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第83話 王子の依頼

ディーレスト王国へ帰る一行


「まさか、リーヴェルが投獄されるとは」

「あいつ、何をしやがったんだ?」

「国王に反論しただけだ」

「それだけで投獄って頭イカれてんじゃねえのか?」

「ちょっと、シュルスター!」

「かまわん。それよりも、私はレイティッシュ国王のあんな横暴な態度を見るのは初めてだ。4年前にお会いした時はとても温厚な方だった。ジュリアナやシーナならどんな国王だったか分かるだろう?」

「「はい」」


それが突然、横暴な態度を振舞うようになるなんて普通有り得ない

何かがきっかけで心が入れ替わった

もしくは・・・



その途中

馬車が止まる


「どうした?」

「陛下、木の柵がずっと横一列に立っているんです」


本当だ

来るときにはこんなものなどなかった


後ろから何かが迫りくる音


その音ははっきりとしたものに変わる


格好はみすぼらしい男たち


まさか・・・


「兄貴、いいカモが見事に引っかかりましたぜ!」

「ああ、しかもどいつも高そうな服着てんじゃねえか。こいつはたっぷりと拝んでやらなくてはな」


リーヴェルのいないところで

危機が迫っていた



同じころ

リーヴェルは王城の地下牢にいた


暗い

寒い

それに血生臭い

劣悪な環境だ


でも、ここでも僕は当時の事を振り返る

あの時出会った国王の魔力は何かがおかしかった


国王以外の誰かの魔力が混ざっているように感じた

言い換えれば、誰かに操られているような・・・


直感ではあるが、そう感じた


「殿下、お下がりください。地下牢は危険です!」

「通してくれ、俺は彼と話がしたいんだ!」

「ですが・・・」


ん?

誰かが話している


殿下・・・というのは

おそらく、王子か?


「父上の命令は聞けるのに、俺の命令は聞けないってのか?お前たちは、今の父上の行動に満足しているのか?」

「それは・・・」

「数時間かかることじゃない。すぐに話は終わる。だから、俺を通してくれ」


コツコツとこちらへと歩み寄る音


その影は僕のところで止まった


「君だな、父上に投獄されたのは?」


目の前に立っていたのは、橙色のふさふさな髪

王族仕様の白いマントと衣装を身にまとった男性


「いや、世界最強の冒険者、リーヴェル・ジェスナー君」


あれ?

この国に入って最初に出会った調教師の二人は僕の事を知らなかったみたいだけど

何でこの人は知っているんだ?


「俺は、ガティッシュ・フォン・アースラー王子だ。君の活躍は聞き及んでいる」


やはり、王子だったか


「お初にお目にかかります、・・・」

「いや、そうかしこまらなくていい」


挨拶しようとしたけど止められた


「それにしても、今の父上に反論する人がいるなんて初めて見たよ」

「と、仰いますと?」

「今の父上は、俺が知っている父上じゃない!あえて言うなら、誰かの言いなりになっている、そう感じているんだ」


王子も国王の異変に気付いていた


「君もそう感じているんだろ?」

「はい、魔力を見てそう感じました」

「ならば、話が早くて助かる。というか、君に助けを求めに来たんだ」

「僕にですか・・・?」

「単刀直入に言おう。どうか、父上を元の父上に戻してくれ!」


無茶な要求をしてくるな


いや、もし魔法で操られているとしたら解析とかで対処法が見つかるかもしれないし

無茶ではないか


「僕にできることがあれば、といいたいところですが、生憎僕は投獄されている身ですし」

「それは、俺が今から君を助ける。ここの鍵もさっきの兵士から預かってきた」


門番も違和感を抱いているみたいだな


「父上は今、お休みになられている。だから、今がチャンスだ」

「い、いいんですか?」

「これも、父上だけじゃなくこの国を守るためでもあるんだ。それだけは理解してくれ」


さっきの思考と今の会話で、その魔法の名前が出てきそうなんだけど

なんだったかな・・・


闇属性の魔法という事は確かだ


内容は

「術者にかけられた者は、正反対の態度をとると同時に生気も奪い取る」

だったかな


つまり、今の国王は死にかけているといってもいい


でも、闇属性は癖のある魔法ばかりだ

失敗した場合には術者は代償を払わなければならないものが多い


それをうまく利用すれば

国王は長く生きることが出来るかもしれない


だが、時間はそう許してくれない

急いで何とかしないと


王子は牢の南京錠を外し

僕を王子の部屋へと案内する



「殿下、あまりゆっくりしては・・・」

「分かっている!だが、どうすればいいんだ?」

「落ち着いてください。僕に考えがあります」

「何だ?俺にも協力できることなら何だってする。だから、言ってくれ!」

「陛下は今私室でお休みになられているんですよね?」

「ああ、まさか・・・」

「そのまさかです。僕を陛下の私室に案内してください」

どうも、茂美坂 時治です

新たな王子が登場しました

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