第74話 出発の朝
8月27日
出発当日の朝を迎えた
王宮に入ると
王国騎士団の方たちが準備万全の態勢を整えている
「おはようございます、リーヴェル・ジェスナーです」
「おはよう。お前がリーヴェル・ジェスナーか。陛下から護衛に加わってくれると聞いていたから、とても心強い。俺は、王国騎士団長のソルティーラ・ガンボンだ、よろしく」
「ソルティーラ、久しぶり」
「シーナ嬢じゃないですか!また、綺麗になって」
「やだもう!」
「シーナさんはソルティーラさんとは知り合い?」
「ええ、彼は王国騎士団の前は公爵家の護衛をしていたの。その実力が王国騎士団の目に留まり、今に至るの」
僕の姿を見つけてか
次々と騎士団員たちが駆けつけてくる
「いやあ、見た目では本当に男だなんてわかんねえな」
「こら、それは言っちゃダメだろ!?」
「あ、悪い」
「いいんです・・・、もう慣れてますから・・・」
何度目だろうな・・・
こんなコミュニケーションを交わすのは・・・
「みんな、お前の事女だって勘違いしてたみたいだったぜ。こりゃ、傑作だな」
「・・・・・・」
僕は、ソルティーラを睨みつける
「お、おいおい・・・、冗談だっての・・・」
「分かってますよ」
色々と話をしていると
「そんな男必要ないでしょ、団長?」
騎士団の鎧をまとった、銀髪のロングヘアで燃えるような赤い目をした女騎士がこちらに向かって否定的な言葉を投げ出す
「おい、アリア!リーヴェルに向かってその言葉はないだろ!?」
「私は断固反対です!SSSランクだか知らないけど、あなたみたいな魔法に頼り過ぎた人は護衛には向いてないの。道中で魔物と戦う事になっても、足手まといにならないでね。それじゃ」
強気な人だな
「な、何なの!?ベル君に向かって、あんなひどい言葉を言って」
「悪いな、リーヴェル。あいつも悪気があって言ってるわけじゃないんだ」
「いえ、僕は別に・・・」
「というか、ベル君。何で反論しなかったの?」
「いや、あの人は僕よりも剣術が強そうだなって」
「はぁ!?ベル君、リッコラたちにビシバシ叩かれたのよね?じゃあ、ベル君はあの女よりも弱いってこと!?私は、絶っっ対に認めないわよ!!」
「まあまあ、一旦落ち着いて」
「しかし、アリアが言ってることも一理あるんだ」
ソルティーラさんが話を切り替える
「元々は王国魔法団っていう部隊だったんだが、戦のたびに魔法が暴発して味方に当たることがよくあったらしい。で、その時の団長が魔法を使っての戦は危険だから、剣術に切り替えると断言し、それから王国騎士団になったんだとさ」
魔法で味方を殺す
何とも皮肉な話だな・・・
「それよりも、ソルティーラ。あの女は何なの!?」
「彼女は、アリア・ベクタレスタ。10歳からこの王国騎士団に入った子です」
「10歳から!?王国騎士団に入るには成人してからでないとできないって聞いたけど・・・」
「ええ。ただ、あの子の実力は本物でしてね。初めて会った時、あの子の剣筋はとても滑らかなでした。
俺がどこで剣術を教わったと聞いたら、騎士団の動きを見よう見まねで覚えたと。正直、疑わしいものだったので、彼女のご両親にも伺ったら、ご両親は剣術はおろか魔法も使えない。あの子の言ってることは本当だったと確信したんです」
「それで、あの女に王国騎士団に入らないかと声を掛けた」
「はい。ただ、陛下や他の団員からも強く反対されたんですが」
そりゃ、当然だな
成人してからでないと入れない王国騎士団に10歳から加入するなんて
前代未聞
そんなのは、容易に認められるわけがない
「私は、彼女の実力は素晴らしいものだと何度も説得を試み、陛下から条件として団員全員と戦って勝てば入ることを認めようとお許しがでた」
「団員全員って、実際は何人と戦ったの?」
「100人ほどです」
「10歳の子供が100人の大人に挑むなんていくら何でも無謀すぎるわ!」
「俺も最初は、大丈夫かなと不安でしたが、滑らかな動き鋭い剣筋、そして何より、相手の動きの一歩先を読む洞察力がすごかった。その結果、団員みな彼女に負けました。もちろん、この俺も」
「そんなすごいんだ・・・」
「5年経った今でも、彼女は鍛錬をきっちりこなします。彼女が次期団長になるのではと期待しています」
すごい女性だな・・・
って、ちょっと待て
今、ソルティーラさん5年経ったって言ってたよな
という事は、アリアさんは
僕やシーナさんと同い年!?
「おお、リーヴェル、シーナ、シュルスター。来てくれたか」
「陛下が僕に護衛の依頼をなさったんじゃないですか」
「分かってる。こちらも準備が整ったから出発するとしよう」
こうして、僕たち一行は
アースラー王国に向けて出発した
どうも、茂美坂 時治です
新たなヒロインが登場しました




