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たぶん悪役令嬢なので死亡フラグ(?)を逆張り回避します!  作者: 幸嶋リタ


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たぶん、分岐点⑤

「ユイ様、もうやめましょう。カリナ様、レヴシオン殿、申し訳ありません。一度私の方でしっかり話を聞いて、内容を整理してから改めてお話を聞いていただいた方がよさそうです。」


 この状況では一番現実的でまともな思考の持ち主であるルイスが、解散を促し始めた。

 カリナがカリーナであれば、それで収まったかもしれない。


「いや、いいよ。聖女様、このまま話を続けてよ。もう茶々を入れないからさ。」


 ころっと手のひらを返したレヴシオンに、ルイスが驚いた顔をする。顔にはなんで?と書いてある。


「ねえ、この世界を攻略したってどういう意味?カリナのファンとか推しとか言ってるのと関係あるの?イレギュラーとか言ってたのも?カリナの死亡フラグについても詳しく話してくれる?」


 先ほどまで腕を組み足を組み、大きな態度で椅子に浅く腰掛けていたレヴシオンが、今はテーブルに組んだ両手を乗せ、地に足をつけ、前のめりで話を聞いている。

 カリナの膝の上でシャフィがニャアと嬉しそうに鳴いた。


「レヴシオン様!話を聞いてくださってありがとうございます!あまり信じてもらえないかもしれないですけど、この世界は私がプレイしていたゲームと同じ世界なんです。」

「ゲーム?……まあいいや。続けて。」

「はい。そのゲームとは違う部分がいくつかありますが、私の推しのカリーナ様、メイドのレティちゃん、攻略対象のルイス団長、同じく攻略対象のクロウ君。私の知っているメインキャラクターたちに会えて、この世界がプリ恋の世界で間違いないと確信しました。」

「プリ恋……。」


 タイトルが地味に気になってしまい、カリナがつい口を開く。慌てたようにユイが続ける。


「プリ恋っていうのはゲームのタイトルで……あ、えっとそれで、ここでまずイレギュラーがあるんです。私、何周もしましたけど、レヴシオン様のこと知らないんです。私がこっちに来た後に出た追加コンテンツかな?とも思いましたが、まだストーリーでいうとゲーム序盤なので不思議で……。」


 カリナとレヴシオン、そしてレティは顔を見合わせる。

 そのイレギュラーはおそらく、カリナがカリーナの中にいることが原因だ。

 カリナとカリーナの人生が酷似しているとは言え、別人な上にカリナはすごい力を手に入れての人生二度目。カリーナと同じ選択をするとは限らない。それこそ、何もないのに植物園で魔法の練習をしたり、自分の契約しているドラゴンを見に行くなんてことは、カリーナはしなかったのであろう。


「君の知らないこともあるってことね。それはそれでいいよ。知ってること、話してくれる?」

「はい、またレヴシオン様については私にも深掘りさせてくださいね!」


 キラキラした目でレヴシオンを見つめるユイに、レヴシオンは適当にあしらう。


「はいはい、それで?ゲームで何回も攻略したのは分かったけど、そのゲームだとカリナの死亡フラグってやつは何個あるわけ?」

「安心してください!プリ恋はあまり殺伐としたストーリーではないので、カリーナ様の死亡フラグは一つだけです!このフラグを折るために、私は聖女に、ちゃんとした聖女になりたいんです。」


 死亡フラグが一つ、という言葉を聞いて、転生後初めて大きく気が緩んだ。

 何周もしていたのであれば、本当にそうなのだろう。この子の言うことをしっかり聞いていれば、死なずに済むのかもしれない。


「貴重なお話をありがとう。……貴女、イレギュラーについてどうお考えなの?そのゲームとこの現実ではいくらか乖離があるようだけれど、貴女はどこまで許せるの?例えば、私が貴女の推しのカリーナと全く違う性格だったとして、それでも貴女はカリーナを助けたいと、それでもファンなのだと、言い切れるのかしら?」


 このまま話を聞けば、なんでも教えてくれるだろう。

 しかし、やはりどこか良心が痛む上に、嫌なタイミングでカリナのことがバレるのも恐ろしい。

 だから今ここで、カリナのカリーナのことも助けてくれるのか。本人の意思を確認したい。


「確かに、イレギュラーが多くて驚いています。けれど新シナリオとして楽しめているので全く問題ありません!例えばカリーナ様の性格が違ったとしても、根本の部分は違わないと思うんです。だって、貴女はピアスを外してまで大勢を救った。それに、貴女がどんな人なのかは、お膝にいるその子を見れば分かります。」


 シャフィに視線を下ろすと、気持ちよさそうにくつろいでいる。


「私、とても辛い時にカリーナ様に救われているんです。だから、恩返しがしたいんです。絶対に貴女を救いたいんです。」


 ユイはまっすぐな瞳でカリナを見つめる。

 カリナは、貴女を救ったのは私ではなくカリーナちゃんなんだけどね、と思いつつ、これ以上突き放すこともできないし、転生を打ち明けることもできないと覚悟を決める。


「よく分かったわ。少なくとも貴女は私の敵ではなさそうね。いいわ、貴女を信用して、一つ、共有したいことがあるわ。」

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