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Q:ワーウルフって思ったよりも可愛くないですよね? A:どんなのを考えてたのか知らないが、可愛い魔物想像できないぞ


 横薙ぎに降り頻る雨、ぎょうぎょうしい雷、ぬかるむ道は凸凹になり馬車全体が大きく揺れる。悪路に悪条件が重なった道を大型の馬車で進む

 アビゲイルさんと別れ、一日を村で過ごしてからもう三日が経った。目的地についていないのは二日も前から降るこの雨の所為だ。今夏だよね? 梅雨じゃないよね?


 馬車の中には俺を含め、四人。村でも比較的強い男達を村長にセレクトしてもらった。村のトップクラスは駄目だ。既に魔獣との戦闘で敗北し、なおも子供達を連れて行かれたという責任感が邪魔だ。村長も来たがっていたのだが、俺が断った。子供を見たら考えずに突っ込んできそうだしね

 勿論この中に子供を連れて行かれた者は居ない。子供が居ても女の子だ。一人は御車ができ、料理を作れる草食系マッチョに来て貰った。豊かな食生活大事


 他の男達は今も鎗とか弓をもって馬車の外を警戒している。俺の危機感知もあるし、そんな事しなくても良いと言ったのだが、どうにも頭が固い。いい奴なんだよ?


「……うっぷ」

「キリル君。大丈夫か?」

「大丈夫です。吐く時は勝手に吐くんで」

「それ大丈夫って言わなくない?」


 腰に剣を携えた魔族が背中をさすってくれた。いや、今それされるとホントに吐くよ?

 魔族達の事を紹介しておこう

 剣を装備した。ヂジェ

 弓を装備した。シエフォ

 槍を装備した。ウエヒ

 御車する。オンノ


 皆、後頭部が肩甲骨まで伸びるタイプの魔族だ。この移動中に聞いた事なんだけど、どうにも戦闘に適したタイプが後頭部が長いのと角の生えたのなんだと。俺的にはマールさんよりもコレットさんの方が強い印象なんだよなあ

 まあ、適したってだけだから。コレットさんの様な人型でも十分お強いんだろう


「キリル君。見えてきましたよ。あの広場です」


 おお、やった。これで悪路の地獄から救われる

 目的地は小高い丘。草が生えており馬車での走行は不可能と判断して徒歩でいく。アビゲイルさんのお下がりの上に布のポンチョを着る。布で出来てるポンチョは役に立たんだろう

 丘なのか広場なのかよく解らないが、大分広い。大きな公園にある野球場くらいあるな。中央で足を止め辺りを見回す


「オンノ。この丘の広場で良いんだな?」

「はい。ここで護衛兼引率の大人十名が魔獣にやられ、子供二十人が連れ去られました」


 地面がこの二日の雨の所為で大分ぐちゃぐちゃしてる。ここで戦いましたよ〜って、痕は解るんだがな。自然の動物も居るだろうし、魔物だってこの上を通ってるに決まってる。手掛かりは無さそう


〈主。後方からそこそこの強さをもった何かが来ます〉


 全魔眼の忠告を受け、周囲の警戒を強める。確かに後方から少し強そうなのが来るな。それ以前に全方位からも何か来る。あ、いや。全方位の方は何か解った


「皆さん。警戒態勢。シエフォさんは後方に弓を構えてください」


 お〜お〜。来るぞ。危機感知はそんなに反応してないな。もしかしてそんな危険じゃない?

 弓を構えて殆ど動かないシエフォさんの隣で目を凝らす。こんな雨の中でも俺らの来た方がハッキリと見える。凸凹の道の横、伸びすぎの草むらが揺れた


 それを見た瞬間全く動かなかったシエフォさんの指が動き、矢が放たれる。正確なその矢は真っ直ぐ草むらへと突き刺さった

 素晴らしい腕だ。弓ってカッコいいよね。俺はあんな器用な事できないけど


「あれ? 気配が消えてない」

「もう一射する?」

「いえ、出てくる様ですし待ってください」


 音をたてながら百八十ありそうな毛むくじゃらの男が出てきた。褐色でない肌に、灰色の体毛。二足歩行ですがアレはまさか


「UMA!?」

〈ワーウルフでしょうが〉


 なんだ。対してオオカミ要素無いじゃないか。毛深い人で十分だろ


「アレが襲って来たヤツですかね?」

「いや、どうだろう。聞いてた話よりも一回り小さい様な気がするな。フェンリルの眷属たる青い体毛も無いし」


 なんだ。違うのか。しかし、手がかりには違いない。さくっとお話を聞いてみようじゃないか


「グルルル。グルル」


 わぁお、アイツ。ただの魔物じゃん。魔獣じゃないから話せないじゃん。……いっそ飼い馴らすか? ここで倒してしまうと話が聞けなくなるしな。うん。嫌だわ。あんなオッサンのペット欲しくない


〈『汗臭いニオイがすると思って来てみれば、子供の助けに来た魔族か』と言ってます〉


 ぜ、全魔眼。お前アイツの言ってる事が解るのか? あの、グルグル言ってるだけにしか聞こえないんですけど?


〈ええ、言語理解のスキルです〉


 お前この野郎! なんだそのスキルは、また新しいスキルか。俺には無いのかニュースキル!


〈そう言われましても……翻訳を続けます

 『ふむ、大人だけじゃないな。一匹子供も居る。ふふ、無駄足ではなかったか』〉


 子供だと? どこにそんな……あ、俺か

 俺を見てニヤリと笑ったワーウルフは雄叫びをあげた。オッサンだった身体もオオカミに近い者にかわっていく。四足歩行になり牙と涎も出てきた。うん、危機感知もさっきよりは強いと判断しているな

 あ、因みに最期の遠吠えみたいなのは、なんだか言わなくても解ったぞ。あの子供を捕らえろ! とかでしょ


〈その通りです。ちなみに数は五十です〉


 教えてくれて、どうもありがとう

 黄緑色の目に大きな鼻。濃い緑の肌を持ち、百五十センチ程の身長。服というものは腰に巻かれた布一枚

 周辺からゴブリンがどんどん頭を出す。全魔眼も言った通り五十体のゴブリンが俺らを囲む。魔物どもの手にはボロボロの鉈やら石斧がある。碌なもんもたせてもらってないな。なんだか可哀想だな


 うーん。初ゴブリン。とうとうこの目で見る事が出来たな。よかった。会えないんじゃないかと思ってた。嬉しがる俺とは対象的に魔族達は焦りの表情を見せる。ああ、結構な数だもんね


「皆さん。ゴブリン何体くらい倒せますか?」

「十四」「十」「十二」「四」


 ヂジェ、シエフォ、ウエヒ、オンノの順だ

 オンノさん、確かに戦闘要因じゃないにしても四は酷いだろう。もし、次があるならもう少し倒せる様になっておいてくれよ


 さて、あのワーウルフは四肢捥いで取っ捕まえよう。全魔眼に翻訳してもらえれば良いしね


「解りました。じゃあ、俺は残りの十体とワーウルフやります。皆さん頑張ってくださいね」

「な、なに? ワーウルフもお前がやるのか?」


 アダフさんのボロボロの剣を二振り作り出す。構えらしい構えは教わってないが、かっこ良く構えたいよね


「皆さんじゃ、荷が重そうなので」


 何を言っているんだこのガキは、みたいな顔をしている。俺はそんな事されても喜ばないってのに。まあ、確かに俺の実力知らないしね。流石にゴブリンには負けないよ

 指揮とかする予定無いけど、この場では俺の言う音を聞いてもらおう

 全魔眼。五十で良いぞ


〈了解しました〉


 スキル発動と同時に両手の剣を二つ投げる。知覚五十倍の世界から放たれる剣の投擲。反応できること無く二体のゴブリンが息を引き取った。引き取らせたの方が正しいか

 さあ、皆さん。お解りいただけたかな?


「言った数だけの討伐ちゃんとしてくださいね?」


 皆黙って頷く。よし、遠目に見えるワーウルフよ。少しお話ししようぜ





 あ、後書きの時点で日を越えてしまった。でも書くのはやめない! 俺はここだけが楽しみなんだ


 冗談です。さて、やはりこの前のテスト勉強で前半部分を書かなかった付けが来ましたね。中々、厳しい。想像を文字化するのって難しくてかなりの苦戦を強いられてます


 この話は、昨日の一話分ってことで、今日はもう一話頑張ります。二十二時間後とかになると思いますけどね

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