第84話 あっけない結末
国王の私室に行くことに戸惑っていた王子だが
「分かった。君の考えを信じよう」
僕と一緒に行くことを決意された
部屋を出た瞬間
「おや、これはガティッシュ王子殿下ではありませんか?」
「ザイドルス・・・」
ブクブクに太った男
その横にはもう一人の男
「それに、ポールト」
二人は王子と顔見知り
というか、二人とも貴族だろうな
「殿下、隣にいる者は?」
「あ・・・」
「まさか殿下、陛下が投獄した例の冒険者じゃありますまいな?」
「そうだ」
「何故その者がここにいるのです!?」
「俺が彼に助けを求めたからだ」
「今更助けを求めようだなんて血迷ったのですか、殿下?陛下の容態は酷いと言っても過言ではありませんぞ。彼に何を求めるのです!?」
「これから、父上の私室に向かう」
「なっ!?いけませんぞ!」
「何故公爵のお前がいけないと言う必要があるんだ?」
「うっ・・・」
「お前にとって不利な事でもあるのか?」
「・・・」
「黙っているのなら、俺と彼で私室に向かう」
行こうと振り向いて向かうが
「させませんぞ、殿下・・・」
何かヤバそうな雰囲気
ここはひとまず
「殿下!」
僕は王子をおんぶして
身体強化をかけながら
廊下を走る
「なっ!?追え!!」
ザイドルス公爵の掛け声に応じる騎士たちが追いかけるも
既に豆粒程度の大きさまでの距離
「は、速すぎる・・・」
廊下を走っている僕を
「リーヴェル、そこの部屋だ!」
王子が指差した部屋に入り
鍵をかける
「ここが・・・」
「そうだ、父上の私室だ」
殺風景な部屋だ
ベッド以外何もない
これじゃ牢獄と変わらないじゃないか
しかし、私室ならベッドは1つのはずが2つあり
しかも誰かが寝ている
「殿下、この方は」
「・・・妹だ」
シーナさんが言ってた食に革命を起こしたという姫か
でも、何で国王の私室に?
そうこうしているうちに
ドアを打ち破ろうとしている音が響く
「殿下、開けなさい!!」
「まずいぞ、リーヴェル」
「落ち着いてください!」
今のうちに解析しよう
国王の魔力を解析
やはり、思った通りだ
これは闇魔法 性格反転
そして、もう一つの魔法もかけられていた
それも闇魔法 生気消失
どちらも闇属性だ
次に姫様の魔力を解析
こちらも国王同様
生気消失が国王よりも強力にかけられている
が、かけられている魔力量はたいしたものではない
光属性は同じ光属性で打ち消すことは出来るが
闇属性は闇属性で打ち消す力がない厄介な属性だ
闇属性を打ち消すには光属性しかない
「殿下、少し下がっていて下さい」
二人の間に立ち
光属性 闇払いを放つ
その間に
巨漢がドアをぶち破る
「な、何をしている!?」
「見てわからないのか、ザイドルス?彼は今、父上と妹を助けようとしてるんだよ」
「や、やめろ!!」
その声も虚しく
二人にかけられていた闇は取り除かれた
僕の手には二人にかかっていた例の属性の塊
これも解析
部屋に駆け込んだ二人の貴族の魔法の質も解析
「この魔法の質を解析した結果、ザイドルス公爵のものであることが分かりました」
「ザイドルス、お前・・・。父上と妹になんてことをしてくれたんだ!?」
王子は鬼の形相で怒る
そりゃ、身内が他人にもてあそばれていたら怒るわな
「おい、何か言え!!」
黙っている公爵に発言を催促する王子
「そこの冒険者、よくも邪魔をしてくれたな。貴様さえいなければ、事は全てうまくいくはずだったのに」
「邪魔も何も、僕はこの国に来たのは初めてですよ?」
「黙れ!」
「黙るのはあなたの方じゃないですかね。それよりも、自分の身の心配をされてはどうです?」
「何を急に」
「今僕が手にしているのは、あなたが放った闇属性の塊なんですよ」
「ああ、それが・・・?」
「あれ、ご存じありませんか?闇属性って、癖のある属性で失敗もしくは打ち消された場合、術者は代償を払わなければいけないんですよ?」
その言葉を聞いて、公爵は青ざめる
「で、僕一人でするのは少しためらいますので、殿下のお許しを頂ければ、この塊は消えます」
「ま、まさか・・・」
「察したようですね、あなたは二人に生気消失の魔法をかけましたね。この魔法、失敗するか打ち消された場合術者の生気全てを奪い取るんです。すなわちそれは、死を意味します」
「よ、よせ!!殿下、どうかあの者を止めてください!」
王子に懇願する巨漢公爵
しかし
「お前、本当に救いようがないな。父上と妹の命を脅かすような行動、さらには俺やリーヴェルに対する言動も到底許しがたい。よって、父上に代わって、リーヴェルに命ずる。その塊を打ち消してこの者を冥界へと送ってやれ」
「承知しました、殿下」
「や、やめろーーーーーー!!!」
光属性 聖なる光を放ち
塊は打ち消された
同時に
公爵の体はだんだんとしぼんでいき
最終的には骨と皮の状態になった
それと、公爵に関わったポールトといった男と騎士たちは地下牢へと送られた
「リーヴェル、父上と妹は?」
「大丈夫です、あの魔法にかけられた者はどちらの条件でも奪い取られた生気は元に戻ります」
「ってことは・・・」
「はい、以前の状態になるという事です」
「う・・・ん・・・?」
国王が目を覚ます
「ここは・・・?」
「父上、分かりますか?ガティッシュです」
「ああ、分かるとも・・・。それよりも、私は何故ここに?」
「話せば長くなりますので、今はまず体を休めてください」
国王が姫様の方へと首を動かす
「トリッシュ!」
「安心してください、トリッシュも無事です。彼のおかげで」
国王はゆっくりと体を起こす
「あの赤髪の・・・」
「そうです、父上」
「ありがとう」
その一言が言い終わった瞬間
一人の騎士が血相を変えて部屋に入ってくる
「り、リーヴェル・ジェスナーさんはいますか?」
「僕ですけど・・・」
「た、大変です!!ディーレスト国王並びに姫様一行が盗賊団に捕まってしまいました!」
どうも、茂美坂 時治です
リーヴェル、今回も素早い対応を見せました




