Q:どうしてメイドさんを奥さんにしたんですか? A:最高に可愛いからだ!
「申し訳ありません。主様は現在お仕事に出られておりまして。夕方にはお戻りになられますのでここでお待ちください」
ホモですか? 発言から直ぐ。俺は屋敷の中へと通され、簡単な応接室に呼ばれた。紅茶とお菓子を出しながらそんなことを言うメイドさんは、最初の爆弾発言から頭のおかしな様子は見られない
しかし警戒は怠らない。この魔族は油断ならない。先ほどそれを痛い程理解させられたからね!
〈いやあ、さっきのは大変笑わせてもらいましたよ。このメイドは面白いですねえ〉
「夕方まで戻られないのでしたら一度出直しますが」
全魔眼は無視だ。初対面にホモ扱いされて俺のメンタルはもう虫の息だというのに
「いえ、お気になさらないでください。屋敷の掃除、洗濯、夕食の準備まで既に終わってますので、私も主様のお帰りを待っているだけで暇だったんです」
そういって彼女は俺の前に座った。自分用の紅茶を入れ、お菓子をつまむ。ふむ、おかしいな。ここまで通される時にそこそこ歩いたけど、この魔族以外使用人いたっけかな? いなかったよね。今もこの屋敷の中には彼女しか感じないし
一人でこなしたって事かな。だとしたらコレットさんを越えるスペックなのではないだろうか
「アビー君にプロポーズしたんですよね。彼のどこが良かったんですか?」
俺は理解しました。今ハッキリと理解しましたよ。この魔族、アビーの事を男だと思ってる。だからさっきホモ扱いされたんだ。まあ、疑問が減った訳ではない。アビーって呼んでるし親しいのかな
〈まあ、あの魔王は胸さえなければ男ですからね〉
「はは。メイドさんは冗談がお上手ですねえ。アビーは女じゃないですか」
「キリル君は面白いことを言いますね。あんなイケメンが私と同じ女な訳がないですよ」
〈これほど見事な理由もないですね〉
くそ! 言い返す材料がないぞ! 全魔眼どうする?
〈ブラジャーの話でもしとけばいいじゃないですか。専用クローゼットもあるんですし〉
俺はそんな邪な目でアビーを見ない!
〈筋肉の件は!?〉
「いいでしょうメイドさん。どうやら俺らの考えは平行線の様です」
「不思議な事ですね」
「どうやら白熱しそうですね。俺らのアビーの性別弁論バトルは」
「いけません! 私には夫がいます。『白熱する俺らの性的バトル』だなんてふしだら過ぎます!」
「随分都合のいい聴覚してますね!? ピンポイントを拾って、ピンポイントに改ざん加えて!」
このメイドさんヤベえ! 今まであってきたどの魔族よりも相手にするのがツラい。精神的ダメージと身体的疲労の両面から攻めて来るぞ。もう百倍の世界で戦った後の様な疲れが出てる
〈た、確かに強敵です。正直こんな返しをしてくるなんて、思ってもみませんでした〉
「キリル君。君は男女共にいける方なんですね。若い内から冒険しすぎです」
「誰かこのメイドさん止めてええええ! 魔王より魔王みたいなダメージたたき出してくるうう!」
ガフッ。キャパオーバーで吐血しそうだ。このままではいけない。防戦一方のままでいれば、確実に殺られる。こんなのは紅茶とお菓子を挟んだ殺し合いだ
〈主のツッコミはあちらに取ってなんのダメージもありませんけどね。まあ、正直私もメイドの話はキツいので応援しますが〉
どうすればいい。このまま質問攻めにあっていればこの街の魔王がかえってくる前に精魂尽き果てるのは明白。こちらからも何かを質問して向こうに一人で話をさせるんだ
くそ、口の中が乾いてしまったので紅茶を一口。お? 美味い、ここまで美味しい紅茶は初めて飲んだ。このメイドさんはこんなにも美味しい紅茶を入れられるのに、なんで頭が弱いのだろう
そんな事思っている場合じゃない。思考を巡らせろ。例えば、そう!
「若い時は健全なーー」
「だ、旦那さんがいるんですね。どんな魔族なんですか?」
メイドさんには悪いが話しの腰を折ってでも、こちらのペースに持ち込ませてもらう
話を遮られたメイドさんは嬉しそうに俺の質問に答えてくれた
「勿論この街を治めになっているバネカー様ですよ」
「魔王夫人だと?」〈魔王夫人だと?〉
なんでメイドさんしてるんだか。紅茶を飲むついでに食べた焼き菓子、コレまた絶品だ
「主様には私の様な無能を妻に向かえ、あまつさえ扱えさせていただけるなんて。今が幸せ過ぎます」
なんというか。うん。謙遜なのかは解らないけど。ある一点を除いて有能な事しか見てないけど。この魔族は嫌いだな
「そう! 幸せと言えば。男性同士でご結婚される予定のキリル君は、アビー君のどこを好きになったのですか?」
「ここで振り出しに戻るの!?」
また始めからスタートなんてあんまりだ。こいつはメイドさんなんかじゃない。冥土さんだ。ごめん全魔眼。俺はここまでのようだ
〈くだらない事言ってないで何か質問してください。私も疲れてきました〉
ふう、仕方がないだろ? 直接相手にして疲れるのは俺だ。気絶だってしたくなる
なんかメイドさんに聞きたい事があるなら言ってみろ。俺が聞いてやるよ
〈そうですね。ではーー〉
「メイドさん。話を中断してしまってすいません。魔王様はここがご自宅なんですよね? よく外に行かれるんですか?」
メイドさんは何度も話を切る俺の質問に嫌な顔せず答えてくれた。これがコレットさんだったらそうはいかない。一度目で舌打ち、二度目はシカトするだろう。三度目は多分刺される。運が良ければナイフが頬を掠めるね
「いえ、正確にはこのお屋敷は私の家なんです。時たま魔王会議の会場としても使われますね」
「じゃあ、魔王様の家は別の場所にあると?」
「どこにあるかは教えていただいておりませんが、寝食はこのお屋敷でされますので安心してお待ちください
あ、紅茶がなくなってしまいましたね。今入れ直してきます」
そういってメイドさんは部屋を出て行った。ふう、休憩。次からめっちゃ紅茶飲もう
ふむ、まあ。魔王だって籠っているよりは家に出る方がましか。お、外に女を作っているという事も考えられる。このメイドさんが奥さんでは疲れるだけだからな。仕事だけさせて本命は外にいると見た
おっと、ククク。完璧な推理すぎ。今日の俺は冴えてるぜ
〈なんて夢のない。ゲスい発想ですか〉
どうとでも言うといい。ストレス発散の一環だと思ってくれ。妄想サイコー
〈あ、この魔族を鑑定眼で見た結果。ほとんど読めませんでしたが、二つのスキルだけは読み込めましたよ〉
なに、このメイドさんはアビー達同様、俺らじゃ勝てない系の魔族だったの。一応教えてくれ
〈えっと、スペシャルスキルの『完璧メイドちゃん』っていうのと〉
ネーミングセンスも然ることながら、そんなもんもスキルとしてあんのか!
も、もう一つは?
〈はい。『妄想癖』です。因みにスペシャルスキル〉
スゲー納得できた。あのさ。村で母から聞いたスキル説明で、スペシャルって百人もいないって聞いたんだけど。ちょっと居すぎじゃね? 調べて解るヤツには大体スペシャルあるし
〈そんな話もあるんですか。まあ、ワーウルフも言ってましたし。スキルメインの世の中で公言する魔族なんて少ないんじゃないですか?〉
あ、なるほど。そりゃそうか。俺らみたいに、凄いの持ってても言わない訳ね
全魔眼との話をしていると。メイドさんが紅茶と新しいお菓子を持ってかえってきた。かえってきた事にテンションが下がりそうだが、持っている物自体は嬉しい
「お待たせしました。申し訳ありませんが、近いうちに主様が帰ってくると思いますので夕食の準備に入ります。暫くはここでお待ちください」
嬉しいご報告しかありませんでした。こんなにも嬉しい気持ちになるのは、七年ぶりに太陽を拝んだ次くらいだな。新しい紅茶とお菓子を俺の前に置いてメイドさんは一礼。直ぐさま部屋を出ていく
窓の外は太陽が既に落ち始め、紅葉したはと同じ色をしていた
そこまで時間は経っていないと思っていたが、メイドさんと話しているだけで随分と進んだもんだ
その三十分程後の事だ。俺の耳には料理をするメイドさんの鼻歌以外に、玄関の戸を叩く音が五回も聞こえた。これに反応してメイドさんがパタパタと小さくかけて玄関へ向かう。元気よく戸を開けて直ぐ
「お帰りなさいバネカー様! ご飯にいたします? 湯浴みにいたします? それとも、わ、た、し?」
正直ドン引きである。俺の中では魔王が外で女を作ってきている節が濃厚となった
「もちろんソアをいただきたいよ〜!」
……訳でもないようだ。何故か声を聞いただけで、魔王がソアと呼ばれたメイドさんに抱きついている光景が頭に浮かぶ
〈あの嫁に、あの夫ありって感じですね〉
的を射ている
「あ、私の前にバネカー様。お客様がいらしていますが」
「ん? 私に客だと。特にそんな予定はなかったと思うが、誰だ?」
「キリル君です」
「ほう、すぐに会おう」
おっと、どうやらイチャイチャする二人の会話を聞かなくても済みそうだ
ブックマーク五十を越えて、なぜか数話で六十人を超えました。ありがとうございます
しかし、私の中ではある疑問が出来てきました。それは、コメントがない事!
〈当たり前じゃないですか。こんな後書きを書いている投稿者の作品にコメントすれば。まず間違いなく。なが〜い返信が帰ってくるに決まっています
めんどくさいじゃないですかWWW〉
正論過ぎて何も言えない! ムカつくから後書きのネタはボツネタとする!
ボツネタ
『「誰かこのメイドさん止めてええええ! 魔王より魔王みたいなダメージたたき出してくるうう!」
おい! まじでやめろ。投稿者。お前男のくせに頭の中が腐ってんだよ! 誰もアビーの男性化なんて望んでないの! キリ×男アビなんて望んでないの! パンプアップを望んでるの!
〈いや、パンプアップも望んでないでしょう〉』
メタイのでおやめになりました




