表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 元軍港だった逆巻港の今  作者: RED DOG
12/96

第十一話 黄金の剣を持つ天馬

南山郡 南補給所 元旅客機船内


 逆巻市出発から九日目




 隊員たちがバッチリと身なりを整え食事に食らいつきお腹を満たしていると、配られた軽く包装された菓子に眼が移る。


「なんだこれ? 食い物か?」



「ああ、田中さんとの会見で行った店の店員さんからの頂きものだ、ありがたく頂戴するように。」 




「まず肉、まず肉だ、菓子はその後だ――――」




 肉が好きな松浦は、通常通り喋りながらも慌てなくても逃げないと言ってやりたくなるほど、切られた状態でパンに挟まれているステーキにガッついている。




(こいつは見目がいいからコレとアレがなければもっとモテそうなんだがなぁ……)




「そんな食べ方汚――――なんでそんな食べ方で食べかすが散らばらないのよ、気持ち悪いわね。」




 揃って食事などなかなかないことなのだが、戸賀のお姉さん以外は周りを気にせず黙々と食べる。


 明石は給仕に回り、ジュースを配り、浮いてしまった食べかすなどを専用の掃除機で吸う。



「――――これはカロリーが高そうだ……また運動しなければ、肥満体型など医療関係者、失格ではないか……」




「相葉ちゃん! 食べきれないなら食べてあげようか? 私はまだまだ入るっすよー。」


「俺の真似は止めるっす、中村さん。」


「じゃ、じゃあ半分食べて、中村さん。」


 食い盛りの二人がそれを聞いて眼を光らせるが護が自分の分を半分にし、さらに二つに割って、二人に渡す。




「大の大人がガッツくもんじゃないぞふたりとも、まあ食い足りないのはわかるがな!」


「栄養については考えてますが、相葉くんも無理はせずに食べてくれ、隊長はそれだけでいいのか?」



「ええ、店でごちそうになってきましたから。」




「――――あら可愛い包みね? 店員さんってもしかして女の子? やるじゃない護。」




「そうなんだよ、松浦みたいに強そうなカナっていう女性でね、少し行き違いがあって揉めたお詫びだって。律儀な人だよなぁ。」




「――――あっそ。」




(松浦みたいに強そう……?)


(どんな体格だろうか)


(うーん、年齢が上の方で無駄に老獪っていう感じ?)


(きっとムキムキだな)


(ナイフ持って決闘申し込んでくるの、その人?)


(同じ感じにギラギラしてたら怖いっすねその女性。)




「ふん、俺より強い奴などそうはいないはずだ、そいつは俺に勝てそうか護?」




「どうかな? 動きに無駄がなくて手強そうだったぞ、その時にまだ働いているかはわからないが、次回があれば連れて行ってやろう、ただし、暴れるなよ?」




「楽しみだ。」


「お前は、まず返事をしろといつも言ってるだろうが!」




「なんじゃこりゃ! 甘くて美味しいぞ護よ。」


「――――甘いっすね。」




「随分、濃厚なクリームね。これ高いんじゃない護?」


「ちょっと苦手だ……輝一くん食べるかい?」


「俺、甘党なんで喜んで貰いますよ。」


「なんで甘いものダメなのに太ってるの?」


「オフで食う、油ものとご飯がやめらんないから……。」


「――――あっそ……鍛え甲斐があるわね。」


「「――――うえ……。」」




「そう、これは糖分、頭を働かせるためにも必要で、日々、運動を怠らなければ体に付くようなモノでは……うう」


「いらないなら貰うっすよ理香ちゃん!」




 どうにもその偏った知識と考えが医者らしくないのではないかと思われるが、彼女、広瀬理香は悩む。 




 しかし、催促を躱すように後ろを向き、久々の甘い物を我慢できず、諦めてパクつくことを選択したようだった。




「美味しい――――」




「よし、みんな食べ終わってないかも知れないが注目してくれ、補給を済ませ、これから星彩と交信しつつ壊れている軍事衛星へ向かう。その前に船の名前を決めたいと思っているんだがどうだろうか?」




「まあ、護さん、やっとその気になってくれましたか私! 嬉しいです! そう! 名前は必要ですよね、ここはみなさんの家なんですから。」




「真希ハウス」「真希劇場」「ホテル真希」「居酒屋真希」


「はいはい、時間がないからふざけないよ?」




「普通は神話の怪物や鳥の名前なんかだよね、メデューサなんてどうかな? 乗ってるAIの性格がしっかり表れて――――」


「まあセンスがないですね輝一さん、この船には石化させるような装備なんてありませんよ。残念です。」




「ペガサスは?」


「山城歴が使われてる以前から、使われ過ぎてるね、元祖を巡って激しい争いもあったとか。」




「使われていてもいいんじゃないか? どうせ対外的には番号管理だし、仲間内で呼ぶだけなんだから。MAKI・02で良くない?」




「そんなには、悪くないが船内の者と被るようなのは誤解が生じるから却下だ。」




「クリュサオルならどうよ? 武装した船だし。」




「なになに、黄金の剣を持った馬か大男でペガサスの兄弟?」




「ああ、いいんじゃないか?(どれでも)」


「うん、いいとおもうっすよ?(なんでも)」




「強そうならよし!」「速そうならよし!」




「じゃあ。クリュだね。」




「えっ……可愛い、それでいきましょ護。」




(なんだかんだ言って相葉ちゃんに甘いんだよな姐御は)


(あっもしかして戸賀ちゃんも可愛いモノ好き?)


(呼びやすいからよしとしよう。漢字をいれたかったな)




 みんな、それぞれ考えてはいるが口うるさい戸賀相手に、賢明にも口には出さずにいた。




「じゃあ決定ということで「クリュ」受付を終了します。」




(えっ? 護も可愛いもの好き?)


(護も相葉ちゃんに甘いからなぁ)


(あれ? 強さは?)(あれ? 速さは?)


(即決!)




「ああ、いいんじゃないか?(どれでも)」


「うん、いいとおもうっすよ?(なんでも)」




 様々な考えを持ち、彼らは顔を見合わせ考えを交差させようとするが、会話もせずに相談がまとまるわけもないので、この件は流されクリュに決定した。




「では、次は任務の話だ、大事な話だから落ち着いて聴くように!」




 新しい難易度の高い仕事に胸踊らせる彼らは歓声をあげ、収集するのに一分を要した。




「話した通り、時間がないので落ち着くように! 輝一はこれの解析に入ってくれ、田中さんからの品だ、丁重にな!」




「了解すぐにかかるよ。」




「星彩にバトンを渡したら、すぐに作業宙域を出る。どのくらい時間が掛かるかわからないから、交代で休息を取ってくれ。真希さん、図面の画像を頼みます。」


 


 護は、真希に人工衛星の図面を出してもらい作業指示を行う。




「船外作業班として人数を多めに振る、さっさと直してさっさと離脱しよう、どうせ必要な資材がこちらにあるかもわからないし完璧じゃなくても信号さえ出せば今回は大丈夫だろう。」




「いいのかそれで?」




「時間を掛けすぎてあの宙域に長く留まるのも、時間切れで結局は笑い者になるのも嫌だからな、部品だってどこが壊れているのか判断がつかないようじゃ心もとない、望遠カメラの映像解析や観測の結果、人工衛星の近くに潮流があることが理解っている、レーダーで捉えられない小惑星にぶち当たるのもお断りだ。」




「潮流に合わせてレーダー機器の調整をしないとうまく動作しないからな、やっぱり安全にとはいかんか。」




「この松浦が操縦桿を握っている内は安心しろ。」




「こういう時は本当に頼もしいよお前さんは、じゃあそれまでは俺が操縦でいいんだな護?」




「ああ頼む、副操縦士は姉さんに頼もう、松浦、直接、乗り込むことになる。難しいポイントまでは寝ておけ。」




「その「姉」呼びは定着させるつもりなの……?」




「よし、話はまとまった予定の場所まで移動を開始する。」




 全員がそれぞれの持場に付き護も整備班との話を合いをするため整備班の二人を端末のある場所へ呼び出して去っていく。




「……もう。」




 一時的な休暇のような時間は過ぎ、経験のある者でも二の足を踏む場所へ、御影警備隊は足を踏み入れようとしている。




 しかし、任務の難しさを前にしても、そこには悲壮感はなく。


 


 旅行にでも出発するような気持ちで、隊員たちはいたのだった。

どう見てもセリフ過多だったので

一部セリフを削除してあります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ