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Q:私にだって出来ない事はありますよ? A:出来ればオンオフは出来て欲しかった


「それにしても便利な乗り物だな。自転車というのは」

「そうですね。そのうちどこでも帰る様になると思いますよ」


 少しだけ凸凹が大きくなって来た道を走りながらそんな会話をする。俺は自転車に乗ったまま走っていて、フードをしっかりと被ったノアは走って俺と並走していた

 驚くべき速さである。なんでも寅族は夜間もしっかりと走れるが、戌であるノアは道に残る臭いを頼りに夜道を走っていたらしい。そのため本来の速度では移動できなかったらしい


 そこを俺に抜かされて対抗意識が出来たと。俺はコレを本能で追っかけて来たものだと思っている。犬との散歩中、走って追い越すとそれ以上で向かして来ようとする。みたいなもんだと

 現在ノアは、昨晩の俺の自転車を漕ぐ速度と同じ速度で走っている


 『獣人は皆本気を出して動ける時間が短いだけで、本気じゃなかったらそれなりに長時間行動できる』ノア談


 事実を物語る様にノアはかれこれ二時間俺と並走している。速さだけではなくスタミナも化けモンだろコレ。全力を見たくないわ!

 似たことを口にした所。ノア自身は非戦闘系なので戦いはしないとの事。それでも獣人てのがどのくらい規格外なのか再確認できた。思い返せば父の特訓中も本気じゃなかったって事だ


 生きてた事が解ったら殴られる様な気がしてきた俺は身体を震わせる。なんか村でキメラの痕跡は探したいけど、両親に会うのが恐くなって来たな

 本気で殴らせて。はーと


 なんてユリアーナにいわれたらどうしよう。あいつ自身の性格を加味しても、普通に強くなってそうだし。知覚強化百倍で避けれるかな? 昨日聞いた獣人最強が龍族だって話も、サラブレット化が更に増してしまった。俺はハイエルフの方が強いから、今後に期待なんて出来ねえ


 考えると恐ろしいので話を戻そう

 この二時間の並走中に色んな事を聞かれた。話題になりそうなのは自転車の事だったり、なぜフィエの街に向かうのか。くらいかな


 前者の自転車の事に関しては俺が作ったという事にした。設計自体をしたのではないが、魔法でこの世界に生み出したのは嘘ではない

 後者は包み隠さず話した。勿論村の事もだ。村については聞いてみたものの、心当たりがないと言う。管轄外だとか。因みにノアの管轄はアビゲイルさんの街と魔王会議が行われる街。その間にある全ての村だそうだ。勿論そこまでの土地を一人で回る訳ではない。何十人もいる。行動は一人出が殆どらしいけどね


〈主。魔物が近くにいますけど、どうします?〉

「おや」「む」


 俺の危機感知と全魔眼の視認が同時に反応し、進む先になんかしらの魔物がいる事がわかった。全魔眼に至っては魔物の種類も解ってそうなものだが

 それよりも驚くべきはノアである。走りながら会話をこなし、敵にも気がつく事が出来る。正直優秀すぎてほんとは戦えるんじゃないかと疑ってしまう


〈まあ、エルフ以外に危機感知を持っても不思議な事はありません。天賦の才か、後天的なスキルかは解りませんがね〉


 そう言われれば、俺の危機感知はスキルじゃないんだよなあ。その境もよく解らん。自動洗浄は毎日身体を洗ってる時に出来たもんだし、全魔眼はいわゆる転生特典だ。考えれば考える程戦闘系スキルがない

 考察するだけ悲しくなってくるからやめよう


「何が悲しくて泣いているかは解らないが、この先に魔物がいる。僕は逃げるが、キリルはどうする」

「そうですね。魔物の種類によっては昼食か夕飯になってもらいます」


 俺の回答にノアは引き気味で問い返してくる


「魔物を食べるのか?」

「しっかり調理すればそれなりにいけますよ」

「そ、そうなのか? 興味あるな」


「じゃあ、ゴブリンみたいな人型ではなく。鹿みたいな動物型なら狩りましょう。昨日のお返しに昼食作りますよ」

「むむ、それは助かる。じゃあ、僕は見てるから」


 黙り込んだノアはそのまま走り続ける。特に速く走るとか、隠れるというアクションはない。逃げるっていってたし、襲われてから逃げんのかな?

 そんな事を考えていると前方で猪型の魔物が道の真ん中に出てきた。最初は右から出てきてそのまま行ってしまいそうな勢いだったが、自転車を漕ぐ俺を見て一度鳴くとこっちの方へ真っ直ぐ駆け出して来た


 俺らっていうか、俺に。自転車は珍しいもんね。隣では涼しい顔をした。フードを深く被ってるから顔は見えないんだけど、そんな雰囲気のノアが何事もない様に走り続けている


「危ないから道を外れて歩いたら?」


 アダフさんの剣を作り出しながらノアを見た。こっちを見て俺を見上げている。ローブは口元も隠せる様に襟が長いもので表情は見づらかったが、それはもう驚いた顔をしていた。少なくとも言葉では言い表せない表情だ

 なぜだかよく解らないが、顔を触ったり、身体のあちこちを確認している。なんか言っちゃいけない事だったかな?


〈魔核は頭部にあります。丁度眉間、小さいですが主の投擲技術なら問題ありません〉


 まあ、よく解らないが。まずは食料調達といきますか

 とりあえず魔物の眉間に剣を投げつける。終わり。ブレーキをかけて自転車を止めると、事切れた魔物が自身の走って来た勢いで俺の目の前まで滑ってきた。猪型ね。洞窟内ではコウモリが一番美味しかったが、コイツはいかほどか


 自転車のスタンドを立て降りる。鞄からナイフを取り出して解体作業といこう。ここまで大きいと血抜きとかしないと駄目かな。木と魔物をつり上げる為の蔦を作ろうとした時だった


「キリル? 僕が見えるのか」


 コイツは何を言っているのだろうか? ノアが訳の解らない事を口にした


〈あ、解りましたよ主。この獣人の反応の理由〉


 聞きましょう


〈スキルです。しかも、視覚に作用するタイプだったのでしょう〉


 なるほど。全魔眼を持ている俺には『魔眼』『視覚に関するスキル』は全て無効化される。だから俺にはノアのスキルが効かなかったんだ。多分、透明になるとかそんなんだろう

 因みに、透明になって、身体の臭いが消えて、気配も感じなくなる。というスキルだった場合、透明の部分だけが無効化される。元々目に見えない風の刃! みたいな攻撃は見えないままだ。そうなったら危機感知でどうこう出来たりするんだけどね


 そうか。でもそうなってくると、困った事もあるな。この後の言い訳を考えなくてはいけない。普通じゃスキルを無効化するスキルなんて物はない。打ち消すならあるだろうけど、透明になるを打ち消すってなんだよって話だ

 どうしよっかな


「なあキリル。どうなんだよ」


 あ、無視しよう。目もあわせてはいけない。無心で魔物を解体するんだ

 木を作り出し、魔物を吊るし上げる。眉間の剣を抜いて首元をかっ切る。コレでいいのか解らないけど、いざとなれば切り落とせばいいのだ。人の身体ならば首元に血管が集中してるし、生き物なら似た様なものだろう

 次に四つの足の付け根にネイフを滑らせる。皮を剥ぐのだ。イカなどは新鮮な内は剥ぎやすいが、猪はどうだろう。寧ろ魔物はどうなのだろう


〈あのとき話かけなければこんな真似をしなくて済んだものを〉

「キリル? おいキリル。……やっぱりさっきのは気のせいだったのかな? いや、でも目が合ったし」


 誤摩化しきれないか? ノアが何かを閃いたのか「お!」といって両手をあわせる

 何が始まるのだろう


「バーカバーカ! キリルのアホー! マヌケ、変態、ハゲ! チビ、不細工!」


 子供か! 年齢聞きたくなったよ。どんな試し方だよ。なんでそれで俺が引っかかると思ったんだよ!


〈見た目が子供だからでは?〉


 俺の行動って子供っぽいかな!? 冷静に見てくれれば解るよ。コレットさん見たな反応をしてもいいくらいだよ


「なんだ見えてないし、聞こえてないのか。良かった。じゃあ、もういいや」


 胸を撫で下ろすノアは少しの間を開けて再び俺に声をかけて来た


「解体は進んでいるか?」

「ん? ああ、順調ですよ。どこいってたんですか?」


 今気付いたかの様にさりげなく会話をする。どうやら誤摩化しきれたようだ

 そのとき、ノアの手が俺の右肩に置かれる。なんだ?


「僕スキル解いてないんだけど、何か言う事ある?」

「さ、策士ですね」

〈流石は主! 期待を裏切りません!〉


 眼球が薬液の中を漂ってるのってなぜだか綺麗に見えないか? 俺は今猛烈に金の眼が浮かんでるのが見たいんだ


〈どうしましょうか主! このままではわたくしの存在がバレてしまいます!〉


 うむ、仕方がない。知覚百倍の世界でじっくり考えよう


〈御意〉


 周りの動きが遅くなった世界で俺は思考を巡らせる

 さて、まんまとノアの柵にハマった訳だが。何かいい案はないかね全魔眼君


〈ハイエルフの先天的な特殊能力的なことを言って誤摩化しましょう。ハイエルフは個体数が少なく、未だに世間での馴染みがありませんから大丈夫です〉


 なるほど! して、その考えは何時から思い浮かんでたんだ?


〈……十一年前くらいからですかね〉


 まだ俺が転生する前からじゃねえか!!


「はあ。バレてしまっては仕方がありませんね。実は俺、ハイエルフの子供でして。そう言ったスキルを打ち消す事が出来るんです」

「ハイエルフって、あの? 大魔王の一人と同じ種族のか?」


 大魔王の種族なんて知らね。むしろ、魔族以外でも魔王になれる事の方が驚きなんですけど。アビゲイルさんより上だが、いいのかカルタリンゴーン。……国名長いな。これからはカルタと略すか?


「大魔王がどうかは知りませんが、少なくとも俺にはそう言った力があります」


 どこか納得していない様な顔をしているが、ノアは俺の肩から手を退かした。魔力眼で説明しても良かったが、既に千里眼がバレているのでこれ以上増やすのはいい判断ではないと思われる


 俺は直ぐさま解体に戻る。ぼろを出したらマズいしね。今回の事で解ったが、無効にしているスキルの判別が出来ないというのは恐ろしいものだ。今後の対策を考えておかないとな


〈一応いっておきますが、流石に無効化のオンオフは出来ません〉


 へいへい。参考になりました

 アレやコレやと考えつつも、目の前の魔物を解体していく。鞄にはそんなに入らないし、取り敢えず足は取ってしまおう。他の部分は


「ノアさん。鞄にこれ入ります?」

「ん〜。流石に無理だな。頭と内臓、骨を取ってもらえれば。何とかなるかもしれない」

「ではそうしましょう」


 さくさく作業を進めていく。ノアは俺の作業を見ながら切り分けた肉を水で洗い、鞄の中へとしまっていく


「魔法ってのは本当に便利だな。キリルみたいにそんなにバンバン使うヤツは初めて見るが、魔力は大丈夫なのか?」

「全然大丈夫ですね。ここ一年くらいは魔力を使い切る方が大変ですよ」


 タイムマシン製作と天鏡眼以外ではな

 話しながらの作業も終わり俺らは再び移動を開始した。その日の夜には二日掛かると書かれていた看板の内容を無視し、峠道まで来ていた。流石に坂道を上るのは報えた。足がパンパンである

 夕食は俺が作った。昼も作ったのだが、ノアが俺の料理を絶賛。勢いに乗せて今後は俺が料理を披露する形で話は落ち着いた。何ともラッキーな結果である


 まあ、毎日作るのはめんどくさいので。ノアにも料理を教えてやろう。さりげなく、マズ飯を卒業させてやる





 そうそう、前回書き忘れたものをここにかいちゃうよ


 この世界の人間はヒト科ではなくサル科だよ。チンパンジーもヒト科じゃなくてサル科だよ


 目だか科だかなんて名前くらいしか知らないけど、なんか言いたくなったんだ


 本文中に書く事はありませんでしたがね!

 明日書く内容は決まっていますが、ごめんなさい。三人称です

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