Q:カタリナ。キリルはどうだい? A:絶望的です
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先日。我が主にして夫であるウィリアム様が、キリルと言う黒髪のエルフとアンと言う久遠人の二人を抱え帰ってきた。二百五十年仕え、百四十年を支えてきたが、息を切らしている姿を初めてみる
主はアンをアンゴレ様とアンゴラ様に。キリルを私に預け、どこかにいってしまった
現在私はキリルの眠る部屋の前にいる。彼が最初に屋敷にきたときと同じ部屋だ。アンの方は既に目を覚ましたが、こっちは丸一日もの音一つ聞こえない。聞こえるのは外でなり続ける雨の音だけ
アンゴレ様の診察によれば、キリルは外傷こそないものの。酷いダメージを蓄積していたそうだ。一日二日寝込んでもおかしくないとか
大陸での成人が十五歳。まだ成人に達していない少年が、あのライラの魔獣と戦って生き残ったのだ。どれだけ無理をしたのか想像もできない
「アンは無事なのか!?」
突如部屋の中から怒鳴り声が聞こえる。中にいるのは一人だけだが、誰かに問いかける様な物言いだ。だからなのか部屋に入るべきか少し悩む。一歩だけ前に足を出すとキリルの方から部屋を出てきた
初めて見たときは、どこか捕らえ所のない風体に子供らしくない作り笑いをしていた少年
しかし、今見れば第一印象など微塵にも感じない。私の足にすがり、不安で染められた顔で少女の居場所を聞いてきた
完全にアンが生きていると確信した言い方に違和感を覚える。先ほど部屋の中では生きているかを問うていたのにも関わらずだ
それを気にしているよりも、今はアンの無事を教える方が先か
「落ち着け。安心しろ。アンは生きている」
私の言葉に安堵してか、足から手を離し床に膝をついて大きな溜め息をついた。そこまで安心してもらっては会わせたときの絶望が大きくなる
「さあ、たって私についてきなさい」
突き放した言い方で申し訳ないが、これであらかた覚悟を決めてもらいたい。私の後に続くキリルを三つ隣の部屋へと連れて行く
扉を開ける。そこはキリルが寝ていた場所に良く似た造りの部屋。ベットの中で小さな寝息をたてるアン。その彼女を見守るようにアンゴレ様とアンゴラ様がいる
私は扉を開けたまま先にキリルを入れる。入っていく彼の横顔は既にアンの身体に気がついていた。彼女に掛かっている毛布の不自然なへこみ
右腕と両足の先が無くなっていると一目で分かる
「この街には手足の再建もできない回復魔法使いしかいないんですか!?」
「キリル君。やめなさい」
アンゴレ様の静止を聞かずに、キリルはアンに駆け寄り恐らく回復魔法をかけているのだろう。微量ながら彼から魔力を感じる
直ぐに回復魔法が効かない事に気がついたのだろう。顔を歪めた
その直ぐ後に先ほどの量とは比べ物にならない魔力を彼から感じる。異常とも言える魔力で治療しようとも、彼女の手足は戻らない
既に焦りを感じる背中を見ていたくない。それでも私は見ていなければならないのだ。主からこの顛末を見届ける事を言い聞かされたのだから
「キリル君。魔力の浪費をやめ私の話を聞いてもらえますか?」
アンゴレ様の言葉は聞こえているはず、それでも異常な魔力が注がれ続ける。小さく息を吐き、アンゴレ様は話しだす
キリル達が、どれだけの化け物と戦ったのから始まり。どうして助かったのか。そしてアンの腕が治らないという事
「はあ……はあ……」
治療が止まり呼吸が深く、速くなっていく。キリルが胸を抑えベットの横で踞る。様子がおかしい。この答えにいち早く気がついたアンゴレ様が私に指示を出す
「カタリナ! 過呼吸だ。紙袋もってきて! 私たちは先にこの子を元の部屋に運ぶ」
私が部屋を出て行く時、アンがキリルを呼ぶ声が聞こえた。空耳ではない。彼女はキリルよりも早くに目覚めている。慌ただしい事に気がついて目が覚めたのだろう
それから一週間。キリルは一切部屋から出てくる事はなかった
先にお一つ。現在過呼吸の治療に紙袋を使う事は少ないそうです。低酸素になっちゃうとかどうとか。私は専門外なのでよく解りませんが、一応
今回短いのは、この話の下書きを保存していた携帯を落とし、壊してしまった為です。あのときは絶望しました
最初は主人公視点でもっと先までやる予定だったのですが、それを起にカタリナ視点に移動させてもらっちゃったのでいいかな? 私は今の方が気に入っています
因みにこの書けなかった期間に、ストーリーは大まかですがほとんど完成しました。といっても、大雑把なので細かい事は出来ていません
例としてこんな感じですかね
『何々があった』→『何々があったので何々をする』→『だから何々がおきる』
みたいなくらい大雑把です
前に話した大きな二つのイベントのどれも終わってはいませんが、三つ目のお話も思いついたり話は膨らむ一方です
三つ目のイベントは、やるか解りませんが




