反撃
「バギューン」
ビームソードを手にして振り下ろしたガルダンの攻撃を弾き返したのは、ザーゴの持っていたビームアクスであった。
「拾っておいてよかった」
反撃する暇もなくたちどころに倒された、二機の新型ザーゴの脇に落ちていた斧を拾って、手に持っていたのである。
しかし、オムロンもすぐに立ち直ると、もう一太刀浴びせかけてきた。
「ギュワン!ギュワン!」
必死に防戦する。こちらも当然のことながら命がかかっている。
大した装甲もない作業用ザーゴがあんな激烈な攻撃を受けたら羊羹のように一撃で、装甲ごと剪断破壊されるのは確実だった。
しかし、ゴルダンの奪った新型のザーゴでさえ、ガルダンとはパワーが段違いだったのであるから、この作業用ザーゴでは押されるしかなかった。相手の剣撃から伝わる強大な駆動トルクに、作業用のサーボモーターが悲鳴を上げている
作業用ザゴのジェネレーターでは、ビームアックスの定格出力を維持し続けることなど不可能だった。武器としては、明らかにオーバースペックなのだ。
「おじさんみたいな、犯罪者は、死んでしまえ!死んでしまえ!死んでしまえ!」
と叫ぶオムロンの声が頭に響いてくる。
「うぬぐっ!こいつは」
と私は絶体絶命の状態に立たされてしまったのである。だが、考えてみたら私の置かれた状態はいつも絶体絶命であった。こんな時は、何か知恵がありさえすれば……。
「これだっ」
思いついた私は敢えて緩い感じで斧を振り下ろす。それをみて
「ビシュン!」
とガルダンがビームソードで腕を両断する。肘の部分で千切れてしまって、落ちてゆく斧を握った片腕を、空中で、もう一つの手で掴むと、斧を手にした片腕ごと、横様に斬りつけたのだ。
斧は、深くめり込んだ。ガルダンの装甲は弾性変形の限界を超え、激しく塑性変形を起こして刃を受け止めていた。
「熱いよっ!」
パイロット席は腹部にある。恐らく、ヒートアックスの刃が装甲を削り、熱が内部の温度を上昇させているのであろう。敵機の装甲材の熱伝導率の高さが災いし、熱がダイレクトにコクピットへ伝わっているのだ。しかし、貫くまではいかなかった。
オムロン少年が怯んでいるうちに、私のザゴは小ジャンプを繰り返しながらトラックのもとまで追いついて、退却したのであった。




