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Q:頼めるか? A:やるからには


「アビゲイル様それはいけません! 貴女様はこれから会議がーー」

「どうでもいい。ボクの管轄でそんな事件があったのなら、ボクが解決すべき問題だ。それが手の届く範囲にあるならなおさらだ」


 カッコいいねえ。格好良すぎだぜ魔王・アビゲイル

 しかし、責任のある立場でそれはいただけないな。高ぶった感情で物事を決めていい立場でない。それをしてしまったら、領主として、上に立つ物として失格になってしまう。それを求める者も居るだろうけどね


〈では、主が行きますか〉


 冗談キツいね。俺とは関係のない事だろ。生憎俺はヒーローでもなければ、勇者って性分でもない。別に急いでる訳でもないが、面倒ごとはパスだ。他人の為に命の危険なんて無理

 もっとも、アビゲイルさんが行くのなら話は別だけどね。移動手段も無いし


「そういう訳にも行きません! マールさんもアビゲイル様に何か言ってください」

「オレは主様が言うならそれに従うだけだ。考える学も無いしな。オレが考えて動くと碌な事にならないし」

「な、なんかすいませんでした」


 マールさん。貴女は上の言う事を、はいはい聞くだけで思考停止しちゃってるよ。良いじゃないか少しの失敗くらい。勘違いで切りに掛かるだけだろ。この場にいないコレットさんの話も聞いてみたいね。結構ズバズバ言う方だし

 さて、治療が終了した俺は何をしてれば良いだろうか?


 あ、魔獣とやらが子供達を連れて行った理由でも考えてみよう

 ……しょ、食用としか思えない。おや?


「出立の準備をほっぽらかしてどこにいるかと思えば、こんな所に居ましたか。……鉄クサい」


 噂をすればナントやら、コレットさんが来た。室内の光景をみて、そんな感想を出せる辺り理性的だ。アビゲイルさんの事になると駄目になるけど

 確かに鉄クサいか。足切ったりしたし、それ以前に古い包帯が酷い臭いを出している。マールさんの様に襲われなかったのは、怪我を完全に治した魔族が一カ所に集まって話してるのもあったり。俺が剣をもってなかったりしてるからだろう


 真剣な表情のアビゲイルさんを見て、入って来た当初の呆れ顔をやめる。緊張した面持ちで今までの説明を受ける。ちなみに俺の回復魔法の事に関しても説明をしていた。それを聞いたコレットさんに変な目で見られたのは言うまでもないですね


 アビゲイルさんと村長から詳細を聞いたコレットさんは少しも考える事も無く。躊躇無く言い切った


「駄目です」

「なんでだ!」

「当前、十日以上も前に連れ去られた子供の生存率なんて考えなくても解ります

 それに、この村に行って帰ってくるまで六日。捜索に何日掛かるか解りません。魔王会議は二週間後。年に二度のこの会議だけは欠席を許されていません

 たとえ故郷の事だとしても、魔王という立場の主様が一時の感情で動いてはなりません!」


 よく言った! コレットさんは出来る女だ。アビゲイルさんはマシンガンの様に放たれたコレットさんの言葉に押し黙る

 上を適度に制御できる部下というのは優秀だ。面白みに欠けるが、一人は欲しい重要な人材だ


「アビゲイル様。そういう事です。貴女様の事ですから行くと譲らないでしょう。この件はもう……終わったのです」


 煮え切らない言い方だね。まあ、仕方の無い事かな。助けて欲しいのはやまやまだろうし


「あの、よろしいでしょうか」


 誰かと思えば最初に足を再建させた魔族が申し訳無さそうに手を挙げて発言をした。その後ろには治療した全員が立ってる。おい、二人程完治させてないから、そんなにひょいひょい立つなよ


「なにか?」


 答えたのはコレットさんだ。ホントにこの人は刺々しいな。アビゲイルさんは俯いたまま顔を上げない

 元怪我人の魔族達は全員が一斉に膝をつき、頭を下げる


「助かる見込みもないは解っています。ですがお願いです。村長を始め、子や孫を連れて行かれた者達の、親達の事も考えたあげてください。どんな形でも構わないのです。この村に帰らせてあげてください」


 村長の子か孫も? そう思った俺を始め、アビゲイルさんにマールさんコレットさんの視線がこの村の長に向けられた

 コレットさんに関してはさっきの発言に関して思う所もあるのだろう。少しだけ影が掛かった表情だ


 置いてかれた親の気持ち……か

 前世にしても、今世にしても俺は親に悲しい気持ちにさせてしまったな。今世は生きてるけど


「主様。オレは、考えるのは得意じゃない。だけど、助けにいきたい」

「ああ、ボクも同じ気持ちだよ」

「……許しません。立場をお考えてください!」


「じゃあ、変わりに俺が行きますよ」


 この家に居る全員の視線が集まる。軽く言い過ぎたかな?


〈ヒーローの器ではないのでは?〉


 ばーか。ヒーローじゃないだろこんなん。二度も死んだと思われてる俺が出来る。遺族への最低限の配慮だ


「少年が行くのか? ボク達と故郷の事を調べにいくんじゃ?」

「別にそんなに急いでませんし、俺もあとから追いかけるので、先に調べといてください。帰りにすれ違いもしましょう」

「魔王に頼む態度じゃないな」


「頼みではありません。俺がここで働く報酬です」

「ふっ、少年程の常識はずれに頼めるならボクも文句は無い

 では、依頼が終わったら南西に迎え。歩けば一ヶ月程で第六魔王の街につく」


 行く方向は殆ど逆か。面倒だが、仕方ない


「俺は魔力切れなんで明日になったら捜索に行きます。領主様はどうぞ旅支度をしてください」

「ああ、そうさせて貰おう。レティ、マール。準備を!」

「承知しました」「おう!」


 元気になった所で三人は家を出て行く。あ〜あ、面倒だなあ

 今のスピードについていけなかった村長達はフラフラと俺の肩とかを掴む。え、なに?


「キリル。お前の以上な回復魔法を見たからには戦闘に関する事は何も言う気は無いが、いいのか?」

「同士よ。任せておきたまえ」


 やるといったからにはやるさ。有言実行って大切


 それからしばらくして、準備を整えたアビゲイルさん達が村を離れるのをお見送りする時間になった。ああ、お尻に優しい椅子が、これからの旅はどうしたら良いんだ

 考えてみたら、一時の感情に身を任せたのは俺じゃないか? まあ、立場も無いし良いんだけどさ


「あれ? コレットさん。俺のバック知りません?」

「え、もしかしてまだ馬車の中ですか? だとしたら、荷物の奥底なので、取るの面倒なんですけど」

「そんなハッキリ言わなくても……じゃあ、今度返してくださいね」

「わかりました。取っておきましょう」


 今この魔族笑った? 俺に微笑みかけなかった? 気持ちワル。そんな愛想のいいコレットさん知らない

 全員が馬車に乗り込み、鞭の音が一回した。ゆっくりと動き出した馬車。屋根の上でマールさんが手を振っている。ガキか


 そんな事を考えていると馬車の戸が開きアビゲイルさんが顔を出す


「キリル! 報酬に、ボクをアビーの愛称で呼ぶ事を追加しよう。これならやる気も出るだろ?」


 ああ、出るね。めちゃくちゃ出るね。やったりましょう。今も、さりげない名前呼びに俺の心はドキドキしてる。筋肉って素晴らしい


〈最期の一言で全てが台無しですよ〉





 なんかこう、かっこ良く引き受ける形にもってくのって苦手


 まず真面目な話って苦手。ギャグも苦手。何が得意? 何も得意じゃないから駄文なんだろ!?


〈誰に八つ当たりしてるんですか?〉

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