Q:女は謎がある方が魅力的なんですよ? A:腹筋つけてきてから出直せチンチクリン
辺りを警戒しつつ、俺は洞窟の入り口に立っている。とっても見慣れた光景だ。上下左右を土で囲まれた空間、所々に生えている苔、光の届かない洞窟の先。更に奥へと足を踏み入れようとした時、突如声をかけられた
「……ちょっと待って!」
全くと言っていい程不意にかけられた声に、柄にもなくアダフさんの剣を作り出し構えてしまう。いや、ホントに驚いたのだ
しかし、声をかけて来たのは子供だった。魔族特有の褐色の肌。腰まで届く金色の髪に俺と同じ金の目を持つ少女。歳は俺よりも上、十五歳くらいだろうか? 綺麗に整った顔に似合わず服はボロボロの布一枚である。因みにタイプは人型だ
その少女は裸足で俺に近づいてくると人差し指でおでこを何度もつついた。いたたた。やめて、なんなんですか
「……どうしてこんな所に子供がいるんですか! 帰りなさい。今直ぐ。速く」
「いや、俺はこの中にいるはずの子供を助けに来たんです。そう言う貴女だって子供じゃないですか」
「……もっとトーンを落としなさい! ワーウルフは耳がいいんですから!」
「……わ、わかりました。わかりましたから、つつかないでください」
声を落としてそう言うと彼女はつつくのをやめてくれた。その後、手を引かれて洞窟の入り口脇に連れて行かれる。因みに出した剣はもう消した。その事に関しては何も突っ込まれなかった。というよりも突っ込まれなかった方が驚きだ
彼女は洞窟の壁を背にあぐらをかいて座った。いや、女の子が布切れ一枚でその座り方はどうだろう。ロリコンが絶叫する様な光景になってしまっている訳なのですが
そんな事気にも止めず、彼女は俺にも座る様に手をこまねく。何か言ってもつつかれて押し通されそうな気がするので黙って従う。背すぎを伸ばして腕を組む彼女は俺の頭から足の先までをじっくりと観察した。なんなんだ
〈おや? 主。この魔族、鑑定持ちですよ〉
なんで解ったのか教えてもらっても?
〈鑑定眼は相手を鑑定する他にも様々な効果を持っていまして、鑑定結果を偽装したり、遮断したりできるのです〉
ほほう、それでどうして解るんだい?
〈今の話は全く関係ないのですが、鑑定を持つ者は鑑定されると違和感を感じ取れるのです〉
関係ない事今言うなよ。……ん? って事は今違和感を感じ取ったって事か
。今見られてたのも鑑定されてたから?
〈はい。そう受け取ってもらっていいと思います。ただこっちも鑑定してしまったので向こうにもバレてるんですけどね〉
笑いながら言いやがったぞ、この目ん玉
で? どうだったんだ。鑑定持ちなんだろ。強いのか?
〈……わかりません〉
「は?」
おっといけない。ついつい声に出てしまった。彼女も少し驚いた様な顔をしている
〈ホントに解らないんです。至って普通の生活スキルに、ノーマルの戦闘スキル、どんな魔法が得意かというのも見ましたが、普通過ぎます。それなのに、鑑定スキルがないんです〉
じゃあ、弱いんじゃないか? 鑑定持ちに対する鑑定の警戒がないってことだろ?
〈鑑定偽装はレアから。私は、こう思います。この鑑定結果はわざとであると〉
その心は?
〈主の様に、見た目以上の力を持つ事を隠す為。わざとらしい偽装をしているのかと〉
俺もそうなってんのか?
〈主の場合は私以外隠す必要性がないので、殆ど素です〉
この腐れ目玉
「……君、名前は?」
「……え、あ。俺はキリルって言います」
「……私の名前は長いから、ヴェネ。そう呼んでくれ」
怪しいいい! めちゃくちゃ怪しいぞこの魔族。向こうさんは真面目な顔してるけど俺の中の警戒心はもう拭えないくらいになってる。見た所、武器も持ってないし、襲ってくるという気配もない。今の所は
「……キリル君か。まさか君も鑑定持ちだったとはね。偽装は出来てないようだけど、若いのに中々やるね」
「……どうも」
う、う〜ん。この、ヴェネ? だっけ、コイツが腹の中を探ろうと話して来てるのは解る。でも俺、腹の探り合いとか苦手なんだよね。軍形式に例えるなら、歩兵だから。突撃隊だから
……ふむ、腹の探り合いと言えば、この魔族は随分と警戒心が強いんだな。警戒心が強い魔族は強いって相場が決まってる
「……君も子供達を助けに来たのかい?」
「……ええ、まあ」
「……キリル君は、一対一と、多対一どっちが得意?」
あれ? いいの? 腹の探り合いとかしたいんじゃないの?
「……そんな気はさらさらないよ。私は子供達さえ助けられたなら、それで良いんだ」
読心持ち? それとも俺の顔に出てた? まあ、どっちでもいい。プライバシーとかもう忘れた
しっかし、流石は仲間意識の高い魔族様ですよ。真っ直ぐ視線を話さずそんな事が言えるとは
でも、ここで彼女と洞窟内に潜るとなると、水を集めさせてる彼らに申し訳ないな。実力も解らんヤツといくより、彼らと言った方が安心できた
それに、悪事を働く魔族なんていないとアビゲイルさんはいってたが、俺はそんな事信じない。疑う事は知性を持つ者の特権だ。喜ぶ事も、悲しむ事もしかり
でも、猫の手も借りたいのは本当。襲って来たらその時は魔族の子供以外生き埋めじゃ。はーと
「……何方かと言えば、一対一ですかね」
「……じゃあ、魔獣をお願いしたい。子供達と魔物は私がころっと片付けましょう」
不敵な笑顔が恐い魔族って始めてみた
「……はーい。じゃあ、この布っキレをきてください。濡れたまんまでこの洞窟内を徘徊されると足跡とかでバレるんで
私も子供達にも悪影響です」
キッタないボロボロの布を拡げて俺に押し付けてくる。やめて、クッサ! この布クッサ!
つーか、コイツの格好の方が悪影響だろ
「……何言ってるんですか。こんな格好の美少女が歩いてた方が皆も喜びます」
「……読心持ちか! 読心持ちなのか!」
「……んなこたどうでもいいんですよ。速く脱げよ美少年。お姉さんが脱がしてやろうか。ふひひ」
美形に生まれ変わったのをここまで後悔した日はない。仕方なくアビゲイルさんに貰った服を全て脱ぎ、洞窟に落ちていた石を拾う。代理魔法を用い服を石で囲む。服入りの石は、来た道の方に投げとこう。夏でも雨の日の布切れ一枚は寒いな
「……器用なもんですね」
「……そりゃどうも。で、いい加減貴女の事を教えてもらっても? 何者なんですか」
「……私? 私もここに捕まりかけたんですよ。偶然にも奴隷化される前に逃げる事が出来ましたがね」
「……奴隷化?」
「……ええ、奴隷化の首輪って魔具です。ああ、解らなそうな顔してますね
魔法の力を宿した道具。魔道具とか、魔具とか呼ばれてます。奴隷化の魔具は、人間の作り出した物なんですが、なぜかここ最近我が国で見られる様になりましてね。魔獣が仕入れてるなんて思いませんが、気になりましょう?」
この糞女。何が捕まりかけた。だ! どう見たってその魔法道具とやらの事を調べに来てるじゃないか。やりづらいな。嘘をつく魔族って
「……さあさあ、行きましょう美少年のキリル君。子供を救いましょう」
終始コイツペースな気がする
明日からテスト二日間。こういう回はもっと考えたかったんですが、時間と今日使うメモリに限界があり、こんなゴミみたいな話が出来上がった事を謝罪します
ホンマゴメンな
〈生粋の都会人のエセ言葉程ムカつく物はない〉




