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57/82

Q:それにしてもクサいですね? A:人の肉が焦げていく匂いなんて早々嗅がないしな


 4757文字

 上手くまとまってませんごめんなさい


 椅子の背もたれに体重を預けて身体を伸ばす。全魔眼の薪コールの度に起きて火の番と、アンの容態を確認をする事、十と数時間。今日の天気は晴れだ。清々しい一日が始まるだろう。山の天気は変わりやすいって聞くけどな

 おっと、出入り口に建てた土壁。その上から見える空を場合ではない。今日やる事は多いのだ


 まず始めにアンの治療。昨日より顔色はいいが、早々に腕をぶった切って再建させないと悪くなる一方だ。凍傷以前に、壊死というのは外の見た目よりも、内側が速く腐っていく

 しかも、切除が足りず内側に壊死している部位があれば、更にそこから腐っていくという訳だ。だからこそ、壊死の切除というのはホンの指先でも指ごと切断される事がある


 アンの場合は指全てが手遅れそうな感じがしてならないが、肘や膝からいくので大丈夫なはず。俺が四肢特化で良かった


 その次はアンを連れてウィルのいる副都まで戻らねばならない。このまま逃げたら問答無用で殺される未来しか見えないからな。捕獲対象であるアンに、それを逃がす手伝いをした俺。うん。駄目だわ

 できるだけ騎士達には出会わない様にしよう。いちいち言い訳を考えるのが面倒だ


 そして最後はウィルとの交渉。これは今日中には無理か。三日後ぐらいになるが、これもできるだけ速く。行いたい。俺が出せる物は少しでも多く思い浮かべたいし、悪くない時間か

 なんとしてでもウィルからアンの自由を獲得せねば。……そういえば、鍛えれば将来的に過剰な戦闘能力を持つ事になる久遠人でも。現状無害に等しいアンを魔王を使ってまで探す理由ってなんだろう


 前に全魔眼とそれとなく考えた想像が間違えで、あれら以外も考えられなくない

 奴隷、スパイ改造、情報源としていかす、監獄で幽閉

 よくよく考えれば三番目と四番目は同じ事だ。奴隷、改造、幽閉の三つの撃ちどれか。ああ、どれも嫌だなあ。絶対させたくない


「あまりの忙しさに頭が痛くなってきた」

〈馬鹿の癖して頭を使う事しようとするからですよ〉


 ぼやく俺にわざわざ返答してくれた。馬鹿と決めつけられてな。最近俺に対する当たり強くない? コイツ毒舌スキルとか手に入れたんじゃないの?

 まあいい。全魔眼に案を起こすよう指示を出し、朝食の準備といこう。今日のメニューは昨日の残りだ。流石にアンに肉はまだ速すぎる。胃腸的な問題で


 雪山の中にある洞穴とは思えない木造ベースの部屋。床よりも一段高いベットの上に長くきれいな白髪の少女が寝ている。白いワンピース風の布切れ一枚に、手足には保温の為に巻き付いている布。昨日の時点でできる取り敢えずの応急措置の後だ


 席を立つついでに、今の所は穏やかな顔で眠りについているアンの頭を撫でる。ベットから離れ、完全に燃え尽きた方の焚き火に新たな草木を集める

 そんなおり全魔眼は喧しく声を上げた


〈起きなさ〜い! 久遠人。朝ですよ〜!〉

「うるさい! なんで俺に聞こえる様に起こすんだよ!」


 鍋下に積み上がった草木に火をつけたばかりの俺は思わず立ち上がる。そしてさも当然のごとく言い放つ眼球


〈私(わたくし)の本体を持つ主に、聞こえない様話す事なんて出来ません〉


 ……前に聞いた共有眼の特性、丸つぶれじゃね?


 共有眼は全魔眼が持つ魔眼の中で最も使っている事がバレにくい代物だ

 千里眼の様に視線を感じさせないし、麻痺眼の様に目を見なければ発動しないと言う面倒な制約もない。隠密性が最も高く、一度対象の視界に入り込めば長距離に渡って能力を発揮し続ける事ができる


 対象を見ただけで発動できる上、デメリットらしいデメリットは全く思いつかない

 万が一にでも共有眼がバレたとして、その目をえぐり出しても本体である全魔眼にダメージは反映されない。口を読む事のできる者であれば、視界の中で話している内容も解り。使用者の実力が大きく関わる


 思いつく唯一のデメリットとして、視界を奪っている者の口が読めない事だが、全魔眼はその限りではない

 どんな原理か知らないが、聴覚があり話す事だって、心を読む事だってできる全魔眼。読心スキルいらずである


 では、そんな共有眼の何が丸つぶれか。それは話せてしまうという事だ。潜入に成功しても、逐一俺に状況を説明できる訳でもない。もし遠くで手に入れた情報も俺に伝える為に魔眼の使用をやめれば、そこで盗み見は終わり


 隠密性が皆無。つかえね〜

 因みに俺は魔眼を使うのが苦手だ。苦手というより、魔眼ってのは扱いが非常に難しい。まともに扱えるのは千里眼くらいの物だろう

 魔眼を使うときは全て全魔眼頼りという訳


「パパ。鍋が吹きこぼれるの」


 いつ起きたのか。ベットの上から首だけをこちらに向けてアンがそう教えてくれた。煮えくり返った鍋を見て、足下の土を蹴って焚き火に駆ける。火の勢いは弱まり、鍋が多少落ち着く


「おはよう。アン」

「おはよう。パパにオメメさん」


 アンの一言に思わず吹き出してしまった。初めてそんな風に全魔眼は


〈オ、オメメさんですか? ……間違ってはないんですが私にも好き嫌いというものがありましてーー〉


 アンに対して呼び方の抗議を始めた。しかし、本気で嫌という訳ではないようだ。少しばかり嬉しそうな声だと思う

 煮詰まってしまったスープに水を足して、朝食といこう。勿論アンには食べさせた。腕や足はあんまり動かして欲しくないからね。食べさせれば笑顔で「美味しい」というアンは上位の天使かと思った


 朝食を済ませ、身体を起こしたままのアンに俺はこれからする事を話した。今の俺より年下の少女にこんな話をしても理解できるとは思えないが、それでもしないわけにはいかない

 解りやすく一つ一つ説明する。凍傷の話だとか壊死、それに対する俺が行う回復魔法。伴う激痛。アンは明らかに解っていなさそうな表情になる


 そしてアンが出した答えは


「いいよ。私のためにパパがやってくれるならなんでも受け入れられるの」


 正直その考え方は良くないが、今は甘えるしかない。村人には容赦なく斬り掛かったが、アンにはそんな事できない。一旦寝てもらうか。吸入麻酔薬、でも作れたら良かったんだけどね


「全魔眼。催眠眼で深く眠らせてくれ」

〈了解致しました〉


 俺と目を合わせていたアンは、十秒ほどでぱたりと後ろに倒れ込む。かなり時間が掛かった方だ。魔物のワーウルフは一瞬だったが、どうやらこの子は結構この手の体勢が強いらしい


 俺は更に知覚強化を、常時使える最大百倍まであげてアダフさんの剣を作り出した。肘上、膝上まで切断してすぐに再建だ。俺は血液ごと再建するので止血はしない


 一度大きく息を吐き、小さく素早く息を吸って剣を振るう。布に赤い血が広がり鉄クサさが部屋を包む。右足を素早く切断し、なによりも正確に再建を行う。右足の次は左足、右腕、左腕だ

 一応無事に治療できた。しかし凍傷や外傷は治せても身体に掛かる負担は計り知れない。アンにはそのまま半日は眠っていてもらう


 出発は昼を過ぎてからだ。他の捜索している騎士団連中も流石に二日もこの場で焚き火をしていれば気がつく。一応警戒はしておかなくてはいけない


「ふう、だがまあ疲れた」


 〈お疲れさまでした〉全魔眼から労いの言葉を貰い。俺はベット横にある椅子に腰かける。赤く染まった布の上で寝ているアンに、その周りには黒く変色した手足が落ちている

 切断した方の手足は、後で燃やしてしまおう。山で出せる火力なんてのは限られているが、確実に燃え残る骨は埋めてしまおう。切り落とされた手足を持つ事になれてしまった自分が恐い


 ベットにしかれた布や手足を回収して、新しい布をかける。セッティングし直したベットにアンを乗せた


「あ、やべ」

〈どうかしましたか?〉


 いま、初めて気がついたのだが。アンの耳はとっても短い。いや、俺が長いだけなんだけどさ。髪を切る前までは幾度となく人間ではないかと聞かれた俺だ。アンも絶対に聞かれてしまう

 確認の為に見せなきゃいけないしな


〈悩みどころですね〉

「……ああ、作っちゃう? 作っちゃおうか」


 全魔眼が何かを言う前に俺は自分の両耳を引き千切った。耳は構造上、正面を向いている人の耳を持って奥に押しても簡単には千切れない

 しかし、耳のてっぺんを持って手前に引き、そこから下へ。一枚の紙を引き裂く様に引っ張れば、とても簡単に千切れる


〈主! 気でも触れましたか!?〉


 流れる血と熱を帯びる俺の耳があった場所。直ぐさま再建をする。別に気が狂った訳じゃない。この耳の中身を取り出し、簡単な剥製にしてアンの付け耳にしようと思っただけだ。激痛だったが、最近怪我とか日々の筋肉痛とかで、痛みになれてきてしまった


 あんまりいい事ではない。でも、まあ。耳の外側くらい簡単な構造だし、普通普通


〈異常な価値観をお持ちのようで私はドン引きです〉


 耳の形を構成しているのは骨ではない。軟骨。弾性軟骨といって、鼻の先の柔らかい部分と同じだ。超! 大雑把に説明するなら、コラーゲンとタンパク質で出来ている。これだけ知っておけば耳の構成は間違いない

 いや、間違いだらけだけど。一般人でこれだけ知れてたら十分だろう


 自身の耳の皮を残してその中身を取り出す猟奇的作業を行う。魔法で水を出しながら中身を洗った。寒いし中身は綿でもいいだろうか? 剥製って何を詰めているのか知らないんだよね

 皮が腐らない様に何かの薬品に付けてるんだっけ? ホルマリンじゃないのはわかる


〈主の耳を千切るぐらいなら、久遠人の耳を整形した方が良かったじゃないですか〉

「それはできないんだよ」


 確かにアンの耳をエルフみたいに形を変えるという方法もあったが、俺の回復魔法では整形はできない。基本的構造と構成物質を知識で補い、その人にあった骨格を魔力で正しく治す

 これが俺の回復魔法だ。自分の身体であれば骨格を考えずにできるが、他人はちょっと無理。何回も再建してたら話は別だけど


 俺の耳と同じ形の付け耳が出来た。触感で中身が綿だとバレるくらいの出来前だ。余談だが、成長しきった人の耳の形は変化しないらしい

 完成した付け耳を机の上に置く。ああ、ついでにアンには移動用として防寒具も作らない


 〈なんで先にこっちを思いつかなかった?〉至極真っ当な全魔眼に返す言葉もありません。全然可愛くないが、今俺が着ているクリーム色の防寒具でいいか。副都に入ったら新しいのを買おう。俺のセンスでそういうのは作れん。正直、患部しか拭いていないから髪とかも洗ってあげたい


 服だってボロボロのワンピ以外も着せてあげたいし、靴も買って髪の毛も切らないのであれば髪留めとか。十歳程度の年齢に化粧は速いか。アクセサリーとかも欲しがるかな?


〈ウザいお父さんのようですね〉

「……こんな気持ちだと言うのか?」

〈否定しなさい。今世ではまだ十四ですよ〉


 アンの防寒具や、お湯の入った大鍋等の撤去。アンが目覚めたらこのほこらをすぐにでも出れる準備をする。大体の準備が終わり、すっかり元の土壁など洞穴って感じに戻った


 さて、アンの元手足を焼くついでに俺の耳の関節達も燃えてもらう事にしよう。洞穴の外に出て更に新たな焚き火を作る。焚き火を作るよりも雪をどかす方が時間が掛かった

 血肉という消却物は不完全燃焼をして黒い煙を空に立ち上らせる


「……」〈……〉


 黒い煙を立ち上らせる。これただの狼煙じゃね?


〈主。なぜここまでなるまで気がつかなかったのですか〉

「俺も聞きたい」


 まあ、準備を程々に終わってアンを起こすのももう少しだし大丈夫なはず。まあ、確実にここには白い騎士達がくる。痕跡はほとんど残さない様にしておこう

 念のため燃え残る予定の骨は、ここから少し離れた所で埋めるか


 耳の残骸やアンの手足が焦げていくのを見ながら、副都へ戻るルートを全魔眼と確認する

 今日中には山を下りたいが、アンにスケボーは無理だし。ソリとか作るか? それを含めて話し合う





 前回イイイイイイイ! 誤字多過ぎだろおおおおお!

 なんだ四肢の頭って! 獅子の頭だろそこは! 四肢の頭だったら手足が顔から生えている生き物みたいで気持ちわ……それはそれでありか?


 いや、ライラはそれじゃ駄目だ! ライオンの頭だからこそカッコいいんだ。因みに服の表現とかないのはそういう意味です。彼は毛深いんです


 既に手足の顔を思い浮かべている方は新たにライラを再建してください。イケメンにしておいてください。ライオンの顔だけど


 今回は書きたい事を上手くまとめられなくてごちゃごちゃしてますね。耳の件とかも完全にいらないし。一行で説明できちゃうギャグっぽくした方が良かったかも


『防寒具の上にはエルフの付け耳を添えた。どうやって作ったか? 俺の耳を剥製にしたんだ』


 みたいな。悪くないな。最後まで書ききった時、書き直す用としてここに残しておこう

 あ、冗談みたいに耳は試さないでくださいね

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