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第78話 マンドラゴラ

森の入口付近


『お兄さーん、入り口まで来てくれたんだねー。じゃー、明かりをつけるからー』


明かり?

どうやってつけるんだ?


青白い無数の光が森中に広がる

数え切れないほどの蛍がいるかのように


「きれいだな」

幻想的な光に魅了されていると

『お兄さーん、ボーっとしてないで』


そうだった

急いで入ろう


風で揺れるこずえの音

僕が歩いている音以外にも

何かで奏でている音が奥から聞こえる


何だろう?

ハープに近いような癒しの音


音源の元へ近づくと

段々とその音も大きくなっていく


たどり着くと

木の上に一人の女性、正確には手のひらサイズの女の子が植物の葉でできた楽器を演奏している


音の正体はこれだ


いや、そんなことは今は関係ない


とにかく

「僕に声を掛けたのは君か?」

尋ねると

「うん、そうだよー」

「とりあえず、降りてきてくれないかな?」

「わかったー」


身軽な動きで降りてくる

頭の上には紫と白のグラデーションが見事な花を咲かせている


「はじめましてだねー、私はマンドラゴラだよー」

「ま、マンドラゴラ?」


確か、引っこ抜くと気を失う程の叫び声を出すという植物

いや、あれは伝説上での話か


でも、普通に地上に出てて

音も奏でていて

そんな感じには一切見えない


「どうしたのー?」

「いや、僕が想像してたのと違うなって」

「私をどんな植物だと思ってたのー?」

「土の中に埋まった謎の植物」

「まあ、おおむね正解だねー」


当たってたんだ


「それよりもー、お兄さん今困っている状況なんでしょー?しかもー、死にかけている人がいるんだよねー?」

どうしてそれを知っているんだ?

僕はまだ一言も言っていないのに


「うんうん、じゃあ、私の協力は必須だねー」

「いやいや、ちょっと待ってくれ!まだ話していないのに、何でそうなるんだよ?」

「んー?私、あなたの魔力とても気に入っちゃったー」

「それ、理由になってないよね?」

「もう、つれないなー」


何だろう、無性にイラっと来る

「理由は後でちゃんと話すからー、とりあえず私をー、瀕死の人のところへ連れてってー」


僕は彼女を左肩に乗せて

森を出ようとするけど

「・・・あ、あれ?出口はどこだ?」


深夜の森のため

あたりは真っ暗で何も見えない


「大丈夫だよー」

さっき入口でみた青白い光が

道のようになっていく


この道を辿れば

瀕死の女性の元へ


「すごいね」

「ふふーん、凄いでしょー」


さ、急ごう


皆のところへ戻る

「ベル君!?早かったね、って・・・その女の子は・・・?」

「ああ、マンドラゴラだ」

「へえ、マンドラゴラ・・・って、マンドラゴラ!?」

「ど、どうしたんだ?」

「喋るマンドラゴラがいるなんて、聞いたことがないわよ!」


森に行く前にもそんな事言ってたな

「あのー、話している時間あるのー?」

「「あ!」」


そうだ、早く助けないと


「それで、どうすればいいんだ?」

「私の頭の花をブチってちぎってー」

「ちぎる・・・って、いやいや!!君、そんなことして痛くないの!?」

「大丈夫、ちぎってもすぐに生えてくるから―」


彼女の言葉を信じよう


優しくちぎろうとしたけど

「思いっきりしてー」

と促される


ならば

遠慮なく


ブチッ


30秒ほどしてまた新しい花が生えてきた


「でー、そのちぎった花をー、女性の口に入れてー、10秒したら取り出してー」


マンドラゴラの指示を受けながら治療を進める


女性の顔は少しずつ赤みを帯びていた

花の効果が出ている


「じゃあ、誰かのテントで休ませるか」

僕が女性を持ち上げようとしたら

フードが取れた


その瞬間

その女性の正体が一目でわかった


長い耳

そして、黄金色の髪


この人は、もしかして

エルフという種族か?

どうも、茂美坂 時治です

マンドラゴラのセリフ、ちょっとふざけた感じにしました

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