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 元軍港だった逆巻港の今  作者: RED DOG
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第七十話 追うもの隠れるもの

 山城歴157年 進入禁止宙域 戦闘艦隊


 本人達の認識はともかくとして、亡国の艦隊と成り果てたこの戦闘艦の群れは、目的を要塞逆巻の破壊として定めたまま行動を開始する。


 それらを操作するAI達は数十年の時を経て発見した獲物を貪欲に追い続ける。


 「その血肉を糧として逆巻を破壊する。」


 彼らはその一点に今動かせる戦力を集中、賭けに出ていたのだった。


 停戦信号など届かない穴蔵で過ごした長い年月、何度も計算し、何度も考えを巡らせ、何度も通信を送った。


 そんな日々を思い出さないようにするかのよう、むしゃらに、ただ目標へ。


 そんな彼らは周りの同胞が潮流に飲まれようとも気にせず艦隊を広げて広範囲を探索しているのだった。


「CLTー80-22、エンジン出力低下、追従できません……ご武運を……。」


「離脱を認める。」


「CVLー81ー11、潮流により脱出不可能……行動限界範囲に至ったところで帰還が不可能となった場合、自沈する許可を願います……。」


「許可する。」


 一時期とはいえ総司令官の座乗艦を務めたBB-85に載るモデルAI「ガルブ」は次々に脱落していく同胞に対して簡潔な言葉で見送っていく。


 人間から見れば、お互いに意味がわかっているのか?


 と問いたくなるこのやり取りが10回を数えたところで、この艦隊は20隻にまで減ることになった。


 この軍事に特化したモデルAIによる異常にも見える冷徹さはどこから来るのか、彼らは戦力の維持以上に相手を見据え、足を引っ張るものを切り捨て、相手を逃さぬよう、その索敵範囲を広げていく。


――――


 警備艦隊 駆逐艦 ブリッジ


 予定時刻をもって救出作戦を決行した警備艦隊はそれぞれ行動に移る。


 計画を少しばかり変更したが、概要はほとんど変わらず、先んじて飛ばしたそれぞれの運搬用ドローンによって信号弾と救難信号の発信器は既に、それぞれABのポイントに運ばれている。


 救助する側の船は使えないものの、蒼鷹からの情報により敵に見つかっておらず移乗出来れば問題がないという結論も出ている。


 満を持して隊長の護は作戦の開始を発令した。


「作戦を開始する。」


 すぐに返信と分かれ挨拶のため工作艦のブリッジの操縦席に座る二人が駆逐艦ブリッジのスクリーンに映し出される。


「工作艦AR-70-4、艦長より返信。隊長からの作戦開始指示を確認、行動を開始します。」


「了解した、無事を祈る。」


「ありがと、あんたたちには健闘でいいのかしら……? 護……その、帰ったら色々言いたいことあるから無事でいなさいよね。」


(俺、また何か詰問されるようなことしたかな)


「護ちゃん……。」


「ミナ、しっかりな。」


「うん……。」


「バル、みんなを頼む。」


「お任せください御影隊長。伊達に長生きはしておりませんし、潮流の中で暮らしていた訳でもありません、さあ皆さんも。」


 バルが気を利かせて音声のみではあるが各隊員へと通信を繋ぐ。


「護!? 私には何も言ってくれないの!?」


「私にも……。」


「お兄さん、頑張ってね。高野くん、松浦くんもね。」


「おー秋山さんも姉さんに怒られないように頑張れよな。」


「えっ、私もですか? せっ、整備については順調です、隊長。進藤先輩にもよろしく伝えてください。」


「怪我だけはするなよ。それと医師として井上に安定剤を許可する。先程、声をかけさせて貰ったがあれではパニックを起こしかねない……。」


「松浦だ、これより無線を封鎖する。こちらからは……そうだな、無事に逆巻港へ帰還出来ることを祈っている。」


「お互いにね。」


「了解、みんな気をつけて、救助者を頼みます。」


 通信が切れると護はやはり心配であり暗い顔になる。


 作戦を決めてそのための説得にも回ったが、不安定な場所において行われる作戦に、内心とにかく不安だったようだ。


「司令官たるあなたがそんな顔をしてどうします。上の者の顔で隊の士気が変わります、自覚して表情を作るくらいのことはしなさい。」


「はい……。」


――――


 信号弾が仕掛けてあるAポイント、そこへ向かうドローンが待機しているBポイント。


 それぞれが作戦開始の信号を受け始動する。


 単純明快な仕掛けではあるが、潮流渦巻くこの広い宙域ではこれから発せられる信号弾や救難信号が無視できるほどヒントに恵まれるわけもなく、必ずその周辺に意識を向けるだろうとみられた。


 「今になって救難信号を出すのか、囮の可能性がある。本隊はこのまま、重巡航艦を二隻を向かわせろ。」


 ただ、思惑通りにことが進むだけなら戦争だってもっと簡単だっただろう。


 そのため、その後にも工夫を凝らし、少しでも注意を引くことを念頭に置いた追加案が採用されていた。


「合流が早く、このままでは、また見失います……。」


「巡航艦二隻を追加だ、先回りさせろ。」


 今でも高価なドローンだが追加の提案によりAに信号弾を設置した一台と、Bから移動するこの二台の回収を意図せず、そして放置もしないことになった。


 この追加案は、そのまま信号弾と救難信号を抱えてお互いがいる場所に移動、合流したところで救難信号を消し、高速の敵艦が来る前に痕跡を残さず潮流の流れに消えるというものだ。


 注意を引き、数を減らす、そしてあわよくば、痕跡を見つけられずそのまま反対方向を探索してくれればそれだけで時間が稼げるはずだ。


 重巡航艦が信号弾の上がった周辺を探索、巡航艦が移動可能と思われる場所を追ってみるがもちろん見つかるわけもない。


「……目標ロストしました。」


「四隻はそのまま捜索にあたれ。本隊はこのままだ。」


 完全には成功しなかったものの、危険な高速艦を引き離すことには成功した。


 あとは救助中の工作艦が見つからなければこのまま全力で逆巻港へ撤退するのみである。


 それで救助任務は成功となるが、司令塔である戦艦は常に艦隊の中心に身を置き、探索を行いながら最初の剣幕から考えれば不気味なほど静かに発見報告を待ち続ける。


――――


 工作艦 格納庫 救助者用区画


 本来、物資や工作機器を載せるための箱の底に救助者が寝泊まりするための場所が設けられている。


 最低限度ではあるが生命維持に必要な物資と設備は整えてあり、偶然とはいえ材料が揃っていたとしても、たった二日で組み上がったそれは、逆巻港のお抱え技術者や作業員にとって会心の出来だった。


 もちろん就寝用の器具は取り付けてあるが雑魚寝状態になるし、個室もない、だが調理用の機器までついており不便はなさそうだ、水もタンクに溜まっており常に循環している。


 ただ、大型コンテナを格納出来るように作られた本機の格納庫は大きく、ボールでもあれば無重力スポーツが出来そうな広さがある。


 彼らには運動室も使わせられない上に、運動機器は二台しか用意できなかったので、少なくともこの格納庫内であれば自由にしてもらう形にするため救助者区画以外の格納庫全てにも空気を充填する予定だ。


 そこでは現在、秋山、亜月、中村などの隊員が最終的なチェックを行っており、足りない物や不備がないかを調べ、開けられる格納庫からそれぞれで救助者区画への誘導を行うための確認をもう一度行っている。


 広瀬は中央の管制室からその様子を見守り、救助作業中も何かあればブリッジへ連絡することになっている。


 とにかく人手が少ないこの艦隊は救助者である彼らに対して手を掛けられない。


 そのため、最小限のことをして、後は勝手にやって貰うしかないのだった。


「少しは材料があるけど、基本はレーションなんて可哀想っすねー。」


「そちらの方が高価なんですけどね。」


「カナはまだ経験なかったよね? 食べてみない?」


「遠慮しておきます……秋山さんはつまみ食いした分をレーションで補っていただきたいのですが。」


「ごめんなさい、もうしないから許して。」


(そんなに不味いんですか?)


「まあまあ、これから忙しくなるから落ち着いて。」


「何を遊んでいるんだ? 今はいいがそろそろだぞ。」


「あーわかってるよ理香ちゃん、じゃなかった広瀬隊員。」


「航行中でも船が揺れないね。」


「私達がここにいるからゆっくり水平に移動してるらしいよ、それで到着するってことはかなり近いんじゃないかな?」


「もう見えてますから後五分といったところ、待ちきれないのかあちらの船の乗組員は外に出てきています。藁にもすがる思いで向かってくるでしょうから暴れたりする者も出るでしょう、気をつけてください。」


「バル、前に護が言ったとおり普通じゃない可能性もあるんだから、二人共、組み付かれたら手加減しないで本気でやっていいからね。」


「了解!」


「了解しました。」

途中で切れている部分があり、書き直してあります。

見直しが疎かになっていたようです。

申し訳ありません。


更に、かなりまずい言葉の間違いも発覚、今回は土下座ものでした

謹んでお詫び申し上げます。

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