第75話 魔法と剣術の組み合わせ
出発して3日目
一行は国境を越え、アースラー王国に足を踏み入れた
その途中、3つに分かれた道で止まる
王国騎士団の斥候が事前に調査した結果
左右の道には盗賊のアジトが点々とあるらしく、王都へ向かうには時間がかかり過ぎる
逆に、真ん中のルートである森が最短だが、魔物たちの住処でもある
陛下が出した答えは
「真ん中を通る」
となった
「ねえ、ちょっと怖い・・・」
森に入って珍しく、シーナさんが怯えている
「なんか、獣の声が徐々に増えている気がするの・・・」
「大丈夫、今のところ襲ってくる気配はないよ」
「分かるの?」
「サイロン村の森の中でいつもトレーニングを積んでたから、魔物の気配が少し分かる。彼らは僕たちに警戒してるんだ」
「そっか・・・、でも・・・、怖い・・・」
一応、安心させようと気にかけていたんだけど、逆効果だったかな・・・
「ところで、何で私もここにいるのかわからないんだが」
反対側の席にアリアさんが同席
陛下が僕たちと同席してくれとのご命令だったんだけど
ずっとムスッとした顔をしている
「陛下のご命令とはいえ、何故あなたのような人と同席しないといけないのか?」
「ちょっと、アリア!ベル君に向かってその言い方は何!?出発の時もそうだったけど、ベル君の何がいけないの!?」
「剣術もできると聞いていたけど、所詮は魔法に頼り過ぎただけの男だ」
「あなたねぇ・・・」
さすがにこれはまずい
「待て待て、双方一旦落ち着いて」
「落ち着いていられるわけないでしょ!?ベル君も何か言い返しなさいよ!!」
「言い返せたところで、逆に火に油を注ぐ状況になると思うよ?」
「分かってるじゃないか」
「私はあなたみたいな上から目線の言い方をする人は、大っ嫌い!」
「嫌いで結構。私は金の流れの時だけ本領発揮する人には興味ないからな」
「何ですって!!?」
あちゃ~
これは参ったな・・・
突然、馬車のスピードが速くなった
「何だ?」
「あ、ベル君!後ろ」
数え切れないくらいの魔物が追いかけてくる
それも、ブラックベアがポイズンタイガーといった大型の魔物が多く占める
馬たちがそれに気付いて、猛ダッシュしたんだろう
「このままじゃ追い付かれちゃう!どうすればいいの?」
「アリアさん、確か森を抜けたら広大な草原だったよね?」
「ああ、それがどうした?」
「そこで、一気に殲滅する」
「なっ!?どうやってだ?まさか、魔法を使うというのか?暴発したらどうするんだ?あなたが責任を取るのか?」
「アリアさん、警戒しすぎ。そうならないようにするから、僕を信じて!」
「し、しかし・・・」
「アリアさん、ベル君の言う通りにした方がいいわよ。それとも、あなたが彼らの最初の餌食になりたいの?」
「ば、馬鹿を言うな!ふ、不本意だが、あなたの言葉を信じよう」
余計な一言は加えないでほしいな・・・
「でもよ、殲滅するにしても数が多すぎて大変じゃないのか?」
「一つ、やってみたいことがあるんだ」
「気になるな」
「それは、見てからのお楽しみ。さて、シーナさんとシュルスターは馬車の上から魔法を放ってくれ。ただし、火属性を放つのはダメだ。草原が焼け野原になってしまう」
「じゃあ、私は水属性をメインに魔法を使えばいいのね?」
「俺は、風魔法が使える。水と風は相性がいいからな」
「それじゃ、頼んだ」
「はい!」
「任せろ!」
僕たちは馬車の屋根に乗っかる
あと50mほど走ったら草原だ
しかし、抜けてから戦闘開始という訳でもない
シュルスターの風魔法で森の木々を倒したくないからな
100m進んだところで
「ゴー!!」
僕の合図とともに戦闘開始
2人は予定通り、水と風の魔法を巧みに放っている
魔物たちは血しぶきを上げながら
次々と倒れていく
2か月の特訓の成果がきちんと示されている
「さすがだ」
さて、いっちょやりますか
僕は、馬車から飛び降りる
「ちょっ!?」
「リーヴェル!?」
地面にぶつかる前に身体強化
さらに
風魔法 ウィッグをかけて
空の方へと上昇
「べ、ベル君が・・・」
「飛んでる!?」
他の馬車からも
「おおおおおお!!」
騎士団員たちの感心する声が響く
一度やってみたかったこと
それは
魔法と剣術を組み合わせた技
足に無属性魔法 ブーストもかけて
収納魔法から刀を取り出す
「ん?あの刀、見たことないな」
馬車から眺めるアリアさんが僕が手にしている刀に興味津々
特徴ある反り、鍔、模様の入った柄などがある刀
そう、日本刀だ
鞘から取り出し、いざ!
一気に下降していき
ブラックベアどもの群れに近づき
刀を構えて
「はっ!」
振り下ろした瞬間、1頭の熊の首が刎ねた
「え?」
「今、何が起こったんだ?」
馬車の上の2人も状況が追い付いていないようだ
その後も僕は、リズムよく魔物の首を刎ねていく
反対側のポイズンタイガーたちも同様に
ここまでで殲滅にかかった時間は5分も満たなかった
馬車に戻ると
2人と女騎士は唖然としていた
「あ、あれ?みんな、どうしたの・・・?」
「なあ、シーナ。あれ、できると思うか?」
「無理ね。あんなことが出来るのって、ベル君しかいないわよ・・・」
中に入って、アリアさんが僕の前に跪き
「リーヴェルさん!」
突然、人が変わったかのような口調になっている
「これまでの言動をお許しください!」
「え、ええと・・・?」
「アリア、急にどうしたの!?」
シーナさんも驚いている
シュルスターは訳が分からない顔をしている
「私は、あなたの事を魔法に頼り過ぎた男だと言ってしまいました。しかし、先ほどの戦闘で魔法と剣術を組み合わせた技を見て感服いたしました!」
「そ、それはどうも」
「ですので、もうあなたの事を蔑む言動は致しません!何卒、ご容赦を!」
えっと・・・
あの戦闘を見て感動してくれるのはありがたいけど
なんか、急すぎて
整理が追い付かない・・・
「それと、シーナさん。あなたにも酷い言葉を言ってしまったことをお詫びします」
「・・・あ、うん。私も今、若干パニクってるけど、あなたがそう言うなら私の方も謝るわ。あなたの事を嫌いって言って、ごめんなさい」
よくわからないが、仲直りした2人だった
どうも、茂美坂 時治です
リーヴェル、また魔物たちを一掃しました




