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Q:全魔眼。この街は楽しそうだよな? A:お金があれば楽しいでしょうね


 太陽が真上を通り過ぎた頃、やっと俺らはフィエの街に到着した。実を言うと、街の外には早朝ついていたのだ。入るまでが異常に時間が掛かってしまったのだ。ざっと、五時間くらいだろうか

 といってもノアに話を聞く限りこれが通常だと言う。小さな街は言うまでもなく素通り状態だが、大きな街となると出るにも入るにも検問が必要となる


 思い返せば、アビーの治めるラサンの街は、領主様の馬車に乗っていたのだから検問があるはずない。これからはこういうのにも慣れていかなければならんのか


 いい忘れたいたが、自転車は目立つし並んでる間の質問攻めが面倒なので並ぶ前に消しておいた。消した事で驚いたノアに説明を要求されたが、当たり前の様に魔法で作った物は消せると説明する。獣人が魔法に疎いのか、それともまたやらかしてしまったのかは解らない


 フィエはラサンと違い、色んな匂いがした。それは大きな通りの左右と真ん中に、当たり前と言わんばかりの屋台から。そこからは肉やら野菜、珍しい事に果物なんかも見え、これまでの旅でこの上なく活気ある場所だと言えよう

 因みにラサンは潮の匂い以外殆ど解らん。海に面した街だから仕方がないか


 街に入って直ぐに周りを見回してみたが、濃い灰色の壁が連なり、一階建ての家には七つの出入り口と、赤く鋭角な屋根から七つの煙突が出ていた。一つその家があると二十歩程の感覚が空き、屋根の色が違うだけの同じ家が建っている。大きな通りというだけあり、一般的な市民がそこに住んどりますよ。というのがよく解った


 遠くを見る限りでは一軒家というのもありそうだ。気になったのは北の入り口から着た俺らの左手。円柱状の、まるでチェスのルークみたいなドデカイ建物。十階以上ありそうだが、あれは一体なんだろうか

 現状見た一番大きな建物はアビーの屋敷の二階建てだったのに、ここに来て大幅更新ですよ


「あの建物がなんだか気になるみたいだね」


 どうにも俺の知り合いは心の中を読み取ってくるようで、ノアも例に漏れず読心してくる。いつ買ったのかは解らないが彼女の手には串肉で埋まっていた。その内の一本を俺に差し出して隣に立つ


「ありがとうございます。知っているなら教えてください。今まであんなにも大きな建物見た事ありません」

「あれはね。監獄だよ」

「監獄。へえ、魔族には必要のないものだと思ってました」


「まあ、あの中にいるのは殆どが人間だけどね。あと、獣人が少々。今は魔族が二人だったかな?」


 人! 戦争があるとは聞いたが、捕虜的なものだろうか。それを聞く気は俺にはない。今はエルフだし

 俺が貰った串肉一本を食べ終わると、ノアは残りの肉を全部処理しきっていた。なんと大食漢な事か。なんて考えは置いといて、アビーから貰ったこの街の魔王が住む場所が記された紙を取り出す。暗くなる前には顔を出しといた方がいいだろう。何事も速い方がいい

 それを見てノアが口を開く


「む、キリルはもう行くか。僕も夕方までには三件届けなきゃ行けない場所があるからな。ここで一旦お別れかな」

「そうですか。寂しくなりますね。友達いないんで今度手紙書きます」

「もしかして気にしてるのか? 手紙を書くなら配達人の集会場で出来るからな。冒険者ギルドでも確か出来たはず。あとコレ」


 ノアが肩にかける大きな鞄の中から三枚の便せんと封筒、それと六角形の郵便切手が出てきた。この世界にも郵便切手があるんですね。それらを差し出されたので一応受け取る


「貰っちゃっていいんですか?」

「給料と一緒に貰えるから気にするな。返事が欲しかったら住んでる場所を書いてくれ。なかったら返事はないから」


 やべ、考えれば俺って根無し草じゃないですか。貰った便せん等をリュックの内ポケットに大事にしまう

 そういえばリュックを返してもらったので、アビーの故郷で貰った肩掛け鞄は役目を終えた。革製品も今後何かに使えそうなので持って入るけどね

 中の傷んだ食べ物達は申し訳ないが捨てて来た。今リュックの中に入っているのは、皮の肩掛け鞄に、その鞄の中身、便せんと魔核となっている


「僕は三日後までこの街の集会場にいるから。時間があればご飯でもいこう」


 深くフードを被り直したノアとはそこで別れた。かなり仲良くなったし寂しい気持ちはあるが、貰った手紙もあるし今生の別でもない。俺も行くとしますか


「それにしてもさっきの串肉美味かったな。もう一本食いたいけど、どこで売ってんだろ」

〈主。主。言っとかなきゃいけない事があります〉


 なんだ。急に?


〈お金あるんですか?〉


 あ、そう言えば忘れてた。この世界の通過を俺は知らない。村でも買い物とかなかったし、物々交換だったし。マズいなあ。ノアに聞いとけば良かった。しかたがない、ここは黙って目的地に向かいますか

 歩きながらアビーから貰った紙を開く。住所とか書かれても困るとは思っていたが、地図で安心した。北と東の入り口。どちらから入っても解りやすい様に二パターン書かれた紙を頼りに大通りを進む


 時折、飛びきりいい匂いがして来て寄り道したくなるが、どの道一文無しでは何も出来ない。そんな事があり、何度目かの溜め息をして直ぐだった

 チラホラと一軒家が増えて来た所で。ふと、とある立て看板が目に入って来た


『冒険者ギルド』


 正面は七軒繋がった家二つ分の長さがあり、奥行きは解らないが二階。いや、三階はありそうだ。二メートルある両開きの扉が全開、その内側にはスイングドア。中からは笑い声が殆どもれて大分騒がしい


 金にはならないが、これはいいものを発見したのでは? 俺も冒険者になってお金を貯める。旅とはいえ村々での売買には欠かせないし、現状お金がなくて困っているのも事実だ


〈急いでいるのではないのですか? そんな五分とかで冒険者になれるとは思いませんが〉


 確かに、流石に世の中そんなに甘くない。だから話だけでも聞いてみよう


わたくしの意見は無視ですか〉


 軽く話を聞くだけだって。三十分もここにいる気はないよ

 早速スイングドアを押して中へ。外から聞くよりも五月蝿い。更にはそこら中から酒と食べ物の匂いが、こういう時だけは聴力と嗅覚の良さが嫌になる。一階には、とにかくたくさんのテーブルと椅子が並べられており。席について多くの男女が酒を呑みながら笑う


 奥を見ればその場で調理をしていて、多くの冒険者が運ばれてくる料理を心待ちにしているのがわかった

 左右には階段があり、階段のしたには長いカウンターと三人ずつの受付嬢の姿

 いかにも冒険者って感じで溢れかえっている。どこに行けばいいものかと、俺が右を見たり左を見たりしていたら。ゆっくりと周りが静かになっていく


 静かになり始めて数秒後、ギルドの中は完全な静寂となる。理由はよく解った。俺です

 俺を見てヒソヒソと冒険者達が話し始める。生憎とその話は俺の耳には聞こえてしまう。口を揃えてこういっていた『あれは人間か?』と

 そろそろ髪を切ろうかと本気で悩むな。伸びたもみあげを耳にかけため手を挙げると後ろから声をかけられた


「ぼくは何しに来たのかな? 迷子?」


 ギルド内はこんなにも静まり返っているのに、緊張感のない声で一人の女性ウエートレスが俺に笑顔を向ける。鱗みたいな肌をしているが、もしかしてコレもアイプ的な物なのかな? 鱗状の顔を見ていると彼女は俺の顔を見てると、少し驚いた様な顔をした


「ん? ぼくは人間かな?」

「ハーフエルフです」


 誰にも聞けなかった事を簡単に聞いて来た。タイミングはバッチリだったのでハッキリと大声で質問に答える。それだけでギルドの中はチラホラと先ほどのばか騒ぎに戻っていく

 どこからかは『紛らわしい』とか『なんだエルフか』とか誰も俺の言う事を疑わない。少し心配しそうになる程素直な種族だ。人と違う所なんて耳くらいしかないのだが、そこまで信憑性の高い証拠でもないだろうに


 まあ、説明しないで住む素晴らしい国とでも思っておこう。さて、ウエートレスのおねえさんには聞きたい事がある


「おねえさん。俺冒険者になりたいんですけどどこに行けばいいですかね?」


 俺の質問に少し困った顔をした。何かおかしな事を言っただろうか


「ぼくは歳幾つ?」

「え、十三ですけど」


 あ、正直に答えてしまった。年齢制限とかに引っかかったらどうしーー


「冒険者は十五歳からじゃないとなれないんだゴメンね?」


 ……


〈ぶふっ! 運がなかったんですよ〉


 笑いながら全魔眼がそんなことを言っているのがムカつく。肩を落として俺はギルドを出て行く。あそこで正直に答えなければなあ。ユリアーナと同じくらいの年齢にしとけば良かった。俺もの国に染まってきたって事かな

 

 

 

 どこかの屋台からいい匂いがしても無心になって、アビーの地図を頼りに進む。左に曲がったり、右に曲がったり、坂を上ったり、くだったり。時間は掛かったが、地図に記された大きな屋敷の目の前につく。鉄の柵に二階建ての屋敷で外観は真っ白。冒険者ギルドより全然小さいが、それでも一軒家としたらデカすぎる


 しかし、こんなに大きいのに警備とかはない。どうぞご自由にお入りください状態だ。悩んでも仕方がないので柵の中に入り、玄関を二度叩く。中から女性の声が聞こえ、しばらくすると扉が開く


「はい。どちら様でしょう」


 またメイドが出てきた。コレットさんの様なキツい雰囲気はどこにもなく、おっとり系の大きな瞳に白髪頭の美女。人型だウェーブのかかった髪は俺と殆ど変わらない。うなじまで伸びている。間違いない。この魔族は女だ


〈そこまで性別を気にしなくても〉


 俺の辞書に『二度ある事は三度ある』という言葉はない! そしてこの魔族はコレットさんの様に俺の心を傷つけないと見た。顔が優しそうだもん


「初めまして。俺はキリルと言います。アビゲイルさんの紹介で本日はお邪魔しました。魔王様はご在宅でしょうか?」


 メイドさんは俺の言葉を聞いてじっと顔を見てくる。なにか間違った対応したかな? もう少し子供っぽくしとくべきだった? 真剣に見つめてくるメイドさん。何かのピースがはめ込まれたかの様に目を開くと一言


「キリル君。君は、ホモ?」


 俺に精神的なダメージを負わせたので、コイツは敵だ





 悩んだんです。私はこの話で冒険者ギルドの事を話すべきかホントに悩んだんです。昨日の時点で入れない予定でした。でも、この先出せるか解らなかったので急遽ぶっ込みさせてもらった訳です


 今回だけでも街の外、街に入って直ぐ、ギルドに屋敷とかなりの移動をしてしまいました。ちょっと忙しなかったかもしれませんね


 あと、最期に出てきたメイドさんは……コレは次回がいいかな? キリル視点じゃなければ上手く言い回しができるのですがねえ

 物書きって、駄文でもむずかしい

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