第86話 現場調査と新たな仲間
「では、この馬車で向かいましょう」
斥候と現場へ向かおうとするけど
「ヒヒーーーン!!」
後ろから黒馬が追いかけてきた
「ど、どうしたんだ・・・?」
「あ、リーヴェル!!」
調教師の二人が駆けつけた
「地下牢にいたんじゃないのか!?」
「詳しい話は王子に聞いてください!」
「殿下に?」
「今は国王の私室にいます」
「わ、分かった。・・・そ、それよりも、こいつお前さんを見つけた途端急に走り出してよ。もしかして、お前さんを乗せたいんじゃないのか?」
「僕を?」
「乗って行け」
「え、いいんですか?」
「せっかくの機会だ。手懐けたお礼として乗って行け」
「ありがとうございます」
2人の厚意に感謝
「よし、行くぞ!」
「ヒヒーーーン!!」
黒馬の速さは凄かった
斥候が乗っている馬よりも早い
三国志に出てくる赤兎馬並じゃないかな
「リーヴェルさん、ここです!」
城から出て20分ほどして斥候の声で現場に到着
だけど、周りは何もないただの平原
「あの、本当にここで合っているんですか?」
「はい!ここに木の柵が横一列に並んでまして、引き返そうとしたら馬に乗った連中がやってきたんです」
地面を確認してみる
確かに、柵があった痕跡がある
この場所は一度通った記憶がある
でも、木の柵らしいものはどこにもなかった
つまり陛下一行が通り過ぎてから柵を設けた
しかし、横一列に並べるとなるとかなりの時間を要するはず
前もって柵を埋めていた?
としたら、無属性魔法の重力操作で埋めていた柵を掘り上げた可能性が高い
それらを踏まえると、彼らの魔力量はかなり高い
盗賊団にしては連携の取れたやり方だ
「シーナさんやシュルスターも応戦したんですか?」
「はい。・・・ですが、魔法を放っても彼らには効いていなかった。というよりかは、魔法が無効化されたと言った方が正確ですかね・・・」
魔法を無効化
そんなの聞いたことがない
「それで、皆さんは盗賊団に捕まってしまったのですが、私は何とかその場から逃げ切ることができ、今リーヴェルさんの助けを求めているわけです」
「なるほど、捕まった後盗賊団はどの方向へ去っていきましたか?」
「南の方向へと去っていったと思います」
南の方向・・・か
とんがった山が見える
あのあたりにいるのか
「斥候さん」
「何でしょう?」
「一度、アースラー王城に戻って騎士たちに協力を要請してくれませんか?」
「それくらいならお安い御用ですが、リーヴェルさんは?一人で乗り込む気ですか?」
「奴らのアジトが分かり次第ですが・・・」
「本気ですか!?相手は魔法を無効化できるほどの力を持っているんですよ!?」
「ええ。ですが、これは時間稼ぎでもあるんです」
その言葉の意味を察したのか
「分かりました・・・。ですが、気を付けてください」
斥候はすぐに城の方向へと急いで走っていった
残ったのは僕と黒馬
乗ろうとしたけど
馬は何故か暴れる
「ど、どうしたんだよ?」
問いかけても暴れ続ける
何がどうなっているんだ?
もしかして・・・
「君・・・、まさか神獣じゃないよな・・・?」
その問いに馬はぴたりと止まる
やはりか
このパターンは・・・
いつものように
魔法陣を平原に描く
魔力を注いで眩しい光が放たれる
収束してその場にいたのは
黒い馬ではなく白馬
頭の先には一本の角
ユニコーン・・・か
「私と本契約していただき感謝いたします、我が主よ。あなた様は、新たなる加護を授けられ、この私と契約できるようになったのです」
「加護・・・」
「雷神 フィレイオ様のご加護です」
雷神・・・か
この2か月でのトレーニングで
また魔力量が増えたから
ユニコーンを仲間にできた
ディーレスト王国に戻ったら
ギルドにも鑑定眼持ちのセフィルさんにも報告しないと
フィレイオの加護はどんなのだろう
「それって、どんな加護?」
「フィレイオ様の加護は、雷属性に対しての完全耐性と全属性の攻撃力を1.5倍に上げます」
属性に特化した加護か
変わってるな
「それで、あなた様は他の神獣に名前を付けていると聞き及んでおります。どうか、私にも名前を付けていただきたいと存じます」
「名前・・・」
どんな名前がいいのだろう?
前世で読んだユニコーンの子供が主人公の漫画のタイトルだと悪いし
うーん・・・
3分悩んだ末
ユニコーンに付ける名前は
「シルクでいいか?」
「シルク・・・、良き名前でです。では、私の事をシルクとお呼びください」
「よろしく、シルク」
新たな仲間が増えた
リーヴェルと別れて20分後
斥候はアースラーの城に戻っていた
騎士の人に声を掛ける
「すみません、騎士団長をお願いできますでしょうか?」
「ん?あんたは、ディーレスト王国の騎士か?」
「はい、今大変な事態になっております」
「団長を呼んでくるから、詳しい話はその時でいいか?」
「もちろんです」
数分して
「俺に何か用か?」
「はい、事態は一刻を争います。ですので・・・」
ドスッ
後ろから鈍い音
いや、自分が刺される音だ
「ど・・・、どう・・・して・・・」
「チッ、知られちまった以上は葬るしかないんだよな。悪いが、ここで死ね」
斥候は何人もの騎士たちに刺殺された
リーヴェルはアースラー王国に更なる混乱が起きることを知る由もなかった
どうも、茂美坂 時治です
リーヴェル、また仲間を増やしました




