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Q:今日は何をしますか? A:旅の準備かな


 3212文字


 ソアさんの屋敷を出てお義兄さんと別れる。俺はそのまま北側へ向かい、昨日この街に入ってきた時の大通りに出た。最初の目的は昨日食べ損ねた串肉だ。現在財布の中にはそれなりの硬貨が入っている

 流石に代金か一枚だけだと買い物できる店が少ないということで、金貨に小金貨、大銀貨が九枚ずつ。銀貨が十枚はいている。これ全てで大金貨とは同価値。正直重たい。銀貨の下に四種も硬貨があるのだから困った物だ


 大銅貨三枚分を支払い三本の串肉を買う。驚きの安さと美味しさに鼻歌交じりで街を徘徊

 食べ終わってはいないが、取り敢えず色々見て回りながら歩くことにする。昨日はなにも買えないということで無心になって歩いていたから周りをほとんど見れていない。じっくりと散策から始める


〈主。あそこのお店にはよっておいた方がいいのではないですか?〉


 全魔眼のあそこというのは、ほとんど理解できない。仕方がないので立ち止まって周りを見回す。ほとんど食べ物の屋台ばかりだが、どれのことだろう


〈もう少し右です。ちょっといき過ぎました。左、そう。そこです〉


 細かい調整の末、俺の正面にある店。そこは多種多様な調味料が並べられたお店だ。確かにアビーの故郷で貰った調味料はもう寂しいことになっているので、ここで補充というのも悪くないな

 屋台の前に立って品を見てみるが、そこそこ高い。その分種類は豊富で、塩にコショウ、油に料理酒。砂糖に酢もある。流石に味噌や醤油はない


 正直全部欲しいが、そうなると小金貨を二枚は使うことになる。この屋台はちょっとした高級店だ。よくもまあ、こんな所で店を開ける根性が凄い

 店の前で何を買うか悩んでいると二頭身タイプのおじさんが声をかけて来た。おじさんという程老けてはいないが、二頭身タイプは結構見た目が若い。この魔族も結構な歳だと思われる


「よお、エルフのニイちゃん買っていくかい? 子供には、ちと高いが」

「むう、確かに高いですが。旅の途中に食べる食事というのもこれまた重要ですからね」

「おお? ニイちゃん街を出るのかい? 調味料買ってお出かけたあ。貴族様みたいだな」


 へえ、やっぱりいるんだな貴族。じゃあ、農民もいるのかな?


〈魔王兄妹の故郷ではないですか?〉


 そうなってくるとアビーもお義兄さんも農民上がりの魔王ということになるのだが。……あの正確だし、あながち間違えでもないかもな


「はは、俺はそんな上品な出じゃないですよ」


 なんて会話をしながら、塩、コショウ、砂糖を買った。油は動物から取れるので問題ない。少し寝は張ったがいい買い物をしたつもりだ。店売のおじさんはすんなり払う俺を見て驚いていた。子供のお小遣いの域を越えたかな


 次はコンパスが欲しい所なんだけど、どこに売っているかよく解らない。取り敢えず、調味料売りのおじさんに聞いてみた。それはもうすんなりと回答が帰ってくる


「コンパス? そんな高級品の出所は、冒険者ギルドか配達人の集会場。どっちかだろ」


 こうなってしまえばいく所は決まっている。配達人の集会場だ。ノアにコンパスを売ってもらおう。ギルド? 換金以外でいくことはまずないね

 おじさんから集会場の場所を聞き、早速移動開始だ。集会場の場所は監獄の直ぐ近くで、監獄を目指して歩けばすぐに解るらしい


 多少時間が掛かりそうで、つく頃には昼時だろう。コンパス購入後はノアと約束の昼でもいい

 道中の屋台には食べ物以外にも、なんの役に立つのか解らないヘンテコな形の置物だったり、誰もかわそうなださい帽子なんかもあったりした。観光地みたいな印象だ


 真上にある太陽が更なる仕事を始め、汗を拭いながらも監獄の近くまできた。その大きさに取り敢えず見上げてみる。なんだか懐かしい。ビルとか見上げる時もこんな感じだった。監獄内の受刑者達でここら辺は五月蝿いと思っていたのだが、不思議と静かな物である


 さて、ここまで来たら解ると言うのだから一度周りを見てみよう

 監獄の周りには随分と開けており、大通りにある七軒繋がった家を五つ建てても余るほどだ。流石に監獄の近くに家が欲しいという酔狂な住人はいないということか


 監獄の周りをぐるりと一周回って変わった建物がないか探してみる。半周もしないで見つかった。監獄に隣接する訳ではなかったので、下半分は他の家で見えなかった。しかし、見える上半分。様は屋根だが、大きな白い鳩が羽ばたく為に翼を拡げていた


「俺は今からあそこを目指さなければいけないのか」

〈オシャレですね〉


 全魔眼は俺の前世を考慮して産まれたスキルなのに、こうも意見が合わないのだろう。流石に集会場はダサい

 そこから意見の不一致で喧嘩になりつつも歩いて集会場を目指す。ついた時には喧嘩は終わり、いつも通り憎たらしい事を言われるだけになった。一蓮托生、二心同体なんだからいつまでもギスギスした関係ではいられない


 冒険者ギルドと同じで、スイングドア押して中に入る。ギルドとは違い。入ってすぐに目に入ってきたのは長いカウンターだ。魔族が十人は並び、一つ一つが区切られている。どこにも魔族が五人は並んでて忙しそうだ。なんかハロワみたい。ドラマとかのイメージだけどさ。銀行とかの方が近いかも

 しかし、俺は手紙を出しにきたんじゃないから並ぶのは気が引けるな。取り敢えず、入って着た魔族をどこかの列に誘導しているお方に聞いてみよう


「すいません」

「はい。他の街への郵便ですか? それとも村への郵便ですか?」


 なるほど、まずはその二つで別けるのか。とか気にしてるんじゃないんだよ


「いえ、郵便ではなく。知り合いに用があってきたんです」

「ああ、滞在中の配達人ですか。でしたら私がお聞きしますよ。お知り合いのお名前を教えてください」

「ノアです。明後日までこの街にいるって言ってました」


 驚いた顔をしてから納得した様な顔をする魔族。「へえ〜」とか言って俺の顔を見てくるが、俺は理解していないので早く話して欲しい


「という事は貴方がキリル君ですか。先輩から話は聞いていますよ。少しこちらに来て貰えますか?」


 言われるがままついていき、どう見てもバックヤードに招待される。忙しなく手紙を振り分ける魔族の横に座り、紅茶も出てきた。ソアさんには敵わないがそれでも美味しい。旅に出る前に紅茶の茶葉を買っていこう

 いやあ、それにしても


「接客態度の悪い人見知りに後輩がいたんですか?」

「ははは、先輩の事をよく解ってますね! 私も今は事務ですが、前はよく外に配達とかしてたんです。私はその頃先輩にお世話になりましてね」


 ふーん。どうでもいいし、聞いてもない


「あ、興味無さそうな顔してますね」

「失礼しました。考えが顔に出るらしくて」

「そ、その性格でよく先輩と仲良くなれましたね」


「まあ、お腹がすいてきてイライラしてるのもあるかもしれません。それよりもノアはどこです?」

「素直なクソガ、ゲフンゲフン。先輩ならもう街を出ました」


 なん、だと? お腹が減っても頑張ってここまで来たのにあんまりではないだろうか


「もう街を?」

「ええ、重要な速達便が出まして。先輩は態度は悪いですが配達の速度と、スキルによる生存率の高さで結構重要な物を運ぶ事が多いんです」


 聞いてもいないのにペラペラと話す魔族。内容はすっごくよく解る。チャリと言うなのロードバイクと並走するんだもんな。そりゃ速達要員にもなる

 しかし、困ったな。コンパスを安くしてもらおうと持ったのに


「そうですか。残念です」

「もしここに貴方が来たら謝っておいて欲しいと」

「いえ、急な仕事ならしかたがありません。買い物ついでにきて会えたらいい。くらいの気持ちだったので」


「お買い物は終わったので?」

「コンパスがこの集会場で帰ると聞いたのですけど。大丈夫ですか?」

「それでしたら小金貨三枚でご提供させていただけます」


 たっか! 足下見てんじゃねえ!

 とか思ったが、結局予備を含めて二つ買った。痛い出費である

 ノアの予定よりも早い出発もあり、少し残念な事続きだ





 日が変わるまで後三十分。現在書き始める前……


 間に合えええええええええええ!


 間に合わなかったお

 この世界のお金の価値について触れる事はありません。日本円にしたら幾らという話は、夢のない物語ではありますが、夢がとことんなくなっってしまうので書きません


 一応は考えているんですけどね


 後数話中には街を出て、季節をズラしたい所です

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