少年オムロン
「誰だ」
ゴルダンは叫んだ。すると、回線に割り込んできた者がいる。全方向スクリーンの片隅に映った人影は……。
「しょ、少年?」
黒髪で赤き瞳の二十歳もいかないような少年が、新型のザゴに乗っていたのである。その新型は、カラーリングが違っていて、真っ白であった。頭に三角の棘がある。
「お前たちは、ガルダンを盗もうって言うんだな!俺は、オムロン!そうは問屋が卸さねえぜ」
というと、ゴルダンのザーゴも殴られて吹っ飛ばされた。
「小僧、やりやがるな」
ゴルダンはすぐにアジマススラスター(旋回式推進器)を噴射させて、ザーゴを起き上がらせると、ガルダンに向かってジャンプする。
「うおおおおおおお」
少年の操るガルダンは、瞬時に、エネルギーコンデンサの充填音を響かせると、強烈なパンチを繰り出してザーゴの頭の装甲を半分陥没させた。
「パワーが全然違う」
「そうだ。このガルダンは最強ロボなのだっ!」
というと、ザーゴのことを蹴り飛ばした。ザーゴがもう一回、立ち上がろうとした時、脇にあったビームライフルを一射する。
「ドゴオオオオン」
強烈な火花を起こしてから、ゴルダンの乗ったザーゴも爆砕した。
「社長、こいつはヤーバいですよ」
と私は叫んだ。
「ここは、私が引きつける。君は逃げろ」
「わかりました」
私は、作業用ザーゴを上手く操って巨大な運搬用トラックの元までゆく。背後で爆発音がする。
「しゃ、社長!!」
あとは、美人トラック運転手カトリーヌと、爆乳秘書エリーゼしかいなかった。
「ガルダンさん、死んじゃいやー」
と秘書のエリーゼは泣き叫んだ。
「ガルダンは新兵器のロボです。死んだのはゴルダンですよ」
と私がいうと、エリーゼは
「じゃあ、ゴルダンさん、死んじゃいやー」
と泣き叫んだ。
すると、草藪から黒焦げになった椎名小豆太郎がやってくる。
「私のことは嘆かないのかね」
と声をかけてくる。
「あ、もちろん、社長のことも心配していました。当たり前すぎて口にしなかったんです」
と秘書は言うと、ヨロヨロしている社長を助け起こした。
「俺たちも生きているぜ」
というと、草藪からゴルダンとクランプが現れる。
「ゴルダンさーん」
と爆乳秘書は抱きついてきた。社長は悔しそうに呟く。
「認めたくないものだな……、ゴルダンがこんなにモテていることを」
「そんなことよりも、逃げなきゃ。あの白い悪魔が追ってきますぜ!」
とクランプ。
「よし、静馬君。君が、ザーゴに乗って奴を引きつけるんだ。時間稼ぎをしてくれればいい。その間に、私は逃げるから」
「えええ?えええ???」
「君のロボット乗りの技量なら、奴を倒せる……何故なら君は、ニューマンだからだ」
「ニューマン」
「ああ。人類は、ニューマンによって革新される。君は十分にニューマンの素質があるよ」
「社長、その言葉、信じていいんですね」
「少なくとも私はそう思う。この、赤い獅子座群の……私がな……」
「わかりました。やってみます」
というと、整備不良のためか、コックピットのリニアレールが歪んで、シートが激しく揺れているザーゴをなんとか操縦して、またさっきの工場のところへと向かうのであった。




