大統領への返礼
「我らがヒーローだ」
というとクランプと、ゴルダンはシャンパンの蓋を開けて、椎名の到来を祝ったのであった。
「君たちありがとう」
「大統領就任、おめでとう!社長!」
「俺たちが死ぬ気で働いた甲斐があったぜ」
とクランプとゴルダンは、椎名の肩を叩く。
「これも君たちのおかげなんだ」
私は離れたところで酒を飲んでいた。
「特に、静馬君のな」
椎名社長は私にお辞儀する。私は、立ち上がり彼のもとへと歩いて行く。そして、大きく振りかぶって、社長をぶん殴った。
「ドーン」
吹っ飛ばされる椎名小豆太郎。
「あんた、なんてことをするんだ」
とクランプはあたふたしている。ゴルダンも困惑している。
「はあはあはあ」
私は荒く息をしてから、椎名に言い放つ。
「悪いな。俺だって大人だ……。何が良くて何が悪いかということは心得ている。あんたが、秋葉のことを政争の道具にしたのも、仕方のないことだろう。だが……秋葉を殺したのはあんただろう。もちろん、それも仕方のないことだろうが、せめて、一発、殴らせて欲しかった。秋葉のためにな……」
「わかっているよ。静馬。俺は汚いことをした。しかし、世界を動かすためにはこういうこともしなきゃいけないんだ。それが政治というものだ」
「わかっているならいい。俺はもうこれ以上、何も言わん。
ところで、大統領さんが俺たちに何の用事なんだ」
「端的に言おう」
椎名小豆太郎は、席についてワインを飲み始めた。
「私は、四条大五郎に命を狙われている。噂によると、奴は、就任式の日に、戦闘ロボでクーデターを起こそうとしているらしいんだ」
「あのおっさんなら、やりかねないな」
私は一回しか会ったことがないのに、知っているような口をきいた。その方がカッコいいからである。
「君たちに守ってもらいたいんだ。勿論、他にも警護はいるが……。そこで守ってもらって、四条大五郎をやっつけてほしい」
「なるほど……。だが、あんたは、本当にこの国を良い方向に導いてくれるんだろうな。そこが不安なんだが」
椎名社長は真っ直ぐな瞳で私を見る。
「そこは信じてくれ。私は、J国の大統領になったら、何をするか、長い間、あたためていた案がある。それを実行すれば、多くの人々が幸せになるはずだ」
「なるほど。俺は政治のことはわからんし、あなたのことも100%信頼はできないが、やるぜ……どうせ、俺の人生、詰んでいる。だとしたら、やれるところまで、好きなことをやるまでさ」
「バンザーイ!」
他の二人も大喜びで、その日は、近所のスナック、『A子』で酒を酌み交わしたのであった。




