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Q:言っておきますが私には心の声丸聞こえですからね? A:それは驚きなの


 1959文字

 短い上に、おかしな時間帯


「お、おやすみなさい」

「おやすみなさい」〈おやすみなさい〉


 私は今日まで自分が誰かすら解らなかった。最も古い記憶は、揺れ続ける薄暗い部屋で一人閉じ込められている記憶だ

 たった一人。そこがどこなのかも解らなかった。誰かと会話をする訳でもなく。一定の間隔を置いてとても毛深い、上裸の男が私に固いパンを持ってくるだけだった。その男の人に聞いた事がある


 私は一体誰なのか?


 男の人はいった。「お前、記憶を無くしたのか。その方が幸せかもな」

 何も幸せなんかじゃない。私は誰で、どうして鎖で繋がれ、檻に閉じ込められているのか。解らないという事は、そのものが恐怖だ


 私はとにかくパンを持ってくる男の人に聞いた。ここはどこで、どうして閉じ込められているのか、どうして揺れているのか、私はどうなるのか

 男の人はなにも答えてはくれなかった。ただ一つ。ある質問に対してだけ否定的な答えを返してくれた


「私のお父さん?」

「はあ? ふざけるな。俺様は魔獣。お前はエサだ。それに、お前の父親はもう俺の腹の中だ」


 私にもお父さんはいたらしいが、もういない。この答えで私は男の人に何かを聞くのが恐くなってしまった。何も聞けず、何日も何日も揺れる部屋の中で過ごした


 一体何日過ぎたのか解らなかったが、月も出ていない真っ暗な夜に私はやっと部屋を出る事が出来た。首輪に、手枷、鎖で繋がれた私は、魔獣と名乗る男の人に引っ張られ、最終的には高い所からたたき落とされる

 下は水で、とってもしょっぱかった。部屋にいる時にはまるで聞こえなかった音は心地よく、足下で波打つ水と砂は何とも言えない感覚


 楽しむ事はできる訳もなく、私は馬車に乗せられ、また移動。四人の魔獣達はフードや服を着込み、肌の色や毛深い身体を隠していた

 私はその日から、檻の中で更には手枷も外されず、食事は芋虫の様に這いつくばって食べる様になった。それを何日も繰り返し、二ヶ月くらい経った頃

 その日は森の中で夜を迎える事になった。なんでも、その森で私を誰かに引き渡すのだとか


 待ち続ける事数時間、野生の獣すら寝静まる時間帯になり。弱くなった焚き火に薪を足したとき、森の奥から誰かが歩いてきた

 長い金髪の女性で、大きな三つ編みに大きな青い目をしたエルフ。彼女は白くて清潔そうなシャツに、頑丈そうな胸当てをしていた。まるで傷一つない服は森を歩いているとは思えなかった


 ビックリする位大きな剣を持っているエルフは、私の乗っている馬車に近づいて、笑顔でこういった


「私はユリアーナといいます。旅人をしているのですが、火を貸してもらっても宜しいでしょうか?」


 私にパンを持ってきていた魔獣が首を横に振って断る。笑顔だったユリアーナと名乗る女性は残念そうに肩を落とすと、馬車の横を抜けてこの場から離れようとした

 その時、私とユリアーナは目が合う。何日も旅をしていたが、肌が黒く無い人は初めて見た。ユリアーナは私を見手首を傾げたが、首輪や手枷、檻を見て柔らかかった表情を変える


 身長と変わらない、身長よりも大きいかもしれない剣を片手で構える。背中にあったはずの剣が一瞬で引き抜かれた。抜かれた剣は私の頭上を通り抜け、馬車や檻をいとも容易く破壊する

 ユリアーナは剣を持っていない方の手で手枷を握りつぶした。首輪も同じ方法で壊そうとしたが、魔獣達が黙って見ている訳もなく。二人の魔獣達が私たちに襲いかかる


 恐くなって目を閉じる。目を閉じて直ぐ、四つの大きな物が落ちる音が聞こえた


「なんだ。ワーウルフだったのか。人攫いみたいな真似もできるんだな。気持ち悪い」


 目を開けると左右の身体が切り離された男の人達が倒れていた。ユリアーナがやったのだろうか?

 そんな質問を投げかける間もなく、パンをくれた魔獣が服を脱ぎながら溜め息をついた


「よくも俺様の部下をさばいてくれたな。雑種よ」

「魔獣か。しかも、フェンリルの眷属ときたもんだ。通りで人間クサい

 お嬢さん。逃げるといい。人間の子供みたいだけど、子供に罪はない」


 逃げてもいい。逃げる理由なんてなかったが、なぜだか足が動きだした。暗い森に向かって私は踏み出す。そこから先の記憶はとっても曖昧だ

 どうやってこの山まできたのか、正確には覚えていない。シルクハットを被った黒い人に無理矢理ここまで来させられた様な気がする。その黒い人に何を言われたのか覚えていない。あの毛深い人からも、白い甲冑を着込んだ黒い人達からも、とにかく逃げなきゃいけない。ずっとそう思っていた。


 でも今日、私には逃げる理由がなくなった。私を助けてくれたユリアーナと、同じ色をした人

 その人は私にアン・オーエンという名前をくれ、パパと呼べば優しく頭を撫でてくれた。もう寂しく無い。私の最も大事な繋がり、何もなかった私に全てをくれたパパに、私はどんな事をしてでもついていく


 まあ、恒例となりつつある主要人物の一人称回


 ホントは二話目のユリアーナ視点みたいにもっと子供っぽくしたかったのですが、思ったよりも難しく。なにより内容的にもそれが出来ませんでした


 〜でした。というつたない感じで進めましたが(元々つたない)子供っぽい印象になりませんね

 細かく描写し過ぎても駄目、子供っぽくし過ぎても駄目。はは、第三者視点で書けば良かった


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