白い悪魔
「シュゴオオオオオオオオオ!」
林の向こうから土煙をあげて襲いかかってくるガルダンの白い機体は、異様な迫力に満ち溢れていた。
「殺したな。お前たちは、秋葉を殺したな」
オムロン少年の巨大な憎悪が痛いほど伝わってくる。
「しょうがなかったんだ」
と私は反射的に言い訳をしていた。
「静馬。君はカバーを頼む。奴は、私がやるっ」
というと、椎名の乗ったドルーは、白い悪魔に突っ込んでゆくのであった。
「小豆太郎さん……」
私にはわかってしまっている。オムロン少年を椎名社長が倒すことはできない。たとえ、操縦技術が数段上であってもである。
「ぬおおおっ」
激怒で真っ赤に光ったオムロン少年のガルダンは、ドルのビームライフルの光条をあっさりかわす。
「とったあああ!」
慌てて距離を離そうとホバー移動したドルーに、ガルダンはそれよりも倍のスピードで迫ったのだ。
「ダン!」
ガルダンは、ドルーの頭の上に乗る。
「わ、私を踏み台にする……だと」
それは椎名社長にとって侮辱以外の何者でもなかった。彼は、赤い獅子座流星という異名があるほどの名パイロットなのである。先の戦役では、宇宙戦艦を五つも大破させている。
だが、私はそんなことを思いやっている場合ではなかった。オムロン少年は冷徹な計算機のように、誰を先に倒せば良いのか知っていたのだ。
「シュバッ!」
咄嗟に横に飛んだから助かった。もし、少しでも判断が遅れたら、ガルダンのビームソードに突かれているところであった。
「このっ」
唯一残っている遠距離武器、ビームマゲワッパを射出するが、瞬時に高くジャンプして、ビームソードを振りかざす。
「おおおおおおおおおおお」
光りの刃がグズーの装甲に触れようとした時に
「ガシャン!」
ドルーの渾身のドロップキックがガルダンを揺るがしたのであった。
「私のことを忘れてもらっては困るっ」
「うるさい。おじさんは黙っていろ」
というと、ガルダンはドルーを膝で突いて吹っ飛ばした。
「死ねええ」
圧倒的な迫力で迫ってくる光の刃。
「秋葉さん……もうダメだ。僕も、今これから、そっちに行くよ」
すると、周囲の景色が一変した。あたりが急に花畑になる。私は、空中を漂っていた。裸の秋葉が現れる。
「どうしたんだい?ここは、天国かい」
「あんた、まだ死んでいないよ」
「あっ、これはあれか。死ぬ前に人生が走馬灯のように、頭の中で展開するやつか」
「ふふふ。あんたって、おセンチなのね。でもね。死ぬことはいつになってもできるわ。あたしはここで待っているから、静馬、あなたはまだ生きてゆきなさい。あたしの分まで!」
「わかったよっ。秋葉!」
私の機は反射的に光の刃をかわして、バックステップする。そして、ビームソードを構えたガルダンと対峙する。
「俺は生きるよ。お前の分もな」
そう呟くと、ビームアンブレラを構えた。




