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ガルダン  作者: 角筆夫
大統領演説
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大統領就任


 それから数日後のことである。心の痛みの少し癒えた私は、今、ガストの鶏肉の唐揚げを食べているが、これが揚げたてのジューシーで、もう人間としてのタガが外れてしまい、ダメになってしまいそうで、暗緑色のドロになり、床の排気口から溶けて消えてしまうほどに美味しいのだ。


 私の他にも、クランプとゴルダンがいる。二人ともまた撃退されたが、また生きていたのである。本当に運の良い仲間である。あの死闘から、一ヶ月経ったのであるが、椎名小豆太郎社長は、何も連絡してこなかったが、テレビを見て驚いた。


「椎名大統領、就任」


と大騒ぎになっているのである。私は時事問題に疎い人間であったので、そんな自分を反省しつつ、テヘペロの精神で、舌を出してから、クランプの持っていた新聞を読んだ。彼の演説が、人々の心を打ったのだという。その一部を紹介してみよう。


『みなさんは、ご存知でしょうか……時代は常に移り変わっております。戦争技術も10年前のものはもう流石に通用しません。科学の発達が、我が国の防衛力を高め、それこそが平和を築く抑止力となるのです。


 しかし、科学の領分というものは、やって良いことと、やってはいけないものがあります。やってはいけないものの最たる例というものが、人間の人生を根底から変えてしまう科学技術です。


 人間というものは、基本的には、儚く、脆く、弱いものです。とてもナイーブなものです。人々の生活環境に直接に影響を及ぼす、非人道的な科学技術は、悪魔の道具と言い換えても良いでしょう。


 しかるに、政権与党、民地党の方々は、誰一人として反省することもなく、サイキックガルダンという悪魔の兵器を開発してロールアウトしました。これが、実際に出てきた、資料です。


 これは、人間の尊厳を揺るがす、悪魔の所業です。サイキックガルダンは、人間が扱ってはいけない技術なのであります。その機体のパイロットは、精神への負担により、亡くなってしまったのです。未来の有望な若い女性パイロットでした。


 私たちは、新しい時代を築かねばならない。これは、この時代を生きる私たちに与えられた責務です。それでも、一線を越えては、ならない領域があります。サイキックガルダンを運用している、地民党には、下野してもらわないといけません。


 何故なら、人々の思いを大切に受け止めるどころか、自らの都合の良いものに勝手に解釈して、利用してしまう。結果としてその行為は、政治に対する大切な人々の思いを踏みにじるものとなってしまっているのです』


 サイキックガルダンの暴露をしたおかげで、地民党は次の政権を取り損ね、椎名小豆太郎が率いる、獅子座流星党が政権を奪取することに成功したのだ。


 私はそのニュースを見ながら、鶏肉を食べ続けていたが、ふと前を見ると、ドアを開けて、背広姿の見覚えのある人物が現れたのであった。


「やあ、諸君」


と、椎名小豆太郎は、はにかんだ様な顔をして私の前の席に座った。

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