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たぶん悪役令嬢なので死亡フラグ(?)を逆張り回避します!  作者: 幸嶋リタ


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たぶん、分岐点②

 急にしおらしくなったレヴシオンに、カリナは首を傾ける。

 心配をかけてしまって、悪いのは完全に自分なのに、直前まで興奮していたレヴシオンが静かになるほどの話に見当がつかない。

 とりあえず人払いをして、ゆっくり話せる環境を整える。


「あの、さ、怒らないで落ち着いて聞いて欲しいんだけど。」

「いいよ。なんでも言って。もし怒りたくなるようなことだとしても、私だってすごい心配かけたしおあいこにさせて。」


 レヴシオンの手を握って微笑みかける。何かよく分からないけれど、反省している相手に追い打ちをかけるようなことはしたくない。


「実はさ、カリナと別れた後本当にいろいろあって……今客間に聖女が来てる。あと青髪の団長さんも。それで、聖女は今日泊まってカリナとたくさん話したいとか言ってる。夜ご飯は二人分追加で用意してもらってる。」


「……ん?」


 なんて言った?誰がなんて?

 話についていけない。


 瞬きを何度かした後、目を閉じて額に手を当て、考える。


 まず、聖女とルイス団長が来ていて?夜ご飯を食べていく。

 ……それで?聖女が泊まるって?話したこともないのに?我が家に?なんで?

 レヴィ狙い?……と思ったけど私と話したいって?なんで?恋敵に直接対決挑む系の人?

 え、レヴィは私のだからダメだし、というかできれば聖女には関わらずにいたかったんだけど?


「え?」


 レヴィの言っている意味は分かるけれど、理解が追いつかない。

 もう夜ご飯は諦めてこのまま寝るから、明日の朝にもう一回聞かせてくれるかな?


 混乱するカリナを目にして、レヴシオンはやっぱりそうだよね、と呟く。


「カリナさ、聖女のこと避けてるんだよね。やっぱり良くないよね。この状況。僕も流されちゃったんだけど、もう今日は帰らせるよ。」


 まともな返事をしていないカリナに、小さくごめんねと言って、レヴシオンが部屋を出ようとすると、隣でずっと静かにしていたシャフィが口を開いた。


「ねえカリナ、口を挟んでもいいかしら?」


 見ると、そこには灰色ではなく真っ白で上品な猫がいた。

 お風呂に入ったことで随分と付着していた汚れが落とされたらしい。

 疑問形であったのは形ばかりで、カリナの返事を待たずに、毛繕いをしながらシャフィは続ける。


「私、その子に会いたいわ。私から見れば貴女の方が聖女に見えるし、何か訳ありのようだけど。会ってみて、それで、もし貴女が無理って思ったなら、私の尻尾を3回掴んでくれたら具合が悪いふりをするわ。」


 何にも分かってないくせに!と思いながらも、実際話してみないことには相手のことを知れないままだ。

 それに、今日は黒髪の君はおらず、同席するのは顔見知りのルイス団長。

 聖女との初めての会話としては、厚遇にして、またとない機会なのかもしれない。


 少し困り顔をしていたレヴシオンは、急に話し始めてカリナを説得し始めた猫に驚きつつ、カリナの様子を伺っていた。


「うん……うん、そうだね。いいよ、会おう。本当は、本当の本当は、関わりを持ちたくないって気持ちがあるんだけど、でも話してみないと分からないこともあるもんね。」


 やらない後悔よりやる後悔。

 一つ前の人生でもそうやって物事を選ぶようにしていた。

 きっと悪いようにはならない。大丈夫。


 気持ちを整えるために小さく深呼吸するカリナに、レヴシオンは抱きついた。


「カリナ、怒ってない?嫌になってない?ごめんね。」

「レヴィのせいじゃないでしょ。大丈夫だよ。それに、きっと良い機会なんだと思う。死亡フラグを見極めに行こう。」

「あ……それなんだけど、というかそれも込みで、なかなか追い返せなくって……。」


 難しい顔をしながらレヴシオンが口籠る。


 え、なんかやばそう?

 私、はやまった?やっぱり会わない方がいいかも……?


 眉間に皺をよせて再び頭を抱え込むカリナを見て、シャフィがふふふっと笑い出す。


「カリナについてきて正解だったわ。貴方、人間じゃないわね。カリナの言う訳ありのうちの一つなのかしら。」

「……人間じゃないってよく分かったね。君はなんなの?喋る猫なんていないよね。」

「私は風を司る妖精よ。シャフィって呼んで頂戴。カリナに救ってもらって着いてきたのよ。失うはずだった命だもの……カリナほどの魔法使いなら要らないかもしれないけれど、この力ごと、カリナの人生に活用してほしいわ。」

「シャフィ、風の妖精だったの!?風の妖精と言えばシルフ……シルフィード……シャフィ……たしかに似た名前だわ。」

「シルフ?よく分からないけれど、上位妖精以外には名前なんてないわよ。」


 まさかシルフが通じないとは。

 ここが異世界だということを実感する。と同時に、少し違うだけで自分の知識は遠からずこの世界でも通用するように感じた。


「話したいことはたくさんあるんだけど……待ってるんだもんね。行こうか。とりあえずシャフィは普通の猫のフリしてね。」

「ニャア。」

「カリナ、無理しないでね。君がなんで彼女を避けるか分からないけど、あのユイって子、あまり敵対心はないみたいだったよ。カリナのファンだとか推し?だとか言ってて変な感じだけど。」


 聞き覚えのある言葉に目を見開く。


「ファン?推し???」

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