。不利益がないって素晴らしい
異常の理由からビオとはほぼ毎日遊んでいる
そんなある日。いつものようにビオが遊びにきた
「ビオ。その荷物はなんだ?」
「ははは、店の廃棄物を捨てて来いっていわれちゃって。手伝ってくれない?」
「ああ、わかった。いいぞ」
魔族は幼少期の成長が早いのか、俺とビオの身長は違う。俺より二十センチ程高い。百三十後半はあるだろうビオの身長、その腰上まである小汚い袋を三つ捨てて来いとは。六歳にやらすなっちゅう話だ
この村はとても清潔だ。排泄物や生ゴミは肥料、家畜のエサとなる。壊れてしまった再利用不可そうな家具などはある所に捨てられる
俺の住む家は村の奥側に位置する。裏手の森を抜けると大きな崖があり、村人の多くはそこにゴミを捨てる。崖と読んだが、正確には谷らしい。そんなのどっちでもいい。崖谷でいいじゃないか
崖の名前は『処刑の谷』
昔人間が魔族の領土を奪わんと襲撃してきた際、人間側に掴まった捕虜がここに落とされたと聞く
ビックリする事にこの崖、そこが見えない。深すぎて途中から暗闇になっているのだ。こんな所にたたき落とされたら死ぬだろうなあ。面白い事にこの崖、人工的に作った様に壁面がツルツルなのだ
母に聞いた話ではこの山を降りて山の回りを一周しても、この崖の下にいく術がないらしい。落ちたら登る事はかなわないだろう
因みにお祭りはこの近くで行われ、儀式の一つとしてこの崖に食料を落とす物がある
落とされた魔族を供養する為だとか何とか。南無
今日も今日とてスキルを覚える事はかなわなかったが、ビオに俺の得意とする攻撃系魔法を伝授する事に成功した。水の魔法で、構成物質は然ることながら、知識を生かして高速で打ち出すウォーターカッターという魔法だ
この攻撃魔法は実際硬い物を切る為に考案したのだが、ダイヤモンド級に硬い鉱物なんて、そうそう御目に掛かれない。だから開発の初期段階で攻撃部門に編入しました
威力も調整できる様になって始めて魔法を覚えたといえよう。ビオは小枝だけを切り落とす事から、木丸々一本を切り落とす事までできる。狩り、解体ができるスーパー六歳の完成だ
まあ、元素を教えるのは断念したので、魔力によるごり押し魔法なんだけどさ
ビオは意気揚々と、俺は意気消沈気味に家に帰る。俺の家の前まで帰った所で胸騒ぎがした。エルフの危機感知能力だ
俺に手を振って離れていくビオを呼び止めようとした時。それは起こった
激しい頭痛に吐き気。声は出ず、視界が霞む。耳鳴りが酷い
俺は立っていられずその場に崩れ落ちた
2017年5月3日。誤字脱字修正、募集中です
この話後が着なかったから今書いちゃる。丁度先ほど65話を投稿した所ですが、ここら辺を読むと懐かしい感じがしますね
ここら辺の話はかなり速く進行してて、少しだけ物足りない感じがあります。書き足したい所もありますが、それは一通り話を書き終わったらやるか悩みどころです




