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第43話 愛の告白

「さて、ケイト。事情を聞かせてもらおうかな」

「分かったわ」

机に座った僕たちを前に、子爵がケイトさんに尋問

落ち着いた様子で話し始める



「元々この孤児院は私のおじいさんの資金で建てられたことはさっき話しましたね」

「はい」

「おじいさんが亡くなってから、この施設を守るために私の両親が必死に働いて何とか維持できるまでにはお金のやりくりをしていたんです。でもある日、この男たちが現れたんです。維持するためのもっといい方法があると言ってきました。両親は何の疑いもせずに鵜呑みにしてしまい、そのまま帰らぬ人となってしまいました」

「その方法とは?」

「自分の体と内臓を売りさばくことです」

「「なっ!?」」

つまりそれは、臓器売買を意味してるってことじゃないか

「何で私に相談しなかったんだ!?」

子爵がバンと机をたたきつける

「言えるわけないじゃない。それに、他の誰にも迷惑かけたくなかったの」

「迷惑をかけてもいいんだ。私だって、元婚約者の家族に迷惑をかけたせいでこんな身なんだ。君だって、それができたんじゃないか?」

「・・・」

「でも、今は違う。こうしてまた再会できたんだから、私は君の力になってやれるんだ。だから、遠慮なく私を頼ってくれ」

「ヘリッツ・・・」

涙を浮かべるケイトさん


だが、

「ククク、俺たちがそんなことをしている証拠なんざどこにあるってんだ?」

気を失っていた男がその話を聞いていた

「あなたが言ってたじゃないですか。自分の体を売りさばけって」

「言っておくぞ。言葉ではいくらでも使えるが、行動自体を目にしちゃいねえのにそんな事を言われちゃこっちも傷つくんだがね。お前はその考えが浅いんだよ」

「それなら、こちらにも考えがある」

と、僕が出る


「り、リーヴェルさん?」

「お前には関係ねぇ話だ、俺たちの話に混ざるな」

「あっそ」


僕は手を2回たたき、外で待っていた彼らを中に入れる


「何だ、このわんこたちが俺たちの相手をしてくれるってのか?」

「本当にそうだと思うか?」


パチンと指を鳴らし

元の姿へと戻す

「こ、こいつら・・・、神獣かよ・・・!!」

「マスター、こいつらは?」

「この孤児院の人たちを困らせている悪い奴らでね、アジトに連れて行けと言われて断られたんだ。だったら、君たちに制裁してもらおうかと」

「なるほど。つまりわたくしたちの力でこの愚か者どもを骨がなくなるまで食い尽くしてもよいと?」

「そうだ、何分で平らげる?」

「そうですね、1分以内なら余裕でしょう」


「お、おい・・・。本気で言ってるんじゃねぇよな・・・?」

「え?本気じゃなかったらこんなことしないよ?」

「鬼かお前は!!」

「マスターに向かってのその言葉、万死に値する!!」


マックスが男に向かって飛びかかった時

「わ、分かった!!アジトを案内するから食わないでくれ!!」

「本当だな?」

「誓うよ!!この通りだ!!」

男は深々と頭を下げる


「よし、だったら早速連れて行ってくれ。ただし、余計な事をしないように神獣たちも連れていく。それでいいな?」

「あ、ああ・・・」


その後ろで見ていた二人は

「リーヴェルさん、容赦ないわね」

「ああ、あんなリーヴェル君初めて見た」

「聞こえていますよ、二人とも」

「「ギクッ」」

「二人は、ここに残って子供たちの面倒を見てはどうですか?」

「リーヴェル君だけでは危険じゃないか?」

「大丈夫、彼らがいますから。それに、二人の邪魔をしてはいけませんし」

ちらっと互いの目を見る二人

あった瞬間、ポッと顔を赤くする


この二人、まんざらでもなさそうだな


「じゃ、行ってきます」


男たちを前にしてアジトを案内させてもらう



残った二人はというと

「・・・」

「・・・」

互いに意識しあっているせいか、まともに顔が見れない

「「あの・・・」」

話しかけようにもかぶってしまう


「えっと、ヘリッツからどうぞ・・・」

「あ、ああ・・・。あいつらの事ならリーヴェル君に任せても大丈夫だろう」

「さっき、危険だって言ってたくせに」

「それは、一人だけだったらという事だ。彼に仕える神獣たちは絶対的な忠誠を誓っている。信用しても大丈夫だ」

「本当に・・・大丈夫かな」

「正直言うと、私も心配だ。」

「ねえ、その私という言い方、今はいいんじゃない?」

「え・・・?」

「だって、公務はもう終わったんでしょ」

そう、ヘリッツ子爵は子供の怪我の治療のためにここに来た

それが終わった

彼女が言っていることも間違いではない



「そうだな、昔みたいな言い方でいいかな?」

「ええ」

「・・・私というのはもう疲れた、せめて俺と言わせてほしいよ」

「やっと、素が出たね」

「俺みたいな貴族の仕事は大変だよ」

「そういう私の仕事だって大変なんだよ」

「分かってる。君は昔から真面目だからな。でも、俺に比べりゃまだマシなんじゃないのか?」

「あなたと比べられてもねぇ・・・」

「どういう意味だよ?」

「そのまんまの意味・・・。十年も私に会わずに、波乱万丈な生き方してさ。私もあなたみたいな生き方してみたかったの」

「・・・」

「でも、真面目なのはあなたも同じじゃない」

「そうだな・・・」

「私からもいいかな?」

「そ、そうだな・・・。じゃあ、君の番だよ」


「ちょ、ちょっと待ってね・・・」

「え?」


自分の番が来た途端、急に心臓がバクバクしてきた

何でこのタイミングで心臓がドキドキするの?


落ち着いて、落ち着いて・・・

慌てず、深呼吸


よし、いこう

「お・・・おみゃ・・・」

「みゃ・・・?」


何で舌を噛むのーーー?

心の中で叫ぶ


「ぷっ、アハハハ!」

「ちょっ、笑わないでよ!?」

「アハハハ、ご、ごめん・・・。でも、落ち着いたんじゃないか?」


言われてみれば、さっきのドキドキもいつの間にか消えていた

これは、チャンスだ


「あ、あの・・・、ヘリッツ」

「うん」

「来てくれて、ありがとう」

「どういたしまして」


って、ここで話が終わっちゃった!?

ダメダメ、ちゃんと言わないと!


「で、でも・・・」

「ん?」

「私、あなたに・・・、言わなければいけないことがあるの・・・」


よし、何とかつないだ


「何だい?」

「わ、私は・・・」

「うん・・・、って、ケイト・・・?」

「何・・・?」

「何で、涙を流してるんだ?」


さっきから目がかすんでると思ったら・・・

涙を流している自分に気付けなかった


もう、さっきからグチャグチャじゃない!!

でも、このチャンスだけは逃せない


「わ、私は、・・・あ、あなたの事が・・・」

「うん」

「す・・・、す・・・」


一呼吸おいて

「好きです!!」


一瞬、その場の空気が固まる


「え・・・?俺の事が・・・?」

「ずっと、ずっと昔からあなたの事が好きだった。今でも好き。小さい頃の私はあなたに何度も助けられた。まだ、あなたに恩返しができていなかった。それでも、あなたは他の女と結婚したと聞いて、私は見捨てられたんだと思ったの」

「違う!それは断じて違う!」

「ヘリッツ?」

「あの結婚は政略結婚だった。俺が望んだ結婚じゃない!!俺が望んでいるのは君との結婚だ!!」

「・・・!!」


「だから、俺も・・・、君の事が好きだ!!いや、それだけじゃ足りない・・・。君を心から愛している!!」

「・・・!!」

さらに驚く


「すこし遅くなってしまったが、俺と結婚してくれ」

子爵は左ひざをついて、手を彼女の方へと伸ばす

顔を見ると、大粒の涙が止まることなくあふれていた

「ご、ごめんなさい・・・。こんなみっともない顔、見せられない!!」

「いや、それも君の魅力の一つだ!」

「ほ、本当に・・・?」

「ああ、本当だ。これから、ずっと君と歩んでいきたいんだ」


涙を服の袖で拭きながら、心を落ち着かせる

彼女は、そっと伸ばした手を取って

「はい・・・、私もあなたとの結婚を望みます。あなたのもとを絶対に離れません」

「ケイト・・・」

「ヘリッツ・・・」


立ち上がった子爵は彼女の頬を優しく包み込んで

静かに唇を合わせる

どうも、茂美坂 時治です

子爵、無事幼馴染と結ばれました

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