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Q:屋根治してくれるよな? A:だからなんで私に頼むんだ。自分の領地に修理屋にでも出せ


 カルタリンゴーンを治める大魔帝王

 大魔帝王が直々に指名した二人の大魔王

 大魔帝王と大魔王が大陸中から選び出し、王のくらいを受け入れた六人の魔王


 六人の魔王が一堂に会する魔王会議は言わばこの国の未来を動かしかねない重要な会議でもあるのだ

 今回会議が行われるのは第六魔王が治める街・フィエ。この街は三日も移動すれば、海、森、山と多くの自然に囲まれた豊かな土地。街の六割が魔族で三割が獣人、一割が罪人となっている


 大きくわけて大陸に三つしかない大監獄がある都市でもあるのだ

 そしてこの街の長。バネカーは会議に使われる屋敷と大監獄の間にある自身の家。その中でも仕事部屋に籠っていた。彼は直接戦闘をする気のないタイプの魔族で。故に主な仕事は情報の整理となっている


 彼の家は大きな屋敷ではない。白いレンガ造りの壁に真っ赤な屋根と煙突がつく様な至って普通の家で、仮にここに人間が攻め込んで来ても、まさかこんな場所に魔王がいるとは思わないだろう

 彼は一人で机に向かってモクモクと資料を読みあさっていた。机の上には彼の身長の倍はあろう紙の束が幾つも立ち並んでおり、それ以外にはどこにでも売ってそうなインクとペン。細かく、そして美しく丁寧に彫刻された判しかなかった


 部屋一面も本や地図ばかりで、高く積み上げた本は部屋に一つしかない窓を半分程隠してしまっている。同じ魔王達にも、上司である大魔王にも知らせていない彼だけの聖域


 しかし、そん聖域に足を踏み入れられる魔王が一人だけいた


 バネカーが資料を読み終え関連する一枚の紙に判を押そうとした瞬間だった。彼の家の玄関が通常では出ない様な音を立てた。一瞬手を止めたバネカーは顔を顰めてから、判を押した

 とても短い黒髪の下、額から二本のが頬へと伸びている。たれ目が部屋の出入り口を見つめる


 筋肉なんてないのではないかと思われる身体に纏うのは着潰したシャツに、擦り切れた黒いズボン。魔王と言う風格はどこにも見当たらなかったが、ゆっくりと立ち上がった彼の纏う怒気は紛れもなくこの大陸で六人しかいない魔王が纏うソレにふさわしいものだった

 そんな彼が睨む扉が玄関と同じ様にもの凄い音を立てながら開かれた。入って来たのはおかっぱ頭のイケメン。額から伸びる二つの角は空を目指している


 魔王・アビゲイル。彼女は満面の笑みを浮べて彼の聖域に足を踏み入れたのだ


「いや〜久しぶり。聞きたい事があったから、先にこっちによらせてもらうよ!」

「やっかましいぞアビー!」

「いいじゃないか。ボクらの仲だろう?」


 溜まらず頭を抱えたバネカーは、直ぐにアビゲイルが入って来た衝撃でも全く動かなかった紙の束から一枚捲って目を泳がせた。十行程読み終えるとゆっくりと椅子に腰かける


「で? 会議よりも先に聞かなきゃいけない事ってなんだ。見ての通り、私は忙しいのだがね。お前と違ってな」

「はっはっは。その嫌みも久々に聞いたよ。聞きたいのはある村の事なんだ」

「村ぁ?」


 視線を斜め上へと動かしたバネカーはアビゲイルの側近の内の一人。二頭身タイプの魔族ソフィーの事が頭に浮かんだ。彼女はアビゲイル領の事をなんでも知っている。バネカーとまともに会話できる数少ない女性だ


「ふぅん。珍しいね。お前が他領の話とは」

「処刑の谷がある村の事を教えてくれ」


 アビゲイルの言葉を鍵に、バネカーの表情が一気に険しくなる。静かに鋭い視線をアビゲイルに送り出す。手に持っていた資料の内容も頭の外へと飛んでいってしまう程に

 それに気がついた彼女もへらへらとした笑いをやめて頬を引き攣らせる。アビゲイルは知っていた。バネカーは戦いたくないだけで、戦えばアビゲイルとかわらない戦闘能力を有する事を


「なんでお前からその村の話が出てくるんだ?」

「ボクの友人から聞いたんだよ。彼がその村出身でね。故郷に戻りたいそうだが、帰れなくなったと。細かな場所を聞きたいんだ」

「あの村の出身者? いや、ありえない」


 一瞬考え、すぐに答えを出し言い切った


「なんで言い切れるんだ」

「それはお前。色々あんだよ私にも」

「どうしたどうした? はぐらかしちゃって。妹のボクにも言えない事なのかな?」


 鋭い返答にバネカーが目をそらすのを確認したアビゲイルは机まで近寄って顔を覗き見る。永遠の時を生きる兄妹はどっちがどこまでなら怒らないかを正確に判断できるのだ

 先ほどのバネカーはアビゲイルに取って完全な不意撃ちであり、いつもの調子ならば手玉に取れる。経験上、バネカーはここで落ちる。その確信は


「い、言えない」


 見事にハズレた


「え?」

「聞きたいのならば、ヴァーニア様に聞いてくれ」


 その言葉に息をのむ。『ヴァーニア』この国の頂点に君臨する大魔帝王の名前でもある。その一言で求めている情報の重大性が解った気がした


「アビー。その友人とやらの名前を聞きたいがいいか?」

「キリルだ」


 キリルの名前を復唱してバネカーは斜め上に視線を向ける。そして数秒後。口元をおさえて呟く


「嘘だろ。生きてるはずない」

「なんか言ったか?」

「ああ、アビー。この件お前今回の会議は都合がいいぞ」


「都合?」

「なんでかしらんが大魔王のお二人もいらっしゃるからな」

「え! ホントか?」


 子供の様に目を輝かせるアビゲイル。大魔王の二人。世間一般には龍魔王、魔導王と呼ばれる。彼らはアビゲイルの憧れでもあった。一方は最強の獣人である龍族。一方は魔法を極めしハイエルフ。アビゲイルとバネカーは幼き日にお世話になってたりする


 喜ぶアビゲイルから窓とは反対側にかけてある時計を確認する。今日中に確認してしまわなければならない資料が山ほどあるが、会議の時間が迫っていた

 といっても、約束の時間まではまだ六時間も前だが。開催する街の魔王が遅れるわけにはいかない


「おい」

「ん? ああ、もう行くのか。近くにボクの馬車があるが乗っていくか?」

「いいのか?」


「遠慮するなよ」


 アビゲイルの厚意に甘え、少し豪華な馬車で会場に向かう事にする。実際はアビゲイルの側近であるマールが剣で開けた穴を修理してもらう為なのだが、バネカーはそれを知る由もない


 バネカー宅から魔王会議が行われる会場までは三十分程度。大まかなものから細かなものまで既に準備はバネカーの側近達が前日に済ましてはいる


 後は再度チェックするだけだ。位の気持ちで家を出たバネカー

 その頃、会議場で主の到着を待っていたバネカー唯一の側近。ソアは会場と厨房の間を走り回っていた。客をもてなす料理から建物の設計、会議の議題、主のスケジュール管理までこなすスーパーガールもこの日だけは涙目で仕事をこなしている


 白い髪に鋭い目つきの二頭身魔族が椅子の上に立って叫ぶ

 叫んだ後に高笑いをする彼はダボダボの、とっても高そうな橙色の防寒具を身に纏っている。襟と袖にはもこもこのウールがついており、沢山詰められた出あろう綿が服を分厚くしているのがよく解った

 ズボンも上着とお揃いではあるものの丈が長過ぎて一体何重に折っているのか解らない程になっている


「おい! お姉ちゃん。こっちに酒持って来てくれないか!」

「ハイただいまお持ち致します!」


 彼は第五魔王、アウグスト・ゲオルグ


 青い髪に糸の様な目、肌は鱗でびっしりと埋め尽くされている様に見えるタイプの魔族もアウグストに便乗して果物を頼む

 ひらひらと手を振りながら注文する彼女は髪と似た様な色をしたビキニタイプの水着を身につけていた。上半身に身につけている服はこれだけで、下半身はスパッツの様に肌に密着する物を身につけている


「ソアちゃん。こっちには果物もお願い」

「ハイただいまお持ち致します!」


 彼女は第四魔王、スキューノラ・シュトベルク


 金色の髪に金色の瞳、波打つ髪が地面と接している人型の魔族手を扇替わりにして扇ぐ

 空調の調整を頼む彼女は漆黒のドレスに身を包む。大きくふくれる胸元、先に向かう程大きくなっていく袖、子供が隠れられそうな程広がるスカートの先。それらには沢山のレースがついていた


「妾にはこの部屋が少し熱すぎる。暖房とかないのか」

「ハイただいま変更させていただきます!」


 彼女は第二魔王、トレミー・スタイシャン


 黒髪黒目、特徴という特徴のない無害そうな顔をした後頭部が長い魔族は席を立ち提案を持ちかけた

 忙しそうなソアを見る彼は丈夫そうなシャツ、パンツ、ブーツを着ていた。真っ黒なその見た目は夜になったら見えなくなってしまうのではないかと思われる


「あの、手伝いましょうか?」

「魔王様のお手を煩わせたら、私が主様にお叱りを受けるので座ったままでお願いします!」


 彼は第一魔王、ウィリアム・ハーシェル

 大きく丸いテーブルを囲う席に着く男女は、この国で魔王と名乗る事を許された者達である


「バネカー様〜! 私以外も誰か雇ってえええええ!」





 名前ダル。考えるのに一番時間を消費したお


 さて、最近この駄文特有の身体の構造とか全く話せてない事にソワソワし始めました。ただの素人が書くファンタジー物なんで、得意分野を無理矢理詰め込みたい衝動にかられているのでしょうね


 次回は魔王の誰かのお腹とか吹き飛ばしておきましょうか


〈そんな事一ミリも思っていないくせによくいいます〉


 最近幻聴が聞こえる様になって来た

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