激闘の果てに
、
「そんな傘にやられてたまるか」
とオムロンが叫ぶと、ガルダンは突っ込んできた。ビームソードをアンブレラで受け流し、グズーは、防戦一方になる。
「もとのスペックが全然違うんだ」
ガルダンは、地球の企業テレプロン社のロボである。それに対して、グズーなどのザーゴ系は、月の裏側のアファラファ社の製品であった。もともとの作りが、ガルダンの方が優れていたが、ザーゴ系は、いくつにも派生する伸び代があった。このグズーというのは格闘戦専用に作られた機体なのである。しかし、それでもスペックの低さは、隠しようもなく、使いこなしたガルダン相手だと、不利になってしまうのだ。そこは、アファラファ社の研究が足りないということになるだろう。
「追い詰めたぞっ」
ガルダンはグズーが丘の下に来るまで、ソードを振り続けていたのだ。グズーが勝てるのは、瞬間的なスピードしかない。基本的なスラスターの出力でさえ負けているのだ。
ガルダンの大ぶりな一撃をかわすと、ビームアンブレラで突きまくるが、受け流してからガルダンは、ビームライフルを至近射撃してきた。
その一瞬、跳躍をしてかわすと、チャンスが巡ってくる。この隙を上手く使う以外に勝てる見込みはない。
「ビームマゲワッパ」
時間をおいて三発生成可能になったマゲワッパを二つ投げる。これが、うまく当たってくれた。電磁波による衝撃で、あの敏捷なガルダンの動きが止まる。
「うおおおおおおおっ」
グズーのアンブレラの先端が、コックピットのある腹部に刺さる。あともう少しで、オムロンを貫こうかという時に……。
再び辺りが一変する。また、花畑のようなところに投げ出される。
「お兄ちゃん!」
裸の秋葉が飛んでいる。
「どうして戦わなきゃいけないんだい?」
という質問を投げかけてきた。
「戦いに理由なんてない。強いていえば、俺もあいつもロボットに乗っているからだ」
と私は答える。
「それって、悲しいよ。オムロンは未来ある人間なんだ。助けてあげようよ。そうしたら、あなただって救われるから」
「………」
私は、アンブレラを引くと、棒立ちになっているガルダンをそのままにして、退却する。途中で、転がっている椎名社長のドルーの腕を掴んで、小ジャンプを繰り返す。
「どうしてトドメを刺さなかったんだ」
と社長が聞いてきた。私はこう答える。
「新しい刻の流れを止めたくないんだ」
「うん?」
「俺は、オムロンが切り開こうとしている未来に賭けてみたい……。それが秋葉への手向けになるだろう」
「しかし、奴は敵だぞ」
「椎名小豆太郎さん。我々は古い人間だ。だとしたら、新しい芽を摘んでしまってはいけない。刻の革新を……我々は止めることをしてはいけないのだ」
「君がそこまで言うほど、あいつの中に可能性を見つけたのなら、それでいいさ。目的は達した。帰ろう」
後ろを振り返ると、大きな基地を照らす夕陽の向こうで、秋葉が微笑んでいた。
「秋葉……。まだまだ俺はこの世でやらなきゃいけないことがあるんだ。ごめんよ。再会は、その時までお預けだ……」




