Q:村人にあんな言い方してよかったんですか? A:真面目なヤツ程、正直な思いを言ってやると聞く耳を持つってもんだよ
先ほどよりも大きくなった雨粒に打たれつつ、俺は全魔眼が翻訳した話を聞いていた。少しばかり衝撃的な物があったのだが、コレは魔族達に話さなければいけない
虚ろな目をして反応の鈍くなったワーウルフから剣を引き抜き、剣を消滅させる。消しても魔力の回収は出来ないが、アダフさんの剣なら幾らでも代理魔法で作り出せるので問題ない
ワーウルフを連れて四人の所に戻ろうとした時だ。先に向こうから来てくれた。オンノさんはウエヒさんに担がれているが、皆に怪我は見当たらない。うん。ゴブリン程度なら問題なさそうだね
俺の隣に倒れてるワーウルフを見て三人が俺を賞賛し始める
「すごいなキリル君。ワーウルフと言えば、中堅と言われる冒険者が二人掛かりで倒す魔物なのに」
「全くだ。魔物の足を切断するだけの力がこんな小さな身体のどこにあるのか」
ウエヒさんが俺の頭を叩きながらそんなことを言っている。これは褒めてない
「身長が小さいのは子供だからですよ! 悪かったですね!」
「いや、ウエヒの言い方は、ああだけど褒めてるんだよ?」
絶対嘘だ! 侮辱されてる様にしか感じんぞ! こちとら三十代だぞ!
〈精神年齢はそれよりもっと若いと思いますよ〉
「それにしても、このワーウルフなんで明後日の方向見てるんだ?」
「確かに、なんか目に光が宿ってないっていうか。もう、廃人みたい」
……。いや、別にね。全魔眼の催眠眼を全力で使って、脳がおかしくなるまで操ったんじゃないよ? ちょっと、ほんのちょっと無理矢理頭の中を弄くっただけ
〈それを口に出して言わないと意味ありませんよ。言えない事だらけですけど〉
思ったよりも頑固だったからな。催眠眼の出力あげる為に、通常よりも多くの魔力使って吐かせたんだけど。それがよくなかったんだろうな。全魔眼よ。コイツ可哀想だな
自分でやっといてなんだけど……
〈両の足を切られ腕には風穴。催眠眼で精神にも異常を来しています。正直、やりすぎ感は否めません〉
後で楽にしてやろう。まだ扱き使わせてもらうけど
咳払いを一つして、皆に注目してもらう。オンノさんは意識が無いので、そのまま放置だ
「そんな事よりも、皆さんに言っておかなければ行けない事があります
今回、俺たちは村の子供の遺品を回収に向かいここまで来ました」
「それがどうかしたのか?」
「はい。その目的はどうやら達成できそうにありません」
「なに!? どういう事だ」
「ええ、単刀直入に言いますと、子供達は全員生きています。場所も解りました」
三人が三人とも素っ頓狂な声を合わせる。驚くのも当然だろう。一番最初に聞いた俺も驚いたんだからさ。訳は解らないが、この付近で子供を中心に魔獣が誘拐を繰り返してるんだと。そんな中、村の行事である初狩りで多くの子供達を連れ去った
たとえ護衛が居ようとも、魔獣に取ってはそんなのたいした障害じゃないと感じて決行したって所か。部下を失う可能性よりも、子供を連れ去る方が優先順位として高いのは、結局は獣ってことか? それとも、何か目的が? う〜ん。考えてても解らないし、この事はいいか
「ちょっと待ってくれ! この魔物から聞き出したのか?」
「え、はい。そっちの事ですか」
予想とはちょっと違う質問を投げかけられたな。もしかして、なんかマズかったか?
「言語理解のスキルを持っていても、コイツが嘘を言っている可能性もあるだろう?」
あ、そっちか。確かにそうだな。ふむ、言語理解スキルって以外と有名なのか
言語理解はバレていいにしても、催眠眼がバレるのはよくないよな。既に千里眼がアビゲイルさんにバレてるんだから。なんて答えようかな
「なんて事はありません。ちょっと身体に聞いてみたんです」
すごむというのはよく解らないので、とびっきりの笑顔でそう言っておこう。三人が若干引き気味、というかドン引きしているがどうしたのだろう?
それ以上聞いてくる事も無かったし問題は無かろう
〈いい面でした〉
全魔眼もご満悦だし。選択肢としてはバッチリだ
さて、ここから俺たちは子供達が生きている。という前提で動かなくてはならない。回収ではなく。救出になるのだ
救出となれば、最大の問題は魔獣の存在だ
回収なら倒さなくても、遺品をこそこそ拾って逃げればいい話
しかし、助けてたら、絶対邪魔してくる。村のトップ達があの無惨な敗北を喫したのに、そこそこの強さで太刀打ちできる訳が無い
帰りの食料問題とかもあるし、向こうさんの数とかも考えねばなるまい。一対一なら負ける気はしないんだが、魔物とかもいるだろうしな
考えるより先に身体を動かすか。子供の捕食が目的じゃないのなら、逃げられても殺す事はあるまい。俺も食われるんじゃなく掴まるだけだろ。掴まりたくはないが
「場所が分かっているのならすぐにでも向かおう。生かしておいてるならなおさらだ」
「その考えには全面的に賛成ですが、戦力がまるでーー」
生かしておいてる? 二週間以上も? 無駄が多すぎやしないか。魔物が子守りに興味を持ったとかでもあるまい
「キリル君? どうかしたかい」
「あ、いえ。……行きましょう。ここから歩いて二時間の所に子供達はいるそうです」
駄目だ。気になる。今すぐにでも、その監禁場所まで行こう
さあ、ワーウルフよ。生涯最期の仕事だ。頑張ってその場所まで這っていくんだぞ
ゆっくりと匍匐前進を始めたワーウルフについていく。三人は特に何も言わない。多分、この魔物が俺に従順な態度を取っていると思ったんだろう。間違いじゃない。今のこの魔物には考える力も無いのだから
いや、ホントゴメン
うっそうとした道を一時間と半分程歩くと、周りとは少し違う、多くのを感じる事が出来た。もう案内は無くていい。丁度いいし、魔族達にも働いてもらおう
まずは、ワーウルフ。ホントありがとう。君の事は忘れない。色々酷い事をしてしまったが、今楽にしてあげよう。仰向けにして、透視眼で腹部の魔核を確認する。アダフさんの剣で魔核の周りを円を書く様にして切る
その後、魔核だけを綺麗に取り除く。これ、綺麗に加工してアクセサリーにするから。君のおかげで催眠眼の恐さに気がつけたから、忘れない様に!
〈なんか私がいけないみたいな感じになるんでやめてくれませんか?〉
誰もそんなことを言ってはいない。マジで危険な代物だって事がわかった感謝の気持ちだ
ワーウルフは動かなくなった。ありがとうワーさん。さよならワーさん
〈ワーさんって……〉
「さて皆さん。もう、この魔物がいなくても居場所が解ったので。働いてもらおうと思います」
「おう。腕にもそれなりの自信があるからな!」
「出来る事があればなんでも言ってよ!」
「じゃあ、めっちゃ水集めてください」
またも三人から素っ頓狂な声が上がる。その声に起こされたかの様にオンノさんが顔を上げる。よかった。目を覚まさないのではないかと思ってた所だ
ウエヒさんがオンノさんをゆっくりと肩から降ろす。木に背中を預けさせ、休ませておく
「なんで水を?」
「子供が生きていると解ったんですから、帰りの事も考えなくてはいけません
そうなると、食料問題。食べ物に関しては、狩れば良いんで。やっぱり水ですよね。飲み物がなくては死んでしまいます。今日は都合もよく雨です。ガンガン集めてください」
親指を曇天に力強く掲げる。納得した様にヂジェさんを除く三人が頷く。頷かなかったヂジェさんは一歩前に出た
「言ってる事は解るが、キリル君一人で子供達を助けにいくという事だろ?」
「ええ、そうなりますね」
「君の強さはよく解ったが、村の最も強いとされる男達が倒されたんだ。やはり俺らも言った方がいいと思うのだが?」
真面目、愚直、正義感、勇敢。そんな言葉がよく似合うお方だことで。カッコいいし、嫌いじゃない。彼はモテるだろうね。そこが嫌いという人もいそうだが
「確かにそうかもしれません」
「だったらーー」
「弱すぎて足手まといなんです。もし、村の魔族を襲った魔獣が出てきたら、貴方達を守りつつ戦うことは無理です
多少時間は掛かりますが、大人しく水でも集めててください」
笑顔で簡潔に説明すると、ヂジェさんは苦虫を噛み潰してた様な顔をした。彼は自身の強さを知っている。ハッキリ言って、ヂジェさんなら知覚強化も使わなくても勝てる。まあ、魔法はバンバン使わせてもらうけどさ
解ってもらったところで
オンノさんはそのまま寝ててもらい
シエフォさんはオンノさんのお守りをしてもらう
ヂジェさんとウエヒさんがとにかく水を集める作業
「じゃあ、俺はいきますね。馬車もここらに近づけといてください。子供は二十人とは限りませんから」
「え?」「なんで?」
シエフォさんとオンノさんのいい反応をいただいき、俺は手を振りながら草木を掻き分けて歩く。三十分程歩くと、トンネル型の入り口を見つけた。大きな洞窟の入り口だ。特に見張りというものはない
千里眼を用い周囲を見てみてもいない。洞窟内に意識を向ける。気持ち悪くなるのであんまり使いたくないのだが、言ってもいられないのでエルフ特有の、命の気配を感じる力を使わせてもらおう
多くの気配を感じる。この力はとても便利だ。辺りの命を手当り次第に感じ取ってしまうのが玉にきずだけどね
命は人それぞれだが、種族に寄って気配が似通ってくる。そのおかげで魔族の子供達の位置がわかった。この洞窟内には、固まった命の気配が四つある。その内、三つは後ろの方で水をかき集めている魔族ととてもよくにた物だ
ただ、魔物と魔獣のさがよく解らない
いや、魔獣は他の命よりも危機を感じる事が出来るから、一人でいるヤツかな? ワーウルフは変身する事で危険度が大きく変わるから危機感知で判断がしづらいな。巡回もしてるヤツもいるし。まあ、偵察はこのくらいにしておこう。気持ち悪くなって来たし、虫の命の気配がもぞもぞと……
俺は洞窟内に足を踏み入れた
ああ、今回は四千に近い文字数になった。PC打ちに慣れてきたし、なによりも前半部分の書き溜めがあるって素晴らしい。面白いかは別として
それにしても私の書く、戦闘描写の出来損ないようですよ
もっと、語彙力が欲しい。もっと、妄想を文章化する力が欲しい。もっと、時間が欲しい
ゼルダやりたい




