8話 その聖女、友達になる
「ルイ様! 勝手にお一人で動かないでくださいとあれほど言ったでしょう!!」
「あーー。お説教は受け付けておりませんー!!」
「ルイ様!! そこにお直りください!!」
部屋に着くと使節団の人がルイ様に説教を始めた。
また別の使節団の方が陛下に挨拶をしている。
使節団はルイ様の他に5人いた。
「陛下お久しぶりにございます。まずはルイ様の非礼をお詫び申し上げます」
「よい、気にするな」
別の方と陛下がやり取りする間、私はルスランにキャンドルド聖神国について聞くことにした。
「グレノス公国にとってキャンドルド聖神国は一番の友好国でございます。というのもこの国がイレーネ様をお迎えするまで持ちこたえることができたのは『朝の聖女』様の『浄化』のお力があったからこそでございます」
「そうなのね」
聞けばルイ様はその能力から世界中の国を行き来したことがあるそうで、グレノス公国が興るより前から陛下とルイ様は仲がよかったとか。
チクリと胸が痛んだ。
(……? 何かしら?)
よくわからない痛みに首をひねって見るが、よくわからなかった。
「いやー。ガイの説教は効くわ~」
そこにルイ様がやってくる。
その声にハッとなった。
「やーーっと終わったわ。長かった」
そう言って紅茶を飲むその表情はげっそりとしていた。
「それで、本題だけど……」
ふいに凛とした表情に変わる。
私は改めて姿勢を正した。
「今回の来訪目的はイレーネ様のお力の拝見と承認。そしてあたしとともに宣誓すること。それでいいのよね?」
「ああ、よろしく頼む」
「分かったわ。と言っても夜じゃないとお力を拝見できないものね。今日は泊まらせてもらうけど構わないわね?」
「ああ」
陛下とルイ様の間で書面が交わされる。
「ということでイレーネ様! 夜になったらお力の確認をしますので、本日はよろしくお願いいたします!」
「え? あ、は、はい!」
「とはいえこの国の状態を見ればまずお力は間違いないので、全く問題なくグレノス公国の聖女となるでしょう! もうほとんどグレノス公国の聖女なのですから、あんな奴らのことなんて忘れてしまいましょう!!」
ルイ様は興奮気味に体を乗り出している。
「え、ええと。あんな奴らとは……?」
「もちろんセイア王国の奴らのことですよ! もともと聖女の集まりでも昼の聖女の態度は悪かったですけど、まさかあんな非道な行いをしているとは! ですが安心してくださいね! 聖女への暴力は聖神国への冒涜。昼の聖女及びセイア王国は聖神国各国から罰を受けるでしょう」
矢継ぎ早に話すルイ様。
話が早くてついていけない。
「ということで、あたしたちお友達になりませんか?」
「え?」
何がということで、なのだろうか。
「え、ええと」
「ほら、人から受けた傷は違う人と関わることで薄らぐっていうし。だから、ね?」
可愛らしくきゅるんとつぶらな瞳でお願いされ、気が付けば頷いていた。
「わあ! ありがとう。あたしのことはルイって呼んで!」
「え、ええ」
「あなたのことはイレーネと呼んでいいかしら?」
「はい!」
何がなんだか分からないことが多いが、人生初の友達ができてしまった。
そう実感すると顔に熱が集まってくる。
興奮しているのだろう。
(友達……友達です!!)
ぽぽぽっと頬が赤くなり緩んでいるのが分かる。
「……」
何故か陛下がジーっとこちらを見つめている。
ものすごく何かを言いたそうだ。
「何よ陛下。そんなにあたしたちを見つめて……ははーん?」
「なんだ」
ルイが悪戯な笑みを零した。
陛下はそれが癪にさわったようで片眉をピクリとあげた。
「もしかしなくても羨ましいんだ? へええ?」
「お前は相変わらず顔がうるさいな」
「酷くない!? 陛下昔からそう言うところ変わんないよね!!」
「え? 昔の陛下?」
私は二人の会話が気になって割り込んでしまった。
二人はそんなに長い付き合いなのだろうか?
再び胸がチクリと痛んだ気がした。
「やだっ。もしかしてまだ言ってないの?」
「……」
ルイが呆れて陛下を見る。
陛下はそっぽを向いてしまった。
「はあ、仕方ないわね。あのねイレーネ。あたしと陛下は……」
――コンコン
「お話し中失礼いたします。陛下、魔素溜まりが発見されたそうです」
「なに?」
魔素溜まりという単語が聞こえた。
(まさか、この国の近くで?)
「分かった。すぐに確認に向かおう」
「へ、陛下! 私もついていってもよいでしょうか?」
腰を上げ扉に向かった陛下の背に話しかける。
驚いたように振り返る陛下。
「だが危険が……」
「まあいいんじゃない? あたしもいることだし、せっかくならあたしの力も見ておいてもらいたいし」
「それは、まあそうなのだが」
渋る陛下に対してルイが口を開く。
やはり二人の間には何かがある。
私は確信を持った。
きっと私の入り込む隙などないほどの信頼関係のようなものがある。
ズキズキと痛む心臓に気が付かないふりをした。
「……分かった。同行を認めよう。だがオレから離れてくれるなよ」
ここまでお読みいただきありがとうございました!
「面白そう・面白かった」
「今後が気になる」
「キャラが好き」
などと思っていただけた方はぜひとも下の評価機能(☆☆☆☆☆が並んでいるところ)から評価をお願いいたします!
おもしろいと思っていただけたら星5つ、つまらないと思ったら星1つ、本当に感じたままに入れてくださるとうれしいです。
また、ブックマークもいただけると本当に嬉しいです。
皆様から頂いた時間や手間が作者にはとても励みになりますので是非とも!宜しくお願い致します!!




