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Q:コレットさんって俺のことホントに嫌いですよね? A:たまにはマトモな事も言えるんですね


 クソ暑い日が続き、サンサンと輝く太陽が熱心に仕事をこなす今日この頃。日を遮る木さえない山道を俺は必死に漕いでいる。漕いでいるのだから下り坂では無い。上り坂だ。俺がもっと魔法の腕が上がったらこの山を平らにしよう。そうしよう


 因みにノアから聞いた話では、この山の折り返しでは目的地であるフィエの街が見えるそうだ。それが唯一の救いだと言ってもいいだろう


 ノアとの旅が始まり十日が経過した。朝早く起き、夜遅く寝る。起きてから寝るまでの間に休憩は殆どなく、トイレと食事以外では、まず休まない。そのおかげで俺の身体は、もう疲労困憊だ。谷底の洞窟では疲れ、辺りに魔物がいなかったら休憩していたので、ここまでの動き詰めはした事がない


 七日を過ぎた辺りで朝起きるのが億劫な俺に対し、ノアはヘッチャラ! とでも言いそうな顔をしていた。獣人族よりも持久力のない俺はもうゴミ同然なのだ


〈思考が暗すぎやしませんかね?〉


 黙れ全魔眼。足の筋肉痛にむち打って自転車を漕いでいる俺の気持ちは、お前には解らんだろうが!


〈まあ、そう言われてしまえば、そこまでなんですけどね。しかし、動物的身体の獣人とエルフを比べてはいけないと思いますよ〉


 なぜ?


〈動物は疲れるのも速いですが、回復も早いじゃないですか。主と同じ休憩時間でも獣人に取っては十分な休息なんですよ〉


 なるほ……って! それで俺が納得すると思うなよ!


〈じゃあ、わたくしからも聞きましょう。なぜです?〉


 俺だって半分は獣人だもの!

 十日と言えばアビゲイルさんの街から出て、二十、七日くらい経っているのかな?

 アビゲイルさんが初めて魔王会議の話をした時、来月と称したが。俺は生憎この世界の暦を知らない。村にいた頃はその時期その時期で、冬だの夏だの言っていた


 そう考えれば、魔王会議は終わっててもおかしくない。終わったとしても最近だろう。理由としては、アビゲイルさんとすれ違っていないからだ。彼女は真っ直ぐ南西に向かえと言ってくれた。俺は従ってその道を進んでいるのだから、彼女もこの道を通るに決まっている


 一番恐いのは、文字通り『真っ直ぐ』だった場合。道とは呼べない様な場所を通っていたらそれはもうお手上げだ

 あとは、会議は終わったがアビゲイルさんがまだ会議のあった街で待っていてくれている場合。これは可能性が大分薄いだろう。元々戦争前の大事な時期だし、そんなに長く領地を離れるわけにはいかない。まあ、アビゲイルさんとの馬車旅三日目で、会議はどんなもんかと聞いた時はお茶会と答えられたのだけどさ


「キリル。この微妙に続く傾斜ってツラくないのか?」

「あ、それ聞いちゃいます? 勿論ツラいですよ。足の限界はもうとっくに過ぎてるのでそれはもうツラいです。もうおぶってくれませんか?」

「おぶるのは流石に、それに自転車はどうする?」


「最悪消します」

「何を言ってるのか解らない」


 最近ノアとの会話も多くなってきた気がする。ノアはかなり口数が少ないヤツだというのが解った。五日程前に一度だけ村に寄ったのだが、その時は配達先の人と必要最低限しか話さなかったのだ

 まあ、人の仕事に文句を言うつもりはさらさらない。人付き合いが苦手なヤツもそれはいるだろう。ノアに至っては種族も違うしね


 いい奴が多い魔族にそこまで警戒する必要もないと思うけどな。人が良すぎて俺の故郷を探すの手伝ってくれる魔王すらいるんだからね


「そろそろ昼ですし、休憩にしませんか」

「む、もう太陽があんなに高いのか。時間が経つのは速いな」


 そ、そうだろうか。俺しんどいんですけど


「さて、昼だから僕の番だな」


 料理をさりげなく教えると決めてから今日までで最近ノアの料理が、更にマズくなってきた。胡椒や塩などの調味料と言う物を教え、使わせているのだが。どうにも使用する量が少ない。それは俺にも心当たりがあった


 料理初心者あるある。その一。目分量で調味料を使う! だ


 計量カップとか今これほど欲しいとは思わなかった。朝夕は俺が作り、昼はノアが作る。朝から頑張っているのに昼はまるで楽しみではない。おいしい料理が運ばれてくるのをゆったりと待つ、ということはコイツといる限りないだろう

 現在、俺は美味しくもない。とてつもなく薄く、硬く、可哀想に調理された野菜達が運ばれてくるのを明後日の方向を見ながら待つしかないのだ


 そんなことを俺が思っているとはいざ知らず、フードを脱いだノアは鼻歌交じりに野菜を切る。刃物は振り下ろすんじゃなくて、猫の手で押さえてゆっくり切るんだよ。犬だから無理か

 道の先を見ながら、時折ノアの調理を見る。その時折はもの凄くハラハラするね


〈もう正直に言ってしまえばいいのに〉


 一度美味しいと言った手前、やっぱりマズいというのは気が引けるじゃん。くそ、転生してもNOと言える人間にはなれなかった!


〈人間でもありませんしね。おや、主。アレを見てください〉


 全魔眼にアレと言われても、どれのことだかよく解らないな

 仕方がないので周囲確認。正面、ノアの吹きこぼれている鍋。俺から見て右側、森や草原の広がるやたらとだだっ広い地平線。左側、ごつごつした岩肌と一本の道


 全魔眼の言うアレとは左側の道にあった。魔の昼食を終えたら向かう先。見たことある様なちょいと豪華な馬車が走っている。御車台には見たことある様な、俺を見るときだけ目つきの鋭いメイドが座っていた。馬車にしては高い屋根の上にも魔族が座っており、その彼女と目が合った


 料理に夢中だったノアが馬車の存在に気がつき、フードを被る。警戒気味のノアをなだめていると、メイドが御車する馬車はゆったりと俺の横を通り過ぎようとしていた


「ってちょっと待ってくださいよコレットさん!」


 ゆっくり走っていたので馬車はそれほど進むこと無く動きを止めた


「ああ、キリル様ですか。余りにも人間に似ていたので無視してました申し訳ありません」

「俺への接し方がより酷いものになっている!?」

「主様は先ほどお休みになられましてね。何時目が覚めるかーー」


 寝ているという報告を受けている最中、屋根の上にいたマールさんが屋根を乱暴に叩く


「主様〜! キリルのヤツがいたぞ! 起きろ!」

「ちょ、マール! 貴女、主様をそんな起こしかたしていいと思ってるのですか!?」

「こうやって起こしてくれっていてたから」


 メイドとして許せなかったのか、コレットさんはマールさんを屋根から降ろし説教を始めた。マールさんが怒られるまでの一部始終を眺めていたら、馬車が一人出ぬ揺れ始めた。アビゲイルさんが起きたのかな?


 予想通り、目を擦りながら素晴らしく美しい割れた腹筋を持つイケメンがゆっくりと馬車から降りてくる。まあ、全てが予想通りとは思っていなかったが。目を擦り終えたら笑顔になると思っていた顔は非常に真面目だった

 イケメンが真面目な顔をするとカッコいいな。おっと、俺はホモじゃない。アビゲイルさんは歴とした女だから見惚れていてもセーフ


「お久しぶりです。えっと、アビー」

「ふっ、久しぶり。そこまで硬くなることはないだろう。敬語だっていらないぞ?」


 仕事の報酬である愛称呼びを試してみる。軽く笑ったアビゲイルさんからそんな提案をされた。嬉しいことだが、流石にそこまでは


「そうはいいましても、いきなりそこまでフレンドリーに接したら刺されそうで」


 チラリと説教中のコレットさんを見る。説教しながらこっちを睨んでる!? 恐っ、目がもう魔族の域を越えた悪魔みたいになってるぞ!

 コレットさんのことを察したアビゲイルさんは乾いた笑いをして頷く


「ま、まあ。そう言うことなら。さて、キリルには謝らなくてはいけないことがあるな」

「謝ることですか?」


 なんだろう? はっ! まさか結婚するのか!? そんなに速く魔王であるアビゲイルさんを越える男が出てくるなんて!


〈妄想もそこまでくると面白いですね〉


 嫌みな笑いを俺に聞こえる様に全魔眼が笑う。なんて性格の悪い眼球だ。眼球に性格もひったくれもないんだけどさ

 謝らなければならないことを聞く為にアビゲイルさんを見ていると、彼女の背がどんどん低くなっていく様に見えた


「え?」


 魔王である彼女が俺に頭を下げたのだ


「すまないキリル。お前の故郷の場所はボクからは教えられない!」


 そんなことよりも、アビゲイルさんに頭を下げさせた俺を殺したい





 キリル目線に戻って参りました。誰の目線でもない時にブックマークした方はご注意を!


 会議は大魔王を含む回を予定していたのですが、中々思う様にかけず。大半がおじゃんとなりました!

 まあ、名前は昨日出せたしそれでいいとしましょう。大魔王達のキャラも後々になればぶっ飛んだものを考えられそうですしね


 一番問題なのはキャラの濃さを今後どうするかって話ですよ。主人公ってのは中々難しいものですよね。キャラの方向性が定まらない。今の所定着しているのは重度の筋肉フェチってだけです


 一番の瞑想キャラは間違いなく全魔眼で、二番目はアビゲイルなんですけどね

 主人公級の性格を考えるのが一番難しいっているのは、駄文とはいえ酷い事なんでしょうかね?


 今回の後書きは続くはず。今回はこれで終了です


 あ、あとあらすじ書き換えます。今のあらすじはここに書いときますね


『通り魔に刺されて命を落とした青年は転生する


 転生先は剣と魔法の異世界。新たにスタートした二度目の人生

 彼は新たな家族と生きていく事を受け入れ、魔法を極め、楽な生活をする事を決意


 一流の怠け者は努力する』



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